家賃補償サービスで空室リスクを回避する方法とは

 

 

家賃補償の基本的な内容

まずは家賃補償契約の基本的な内容を確認しておきましょう。どのような内容で、どのように空室リスクを回避できるのかを知ることがスタートです。

空室になっても空室補償会社が家賃を補償

家賃補償とは、読んで字のごとく契約した会社が家賃の補償をしてくれることになります。たとえその物件が空室になっても、この家賃補償契約を結んでいれば、収入が0になるということはありません。

補償されるのは全額ではない

とはいえ、単にそれだけでは空室補償会社は利益を出すことができません。つまり補償される家賃は家賃全額ではなく、家賃の一定割合ということになります。割合に関しては契約ごとということになりますが、一般的には70~90%が中心になります。

仮に家賃50,000円の物件で、空室補償80%の契約を結んだとします。この場合、オーナーの手元には毎月40,000円が支払われるということになります。これはその物件に入居者がいてもいなくても変わらず定額である契約がほとんど。つまり家賃50,000円の物件に入居者がいようがいまいが毎月40,000円が収入として手元に入ってくるということになります。

サブリース契約とは?

空室補償というと「サブリース契約」を思いつく方もいるかもしれません。ただしここでいう「空室補償契約」と「サブリース契約」には明確な違いがありますので覚えておきましょう。

サブリース契約とは?

ではサブリース契約とはどのような契約でしょう? サブリースとはいわゆる「また貸し」を意味する単語であり、この契約を結ぶと不動産の管理に関するすべてのことをその会社に任せることができます。

一般的に不動産会社や不動産管理会社と結ぶ契約で、その物件の管理、入居者探し、家賃設定、家賃回収、空室時のリフォームなど、賃貸物件を所有すると発生するすべての業務を委託する契約となります。この契約に家賃補償も含まれているわけです。

オーナーからサブリース契約で物件を借り上げた不動産会社は、その物件を入居者に貸し出し、その家賃収入から家賃補償分をオーナーに支払い、残りが儲けということになります。

サブリース契約の家賃補償割合は?

サブリース契約でも家賃補償の割合は、概ね70~90%になっています。サブリース契約を結んでも、物件が空室の間もその物件家賃の70~90%がオーナーに支払われます。しかし入居者がいてもオーナーの手元に入るのは家賃の70~90%ということにもなります。

 

 

家賃補償契約とサブリース契約の違い

では、具体的に家賃補償契約とサブリース契約のなにが違うのかをまとめていきましょう。

契約する会社が違う

サブリース契約は上でも触れた通り、不動産会社、もしくは不動産管理会社と結ぶ契約ということになります。家賃補償も含めた、物件管理運営全般を委託すると考えれば間違いないでしょう。

一方家賃補償契約は、家賃補償会社と契約するのが一般的です。サブリース契約の中から、「家賃補償」に関する部分だけを抜粋し、その部分だけで契約をするということになります。家賃補償契約を選んだ場合、その契約とは別途不動産管理会社と契約をする、もしくは自らその物件の管理維持を行う必要があるわけです。

収入に関する範囲が違う

サブリース契約はその物件の管理運営に関して丸ごと業務を委託することになります。つまり家賃の金額や、敷金、礼金、仲介手数料などの決定権もオーナーではなく、契約した不動産会社のものということに。結果、礼金を受け取るのも不動産会社であり、敷金を預かり管理するのも不動産会社ということになります。この部分の収入はオーナーには一切反映されません。

家賃補償契約はあくまでも家賃に関する契約ですから、礼金はオーナーの収入になりますし、敷金を預かって管理するのもオーナーということになります。

仮定の設定で収入の違いを考える

では、仮に家賃100,000円、礼金2ヶ月分の物件で収入の違いを考えてみましょう。どちらの契約も家賃の80%補償という設定で2年契約にしてみましょう。

サブリース契約の場合、オーナーに入る収入は毎月80,000円。2年間で192万円ということになります。一方家賃補償契約の場合、これに礼金の2ヶ月分が加わりますので、212万円の収入に。2年間で20万円のちがいが出るということになります。

もちろんこれは単純計算であり、契約料もありますし諸経費もかかりますので、この差がすべてではありません。ただ、単純計算すれば家賃補償契約の方がやや収入は増えると考えていいでしょう。

どっちが得かはケースバイケース

では何でもかんでも家賃補償契約の方が収入が多いのかというとそういうわけでもありません。契約料や諸経費も関係してきますし、家賃補償契約をした場合、他に不動産管理会社と物件の管理契約を結ぶ必要があったり、物件の維持管理を自力で行う必要があったりすることになります。

一般的には、アパート丸まる1棟を所有している場合など、複数の物件を一括で任せる場合はサブリース契約、所有物件が1部屋などの場合は家賃補償契約を選ぶことが多いようです。

 

 

空室補償契約で気を付けたいポイント

では、空室補償契約において、契約前にチェックしておきたいポイントに関してまとめてみましょう。

設定家賃は適正かどうか?

家賃補償契約を結ぶ場合は、双方が納得する家賃で契約する必要があります。家賃補償会社にとっては、入居者を見つけて毎月家賃を払ってもらうのがベストの状況とういうことになります。オーナーには家賃の中から一定の割合を支払いますが、差額分は補償会社の儲けということになります。つまり家賃を安く設定し、空室を出さないようにした方が儲けが大きくなるわけです。

一方オーナーとしては、家賃が安くなると当然収入も下がるわけですから、できるだけ家賃は高額の方が儲けが大きくなります。この部分であまり妥協が必要な契約であれば考えた方がいいでしょう。

免責期間は適正かどうか?

家賃補償契約には、ほぼ「免責期間」が設定されます。この免責期間が適当かどうかも重要なポイントになります。

免責期間とは、「物件が空室になってからこの期間内の空室補償はしません」という期間です。賃貸物件の入居者が退去した場合、部屋のクリーニングをして新たな入居者を探す必要があります。この期間のうち一定期間は家賃補償をしませんという制度で、多くの家賃補償契約、サブリース契約において特約事項として盛り込まれます。

この免責期間中は、例え入居者が入っていてもオーナーには一切家賃収入が入りません。そこでこの期間が重要なポイントとなるわけです。

一般的な契約で、この免責期間は1~3ヶ月で設定されることが多いようです。しかし業者によっては6ヶ月の免責期間などという契約も存在します。半年間も免責期間があると、いったん空室になってしまったら向こう半年間は収入がなくなってしまいます。

一般的に物件から退去があると、その後にお部屋のクリーニング作業が入り、お部屋がきれいになってから入居者を募集する形になります。都合よくすぐに次の入居者が現れたとしても、2ヶ月程度は空室の状態が続くことが多く、そう考えるとやはり免責期間は3ヶ月程度が妥当なラインでしょう。4ヶ月以上あるようであれば、交渉の余地、もしくは他の業者への依頼を考えた方がいいかもしれません。

 

 

空室補償のメリットとデメリット

ここからはサブリース契約は除き、空室補償契約に関するメリットとデメリットを挙げていきましょう。

空室補償のメリット

空室補償のメリットはなんといっても「空室期間でも家賃収入が得られる」ということでしょう。東京や大阪など、大都市圏であれば空室になることは少ないかもしれませんが、地方都市と呼ばれるような街では空室の問題は無視できない問題です。

日本では都市部への一極集中が進み、さらに少子化の影響で新たに賃貸物件を探す若い世代が減少傾向にあります。そんな中でもし持っている物件が空室になっても、ある程度の家賃収入が確定しているというのは非常に大きなメリットといえるでしょう。

また、家賃補償を行っている会社の多くは、入居者の「連帯保証人会社」であることが挙げられます。連帯保証人会社がつくということは、もし入居者の家賃支払いが滞っても、保証人会社が家賃を補償してくれますし、さらに入居者からの取り立て業務も代行してくれます。家賃回収という点では一切手間がかからなくなるのもメリットといえるでしょう。

空室補償のデメリット

デメリットは大きく分けて2つ。まずは空室補償契約には契約料が必要であるということ。契約料は契約する物件や契約内容により様々ですが、一定の出費が必要になるのは否定できません。

もうひとつは「家賃の全額が収入にならない」ということです。家賃補償契約を結んでいる物件に入居者がいる期間でも、オーナーの手元に入るのは契約上定められた比率の分だけ。仮に家賃10万円、80%補償の契約であれば、例え入居者がいて毎月10万円の家賃収入があっても、オーナーの手元には8万円しか入らないわけです。

この家賃10万円の物件が、10年間家賃補償契約をしている物件で、その物件が10年間ずっと同じ人が住み続けたとしたら、毎月2万円、10年間で240万円の収入が手に入らないということになります。

 

 

空室補償まとめ

空室補償とは、持っている物件が空室の期間も、一定の比率で家賃を補償してもらう契約ということになります。サブリース契約との違いは、サブリース契約は家賃の面だけではなく、物件の管理運営、入居者探し、家賃設定まで一括で請け負う契約であり、サブリース契約の中に「空室補償」が含まれるのが一般的です。

家賃補償のみの契約を行っている業者もおり、これらの業者の多くは、入居者に対する「連帯保証人会社」であることがほとんどです。家賃補償のみの契約をする場合、別途物件の管理や入居者探しをしてくれる業者との契約も必要となりますが、その代わり家賃の設定などにもオーナーに意見が反映されます。さらに礼金など入居費用の一部もオーナーの収入となり(サブリース契約の場合これらの収入はサブリース業者の収入)、サブリース契約よりも収入面ではプラスが見込める契約といえるでしょう。

ただし、家賃補償契約もメリットばかりではありません。それなりの契約料が必要であったり、例え入居者があっても家賃の全額が収入にならないというデメリットもありますので、お持ちの物件が家賃補償契約に向いているか、適しているかを冷静に判断する必要があるといえるでしょう。

 

 

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