敷金・礼金ってなに?違いは何?敷金・礼金ゼロのメリット・デメリットは?
はじめに
1月・2月・3月の引越しシーズンは、新しいお部屋を探そうとしている方も多いのではないでしょうか?
今住んでいるお部屋に不満があったり、入学・転勤・結婚などの理由で新しく住む部屋を探し始める方が多いと思いますが、初期費用を考えると簡単に引っ越し先を決められないのが本当のところ。
引っ越しするとなれば、地域差があるものの初期費用に家賃の半年分くらいがかかってきます。
その大部分を占めるのが敷金と礼金です。
基本的に首都圏の場合、敷金も礼金も家賃の1~2か月分が目安だと言われています。
ただ、最近は不景気が長引いていることから、敷金礼金ゼロという物件が増えています。
不動産会社には初期費用をできる限り抑えて、引っ越し意欲を高めたいという思惑があります。
若者にとって初期費用は引っ越しの大きな障害になっていて、敷金礼金なしのいわゆるゼロゼロ物件の人気は高いです。
そんな敷金礼金とはなんなのか、さらに、敷金礼金なしの物件のメリット・デメリットについてご紹介したいと思います。
引っ越しをご検討されている方のお役に立てれば幸いです!
敷金とは?
そもそも、敷金とは何かと言うと、敷金を取ることで貸主がリスク回避できるモノと言えば分かりやすいでしょうか?
もし、借主が部屋をひどく汚したり、備品を壊したりした場合にこの敷金を前もって取っていれば、その費用を敷金から賄えます。
つまり、賃貸契約をする際に貸主に対し、借主が担保として預けておくお金と考えていいでしょう。
また、この敷金は家賃の未払いがあった時に差し引くこともできます。
注意したいのは、敷金は退去の際に現状回復が必要ない通常使用の場合でも、退去する際のクリーニング代・リフォーム費用を差し引かれる場合があることです。
入居時に退去時はどういった費用が差し引かれるのかしっかり確認しておきましょう。
礼金とは?
いっぽうで、礼金とは部屋を貸してくれる家主に対しお礼の気持ちとして支払うお金のこと。
つまり、礼金については敷金とは違い退去時に一切返してもらうことができません。
礼金が生まれたきっかけは、戦後焼け野原の日本で住む場所がない頃、住むところを提供してくれた人に対しお礼の意味で支払っていたことからだそうです。
また、進学などで地方から都会に出てくる子どもの世話を見てもらうため、親が親族や家主さんに対し支払ったお金だという説もあります。
どちらにしても、お礼という意味で生まれたものなので、そもそも法律には何も規定されていないのが礼金です。
最近ではこの礼金がなしという物件が増加傾向にあります。これは引っ越しの初期費用を安くしたい、特に礼金は払いたくないというニーズがたかまり、入居率アップのために各不動産会社がこれに対応しているからです。
敷金・礼金なしの物件が増えているわけとは?
以前なら、敷金礼金を支払うのが当たり前でしたが、最近ではどちらも一切支払わなくていいゼロゼロ物件と言われる物件が急増中です。
人によっては「そんな物件何か怪しい理由があるのでは?」と不安に思われる方もいらっしゃるようですが、実際はどうなのでしょう。
通常、マンションやアパートを経営されている大家さんのほとんどが、金融機関からお金を借りてローンで不動産を購入して部屋を貸し出しています。その貸し出している部屋の家賃収入からローンを返済しているわけです。
ですから、もし空室割合が高くなると家賃収入そのものが減ってしまうためローン返済が滞ることになります。
そのため、家主は空き室が増え続け収入がなくなるくらいなら敷金礼金をゼロにしても、なるべく空き室を埋めたいという心理状態になり、敷金礼金なしの賃貸物件が誕生するわけです。
また、銀行などの金融機関ではなく、公的融資を受けて不動産を建設している物件の場合だと、そもそも礼金を受け取ってはいけないとう決まりがあったりします。
余談ですが、関東から関西に引っ越しされた方は礼金がゼロの物件が多いことに驚かれた方が多いでしょう。
敷金はご説明したとおり、退去時に借り手に返す必要があるお金ですが、礼金はお礼という意味なのでその必要がありません。
関西の慣習だと敷金の代わりとして保証金を支払うことが多く、その中に返すものと返さないものが含まれています。
つまり、関西で保証金を支払う場合、礼金とみなされるものが保証金の中に含まれているということなんですね。
敷金礼金なしのメリット
・初期費用が安く済む
敷金礼金なし物件の最大のメリットは初期費用が抑えられることでしょう。
たとえば家賃が8万円だとしましょう。
敷金礼金が1か月分ずつ必要となれば、さらに16万円出費することになります。
引っ越しするとなれば、他にも家具やカーテンなどさまざまな出費があるのに、家賃の数か月分の費用が必要となれば、トータルでいくら必要になるのでしょう。
初期費用を抑えたい時、この敷金礼金ゼロ物件は大変ありがたい物件ということになりますね。
・グレードが上の物件に入居できる
敷金礼金がいらない物件を選べば、引っ越し費用が安く済むのでその分を家賃に上乗せすることが可能です。
そうなれば、本来借りる予定だった物件の家賃よりグレードアップした物件に住むことも可能です。
たとえば、家賃を2万円アップするだけでランクが上の物件に住めるので、当初8万円の物件を検討していた場合、敷金礼金ゼロ物件を選ぶだけで家賃10万円程度の部屋を借りられるかもしれません。
敷金礼金ゼロのデメリット
そんなありがたい敷金礼金ゼロ物件ですが、デメリットがないわけではありません。
・退去時に費用が必要
まず、敷金ゼロ物件だと退去時に費用が必要になることがあります。
それは入居時に敷金を払わなかった場合、退去時に必要な費用を敷金から精算できないからです。退去時に必要な費用を払わなくてはなりません。
また、敷金がゼロであっても、退去時クリーニング代は前払いという物件がほとんどですが、究極に初期費用を安価にするために、クリーニング代も退去時精算という物件が中にはあります。
この場合、クリーニング費用も退去時に請求されることになります。
お部屋を契約する際に退去時の費用について記載されているはずなので、きちんと確認するようにしましょう。
・家賃設定がやや高め
物件によって違いますが、比較的家賃設定が高めのことが多いです。
物件自体に問題がないものの、売買時の物件価格 = 賃料になるので、賃料を下げないために敷金礼金をゼロにして、入居者を募る…というケースが多いです。
つまり、物件がいいのに初期費用が安いことで、すぐに飛びつきたくなりますが、毎月の家賃を考えるとトータルでは高くつく場合もあります。
こういった物件をつかまないようにするには、近隣で同じような間取りの物件を探し敷金礼金が必要なものと比べてみればいいでしょう。
家賃が割高かもと思ったら、予定している入居期間を踏まえて検討することをおすすめします。
・家賃滞納に対して厳しい
家主さんは借り手が家賃を支払えなくなったり、突然行方不明などになった場合の担保を取っていません。
なので、敷金がゼロの物件のほとんどが保証人で借りることはできず、保証会社を利用することになります。
保証会社の説明はこちらをご覧ください。賃貸の入居審査を通すには?[保証会社編]
保証会社は家賃を少しでも滞納したら、督促が早かったり、法的手続きによる取り立てが厳しくなる可能性が高いです。
初期費用が安いからといって、自分の想定よりも賃料が高い物件に住むということは、毎月の家賃を支払えなくなる可能性も高まるということです。
万が一、賃料を滞納してしまうと金融機関が金融履歴を共有しているのと同様に、保証会社も賃料の支払い履歴を共有しているところが多いので、次に部屋を借りるときに審査が通りにくくなる可能性があります。
これは、当然と言えば当然のことかもしれませんね。
まとめ
敷金礼金について、敷金礼金ゼロのメリット・デメリットについてまとめてみました。
結論を言うと、
敷金は部屋に対する担保のお金で退去時に返還がある、礼金はお礼のお金で退去時に返還されないということになります。
さらに、家賃や初期費用、退去時の費用を改めて考えると、敷金礼金がゼロ物件はメリットばかりではないということです。
最終的に敷金は返してもらえるお金だということを理解したうえで、トータルでいくらくらいの費用がかかるのかしっかりと計算していただき、説明をしっかりしてくれる信頼できる不動産会社でお部屋探しをしましょう。
「敷金・礼金ゼロ物件だと飛びつくのではなく冷静に考えてくださいね。」
素敵なお部屋に出会えることを願っています!