賃貸物件のトラブルはどこに相談したらいい?トラブル別の対処法と相談先を紹介

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 賃貸物件に住んでいると思わぬトラブルに遭遇することがあります。住民同士のトラブル、設備のトラブル、更新時のトラブル…など数を挙げればキリがありません。賃貸物件でトラブルが発生した際は、大家さんや管理会社に相談するのが基本ですが、トラブルの内容によっては相談しても解決しないこともあります。また、トラブルを相談する際にうまく説明できなくて困るようなことがないよう、相談をする前に事前準備が必要なこともあります。

 そこで今回は、賃貸物件に起こりがちなトラブルをはじめ、トラブルを相談する前にしておくべき準備、トラブルの内容に応じた相談先についてご紹介します。

賃貸物件にはどんなトラブルが起きる?入居後&退去時のトラブルをチェック

 賃貸物件におけるトラブルは、大きく分けて入居後・退去時の2つのタイミングに分けることができます。入居後であれば騒音トラブルやルール違反、退去時であれば敷金の返還や原状回復にまつわるトラブルが多いです。

 ここで、入居後と退去後それぞれに起こりがちなトラブルについてさらに詳しくご紹介します。

入居後に起こりがちなトラブル

 入居後に多い騒音トラブルは、以下の生活音で発生しやすいです。

  • (上階の)足音
  • 子供が走り回る音
  • 洗濯機などから伝わる振動の音
  • テレビ・ステレオの音
  • 扇風機や健康器具などの動作音
  • 楽器の音
  • 話し声・騒ぐ声
  • ペットの鳴き声 など

 昼間なら気にならなくても、夜や就寝時間になると気になるケースも多いです。賃貸物件において隣室や近所の生活音は多少聞こえるものですが、我慢の程度は人それぞれなので、他人は気にしなくても自分が気にしてしまうこと、またその逆もあるでしょう。

参考記事:賃貸物件の臨時・近隣トラブルはどう対処する?よくある事例や解決方法

 また、騒音以外にも悪臭の発生や住民同士のマナー・ルール違反も入居後に多いトラブルです。

  • タバコやペットのニオイが隣室に入り込んでしまう
  • 生ゴミから液だれする状態でゴミを出す
  • ゴミの回収時間を守らない
  • 駐輪場や駐車場を無断で使用している
  • ペット不可物件にも関わらずペットを飼っている など

 ニオイは外から入り込むとは限らないため、ベランダでタバコを吸っていたり、ペットの散歩で共有部分を往来したりすることで、知らず知らずのうちに悪臭トラブルに繋がることがあります。また、住民同士のマナーやルールが守られていない場合も同様です。

※ただし、ペット不可物件に関しては大家さんが飼育を許可するケースもあるので、まずは大家さんや管理会社に確認するほうがベターと言えます。

退去時に起こりがちなトラブル

 賃貸物件の退去時には、入居時に支払った敷金の返還や原状回復による費用負担などが発生することがあります。

 まず原状回復においては、貸主側が負担すべきものと借主側が負担すべきものの目安が国交省のガイドラインで定められています。これは、退去時における原状回復のトラブルを未然に防ぐために定められているものです。

 しかしながら、実際は借主側に多くの負担が求められるケースが後をたたないため、トラブルの種になっています。また原状回復を理由に、本来返還されるべき敷金が返還されないケースがあるのも事実です。

 賃貸借契約を締結している以上、契約内容に沿った取り扱いが原則です。そのうえで貸主側の主張が不当であると判断される場合は、しかるべき機関に相談すると良いでしょう。

ケース別!賃貸トラブルで困ったときの対処法と相談先

 賃貸物件でトラブルが起きた際、どのような問題が起きているか具体的に伝えるためにも記録を取ることは重要です。一刻でも早くトラブルを解決したいかもしれませんが、焦りは禁物。いつ・どこで・どんなことが起きたのか記録しておくと、相談される側も対策が講じやすくなります。

 トラブルが起きた際、相談する前にしておくべき対処法や記録について、以下5つのケース別で対処法をご紹介します。

住民同士のトラブル
(騒音・ルール違反など)
◯トラブルが起きる時間の記録
◯騒音なら実際の音を録音
◯無断駐車等なら写真を撮影 など
設備に関するトラブル
(設備の故障や破損)
◯故障の場合は設備の取扱説明書を確認
◯破損の場合は即座に大家さんや管理会社に連絡

※自分で直接業者に修理を依頼するのはNG(詳しくは「賃貸物件で水漏れトラブル発生!修理費用の負担や相場、トラブルの対処法とは」をご覧ください)
家賃滞納や転貸にかかわるトラブル
(※これらは契約条件で定められた条件に反するトラブルなので、即座に大家さんや管理会社に連絡することが望ましい)
◯期日に支払えなかった場合は即座に連絡
◯転貸を考えている場合は管理会社に相談
更新時のトラブル
(家賃・管理費の値上げなど)
◯賃貸借契約書の条件面等を確認
退去時のトラブル
(原状回復や敷金返還など)
◯賃貸借契約書の原状回復に関する内容を確認
◯自分が負担すべき原状回復の範囲を確認(国交省のガイドラインを参照)

 賃貸物件でのトラブルを自分自身で解決しようとすれば、問題がこじれてさらなるトラブルに繋がるケースがあります。ここで、5つのケースからトラブルの対処法や相談先についてくわしく解説します。

住民同士のトラブル

 住民同士のトラブルで避けなければならないのは、当事者同士の話し合いです。トラブルの原因が特定できる場合でも、いきなり本人に伝えるのではなく、大家さんや管理会社に相談するのが得策と言えるでしょう。

 この場合「言った・言わない」の押し問答にならないよう、トラブルの詳細を記録したものを大家さんや管理会社に提出するのが望ましいです。提示された内容をもとに大家さんや管理会社が直接現場を確認できれば、原因となる住民に注意してくれたり、共有部分に注意喚起の張り紙をしてくれたりと解決策を講じてもらえます。

設備に関するトラブル

 エアコンや照明、ガスコンロなど備え付けの設備が故障した場合、まずは取扱説明書を確認したり、応急処置を施したりしたうえで、管理会社に連絡しましょう。水漏れの場合、放置すると他の住人の部屋にまで被害が広がる可能性があるため、即座に水道の元栓を閉めるなどの処置が必要です。

 備え付け設備が通常使用で故障した場合、修理は貸主の責任で行われます。そのため、相談せずに自分で修理をした場合は貸主に修理費を負担してもらえないこともあるので注意しなくてはなりません。

 自分ですぐに修理したい場合でも、まずは管理会社に相談して状況を説明しましょう。

家賃滞納や転貸にかかわるトラブル

 家賃の滞納を繰り返していると、大家さんからの信頼が失われ物件を退去するよう求められる場合があります。家賃を滞納した場合、また指定の期日までに家賃が支払えないとわかった場合は、その時点ですぐに大家さんや管理会社に連絡し、謝罪と対処法を相談しましょう。

 また、自分が借りている部屋を他人に住まわせたり、ルームシェアとして貸し出すのは転貸(また貸し)に該当します。賃貸物件における転貸は禁止されているため、無断で転貸すると契約解除を迫られる可能性があるため注意しなければなりません。

 そのうえで転貸を希望するなら、まずは管理会社に相談しましょう。

更新時のトラブル

 更新時になると、家賃や管理費の値上げを求められたり、更新自体を拒否されるケースがあります。急な通知に驚く人も少なくないでしょう。

 まず、賃料の改定については賃貸借契約書に賃料改定をする場合の条件が記載されています。そもそも家賃の値上げは契約条件を変更することになるため、借主の同意なしで行うことができません。

参考記事:家賃の値上げは拒否できる?値上げの理由や強制退去の可能性とは

 値上げに納得できない場合は、管理会社や大家さんに問い合わせましょう。もしも合意できないまま契約満了を迎えても、賃貸契約は法定更新されるのでそのまま部屋に住み続けることができます。

 また更新拒否においても、借主保護の観点から正当な理由がない限り貸主側が更新を拒否することはできません。正当な理由があるにしろ、解約時期の6ヶ月前に通知するルールがあります。

 こちらも家賃の値上げ同様、借主が同意しなくても法定更新されます。まずは管理会社と話し合いましょう。

退去時のトラブル

 退去時に敷金が返還されなかったり、入居前からある傷や破損部の補修費を請求されたりと、思わぬ要求をされてしまったら、まずは契約書の原状回復に関する内容を確認しましょう。

 自分が負担すべき原状回復の費用が敷金よりも少ないと考える場合は、原状回復費用を差し引いた敷金を返還するよう貸主に求めましょう。

 また、退去時は貸主・借主それぞれが立ち会い、損耗箇所を互いに確認して書面や写真に記録しておくと、原状回復の負担割合がはっきりするのでおすすめです。

管理会社や大家さんに相談してもトラブルが解決しない場合

 賃貸物件におけるトラブルは大家さんや管理会社に相談するのが基本ですが、それでもトラブルが解決しない場合は第三者に相談する流れになります。賃貸物件にかかわる相談窓口はいくつかあり、無料で相談することができるので便利です。

 第三者への相談を検討している人は、以下を参考にしてみてください。

都道府県の相談窓口国交省の不動産会社を管轄
一般財団法人 不動産適正取引推進機構 不動産取引に関する無料の電話相談(賃貸借契約に関係する相談も可能)
公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会賃貸住宅におけるあらゆる相談に対応
公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター(住まいるダイヤル)賃貸住宅のトラブル相談(騒音や敷金返還トラブル等にも対応)
消費者ホットライン188(いやや)身近な消費生活センターや相談窓口を案内してもらえる(退去時トラブル等にも対応)
一般財団法人 日本消費者協会トラブル解決のための相談先を斡旋してくれる
日本司法支援センター 法テラス トラブル解決のための法制度や手続き、相談窓口を案内してくれる

まとめ

 賃貸物件に住んでいるとあらゆるトラブルに見舞われる可能性があります。特に多いのは入居中や退去時のトラブルです。すぐにでも自力で解決したいと思うかもしれませんが、問題がこじれないようまずは大家さんや管理会社に相談しましょう。そのうえでトラブルが解消できない場合は、第三者への相談もおすすめです。また相談する際には、トラブルの原因を確認・記録しておくとスムーズです。冷静に対処できるよう、トラブルが起きた場合の対処法や相談先を事前に確認しておきましょう。

元・不動産メディア営業/現・不動産系ライター
岸山 海河 10本
有名不動産メディアSの創刊に関わり、地元〜大手不動産会社の物件広告を担当。2014年より不動産系ライターとして活動しています。引っ越し経験も多く、現在は片田舎に建てたマイホームに在住。部屋探しのワクワク感は今でも大好き!これまでの経験を生かしながら、沢山の人の「暮らし」に寄り添う記事を提供します。 資格:普通自動車、日本化粧品検定1級
元・不動産メディア営業/現・不動産系ライター
岸山 海河 10本
有名不動産メディアSの創刊に関わり、地元〜大手不動産会社の物件広告を担当。2014年より不動産系ライターとして活動しています。引っ越し経験も多く、現在は片田舎に建てたマイホームに在住。部屋探しのワクワク感は今でも大好き!これまでの経験を生かしながら、沢山の人の「暮らし」に寄り添う記事を提供します。 資格:普通自動車、日本化粧品検定1級

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