賃貸物件の隣人・近隣トラブルはどう対処する?よくある事例や解決方法

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 賃貸物件の隣人・近隣トラブルは、実際に住み始めてから問題化するため、未然に防ぐことが困難です。実際に隣人・近隣トラブルが起きたらどうしたら良いのか?また退去に伴う費用は請求できるのか?今回は、賃貸物件における隣人・近隣トラブルの事例や対処法についてご紹介します。

賃貸物件でよく起こる隣人・近隣トラブルとその原因とは?

 まずは、賃貸物件でよく起こる隣人トラブルについて、事例を元に実態と原因をまとめました。

騒音問題

 隣人・近隣トラブルでもっとも多いと言って過言でないのが騒音問題です。足音やドアの開閉といった生活音のほか、友人を招いて朝まで騒ぐなどのトラブルもあるでしょう。

 厄介なのは、自分で気づかず周囲に迷惑をかけているパターンです。たとえば、駐車場でのバイクや車の音、トイレを流す音など。どこから許容できるのか、どこから騒音と感じ取るのかは人それぞれですが、嫌がらせではなく、悪気なしで騒音を発している可能性もあります。騒音問題は慎重に対処しなくてはいけません。

ゴミの出し方・分別ルール

 マンションや自治体が決めたゴミの出し方を守らず、自分の都合でゴミを出してトラブルに発展するケースもあります。ゴミを巡るトラブルには、手続きが必要な粗大ごみを無理やりゴミ捨て場に放置することも見受けられます。

 さらに、ゴミ出しの曜日を守っていてもごみの分別が出来ていなかったり、生ゴミを適切な方法で処理せず悪臭が発生したりすることも多いです。ゴミ捨て場は居住者全員でルールを守らなければならないため、秩序が乱されると住民の間で“犯人探し”が始まることもあるでしょう。

異臭・悪臭問題

 隣近所の家がゴミ屋敷化していたり、ベランダに臭いの強いゴミを放置していたり、ペットの世話を怠ったりなどで異臭や悪臭トラブルに発展するケースがあります。また、異臭や悪臭が自分の部屋に流れてくることで窓が開けられない、空気の入れ替えができないと言った問題にもつながるでしょう。

 異臭や悪臭の原因となるものは、たとえ大家さんであっても勝手に処分することが出来ず、行政も介入しづらい現状があります。

境界線問題

 ベランダなどで、隣人の私物や植物がはみ出す“境界線”トラブルも賃貸物件に多い問題です。この場合本人に悪気がないケースが多いですが、それでも自分のテリトリーに侵入されるのは気持ちが良いものではありません。

共用部の使い方

 ベランダや階段、エントランスなど居住者全員で利用する共用部の使い方やマナーがトラブルに発展することも珍しくありません。共用部分に物を置く、階段の影に自転車やバイクを置く、エントランスでタバコを吸う、玄関前に可燃物を放置するなどさまざまなパターンがあります。配慮に欠けた行為がトラブルに繋がることはよくある話です。

タバコ問題

 ベランダや共用部でタバコを吸うことも賃貸物件に多いトラブルです。ベランダは共用部の一部であり、臭いが洗濯物に染み付いたり悪臭が鼻についたりと被害に繋がります。タバコを吸うのはもちろん、ポイ捨てなどのマナー違反もトラブルに発展しやすいです。

近所付き合い・挨拶

 マナー違反はもちろん、顔を合わせても挨拶しない人、無愛想な人、近所付き合いで発生する悪口など。人間関係によるトラブルもあります。賃貸物件の場合、同じくらいの収入レベルの居住者が集まっていますが、少しでも目立つことをすれば噂になることもあるでしょう。

ペット問題

 ペット可物件では“お互い様”で済む問題でも、ペット不可の物件でルールを破りペットを飼っている場合はトラブルに発展しやすいです。鳴き声や臭い問題はもちろん、動物アレルギーによる健康被害を被るケースもあるでしょう。

 また、入居当初はペット不可物件だったにも関わらず大家さんの意向でペット可に変更するケースもあります。ペット不可物件であることを承知の上で入居している人からすれば、なぜ新しく引っ越してきた隣人がペットを飼っているのか?疑問が生まれたり揉め事になることもあるでしょう。

駐車場問題

 マンションやアパートの集合住宅では、駐車場や駐輪場を巡るトラブルも多発します。たとえば、決められた駐車場所に車や自転車を停めていなかったり、友人や知人を招いた際に勝手に他人の駐車場を使わせてしまったりと厄介なケースもあります。

賃貸物件で隣人・近隣トラブルに遭ったらどうする?対処法

 賃貸物件での隣人・近隣トラブルは誰にでも経験する可能性がありますが、間違っても、相手に直接話しをしにいかないことが賢明です。もちろん“やられたらやりかえす”といった火に油を注ぐような行為もやめましょう。

 第一に取り掛かるべきは、管理会社や大家さんへの相談です。その際、状況を詳しく説明できるよう記録を残しておくことをおすすめします。「誰が・いつ・どこで・なにを・なぜ・どのように」といった5W1Hを整理しておくと、相談した相手も理解しやすいです。

 では、賃貸物件での隣人・近隣トラブルが起きた場合の適切な対処法をご紹介します。

管理会社や大家さんに相談

 トラブルの相手が隣人である場合、第三者を交えて離すことで丸く収まるケースが多いです。足音などが響く上下階のトラブルは、実際にどれくらい音が響くかを体感してもらう必要があります。なにより、直接相手にクレームをつければ激昂してさらなる対立が生まれかねません。まずは、管理会社や大家さんに事情を説明しましょう。

 また、共用部のトラブルなどで原因となる人物が特定できない場合でも、管理会社や大家さんに相談しておくことで注意書きを貼り出してもらえることがあります。管理会社の場合「近隣からクレームが来ている」といった表現で貼り紙を出し、それでも解消できない場合は「これ以上続くなら部屋を特定し厳重注意する」といった内容に変えてくれます。

ひどい場合は警察や弁護士に相談

 管理会社や大家さんに相談しても、決定的な証拠がなければ強く注意できないこともあります。特に、暴力など明らかに度を越すトラブルが起きている際は緊急性があるため、警察に通報しても良いでしょう。

 また、双方の主張が噛み合わず解決の見込みがない場合は、弁護士へ相談するのも一つの方法です。弁護士への相談は費用がかかりますが、無料の法律相談を利用するのもおすすめです。

自治体へ相談

 管理会社や大家さんでも対応しづらく、警察や弁護士に相談するレベルのトラブルではない場合、第三の選択肢として生活相談センター(生活課)などの自治体に相談することをおすすめします。

 対処法がないからと言って、一人ですべてを抱え込む必要はありません。自治体への相談や仲裁はお金がかからないため、トラブルになりそうな気配があれば利用してみましょう。

賃貸物件で隣人・近隣トラブルに遭ったら退去費用は請求できる?

 隣人・近隣トラブルがきっかけで引っ越しを検討する人もいるでしょう。とはいえ、原因が隣人・近隣にある場合に“自分が引っ越すのは納得できない”と不満に思う人もいるかもしれません。この場合、相手や大家さんに退去費用を請求できるのでしょうか?

実際に請求することは難しい

 隣人・近隣トラブルで引越し費用を請求することは簡単ではありません。器物破損や恫喝などの明らかな被害を受ければ話は別ですが、迷惑行為については度合いや内容によって引っ越し要因になるかを証明するのが難しいからです。

 それでも退去費用を請求する際は、大きなトラブルに発展する前に弁護士や専門家に相談することをおすすめします。また、自分が受けた被害について証拠を残しておくと良いでしょう。

場合によって大家さんに請求できる場合も

 隣人や近隣に退去費用が請求できなくても、大家さんに対し退去費用を請求できる可能性はあります。たとえば、トラブルを相談したのにも関わらず大家さんが対応しなかった、大家さんの監督不行き届きが原因だったなどです。

 また、退去費用が請求できなくても敷金を全額返金してもらえる可能性もあります。

賃貸物件の隣人・近隣トラブルは誰にでも起こりうる可能性あり

 隣人や近隣トラブルは誰にでも起こりうる可能性があり、これまでに事件に発展したケースもあります。改善されない場合は、別の賃貸物件へ引っ越しを検討するのも良いでしょう。退去費用の請求は簡単ではありませんが、証拠を残しておくことで話がスムーズに進む可能性があります。一人で解決しようとせず、大家さんや管理会社、専門家へ相談しましょう。

元・不動産メディア営業/現・不動産系ライター
岸山 海河 10本
有名不動産メディアSの創刊に関わり、地元〜大手不動産会社の物件広告を担当。2014年より不動産系ライターとして活動しています。引っ越し経験も多く、現在は片田舎に建てたマイホームに在住。部屋探しのワクワク感は今でも大好き!これまでの経験を生かしながら、沢山の人の「暮らし」に寄り添う記事を提供します。 資格:普通自動車、日本化粧品検定1級
元・不動産メディア営業/現・不動産系ライター
岸山 海河 10本
有名不動産メディアSの創刊に関わり、地元〜大手不動産会社の物件広告を担当。2014年より不動産系ライターとして活動しています。引っ越し経験も多く、現在は片田舎に建てたマイホームに在住。部屋探しのワクワク感は今でも大好き!これまでの経験を生かしながら、沢山の人の「暮らし」に寄り添う記事を提供します。 資格:普通自動車、日本化粧品検定1級

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