持ち家と賃貸のシミュレーション!どちらを選ぶべき?
たびたび繰り広げられる「持ち家vs賃貸論争」ですが、将来的な住まいの選択は、人生において大きなターニングポイントになると言っても過言ではありません。もちろん、持ち家も賃貸もそれぞれにメリットとデメリットがあるので、どちらが正解か一概に言えないのも事実です。
今後持ち家に住むのか、また賃貸暮らしを続けるかについては、家計やライフスタイル、今後のライフステージに大きな影響を与えるため、慎重な判断が求められます。そこで今回は、持ち家と賃貸の支出シミュレーションを通じて最適な選択を見つけるポイントを解説します。
持ち家と賃貸の基本的な違い
持ち家は住宅を購入して所有すること、賃貸物件は住宅を借りて住むことが大きな違いです。コスト面だけではなく、将来の暮らし方やライフスタイルによって選ぶべき住まいも大きく左右されるでしょう。
ここで、持ち家と賃貸物件それぞれの特徴をあらためて整理してみました。
【持ち家の特徴】
- 入居時に大きな出費(頭金や住宅ローン)がともなう
- ローン返済が終われば住居に関する固定費が減る
- リフォームやリノベーションで自分好みの住空間を生み出せる
- 固定資産税や修繕費の支出が発生する
【賃貸の特徴】
- 初期費用は持ち家に比べて少ない
- 長期にわたって家賃を支払う必要がある
- 家計に与える影響は継続的
- 自由にリフォームすることが難しい
- 住環境に対する制約がある
- 住み替えしやすい
持ち家の場合、ローンとは別に固定資産税や修繕費(修繕積立金など)が必要になるので、ローンを返済しても固定費が一切なくなるということはありません。とはいえローンの完済後は住居費が大きく抑えられるので、高齢になることを考えれば安心できる要素とも言えるでしょう。
とはいえ、持ち家の場合は簡単に引っ越すことができません。賃貸物件の魅力は、収入や家族状況に応じて自由に引っ越しができる点にあります。
一方で、賃貸物件は規約も多く自由度が少ないデメリットもあります。家賃は発生し続けるうえに、高齢になるほど借りにくいのも難点と言えるでしょう。
持ち家と賃貸のシミュレーション方法
持ち家と賃貸のどちらが経済的に有利かを判断するためには、支出をシミュレーションすることがおすすめです。ここでシミュレーションすべき4つの要素をまとめました。
- 初期費用
- 月々の支出
- 長期的なコスト
- ライフスタイルや価値観
初期費用
持ち家の場合 | 賃貸の場合 |
◎頭金 ◎住宅ローンの手数料 ◎不動産取得税 ◎登記費用 ほか | ◎敷金 ◎礼金 ◎仲介手数料 ◎前家賃 ほか |
持ち家の初期費用にかかる頭金や住宅ローンの手数料、不動産取得税などは、住宅価格の20%程度が必要と言われています。不動産取得税や登記費用など、購入時にかかる諸費用も考慮しなければなりません。
一方、賃貸の場合の初期費用は物件によって項目もさまざまです。なかには敷金・礼金が不要な物件もあるので、持ち家よりも支出が抑えられるのが一般的と言えるでしょう。ちなみに賃貸物件の初期費用は、家賃の数ヶ月分に相当することが多いです。
月々の支出
持ち家の場合 | 賃貸の場合 |
◎住宅ローン返済額 ◎固定資産税 ◎保険料 ◎修繕費 ほか | ◎家賃 ◎共益費 ◎管理費 ほか |
持ち家の場合、毎月の住宅ローン返済額に加えて、固定資産税や保険料、メンテナンス費用などが発生します。特にマンションの場合、ローンとは別に管理会社へ修繕積立金を支払う必要も出てくるでしょう。税負担については地域によっても異なるため、シミュレーションを行う際には正確な情報を収集することが重要です。
賃貸の場合、おもな支出は月々の家賃となります。物件によっては共益費や管理費がかかる場合があるでしょう。また、賃貸契約の更新時には更新料が発生する場合があるため、これも考慮に入れて計算する必要があります。
長期的なコスト
月々の支出だけではなく、長期的な視点で持ち家と賃貸を比較することも重要なポイントです。たとえば、20年、30年といった長期間にわたってどのくらいのコストがかかるのかをシミュレーションするとわかりやすいでしょう。
持ち家の場合、住宅ローンの返済期間や金利によって支払い総額が変わります。またローン返済が終わった後は、固定資産税やメンテナンス費用がおもなコストです。持ち家は資産として残るため、将来的に売却することで現金化できる可能性もあります。
賃貸の家賃はインフレに伴って上昇する可能性があるため、その点も考慮する必要があります。長期間住み続ける場合、家賃の総額はかなりの金額になるでしょう。その反面、物件の維持費や修繕費を負担する必要がないというメリットもあります。
ライフスタイルや価値観
経済的なシミュレーションだけでなく、ライフスタイルや価値観も考慮しましょう。たとえば持ち家の場合、家族の成長やライフステージの変化に合わせてリフォームすることが可能です。一方、賃貸では転勤やライフスタイルの変化に応じて簡単に引っ越すことができるため、柔軟に対応することができます。
このほかにも、将来どこに住みたいのか、家族構成がどのように変わるかなどを予測し、それに合った選択をすることが重要です。
持ち家と賃貸のメリット・デメリット
持ち家と賃貸は、コスト以外にも比較すべきメリット・デメリットがあります。ここで、それぞれのメリット・デメリットについて簡単にまとめました。
持ち家のメリット・デメリット | 賃貸のメリット・デメリット |
【メリット】 ◎資産として残せる・活用できる ◎制限が少なく自由度が高い ◎同じ場所に住み続けられる安心感 【デメリット】 ◎初期費用や維持費が高額 ◎不動産価値が下がるリスク ◎住み替えができない | 【メリット】 ◎ライフスタイルに合わせて柔軟に暮らせる ◎初期費用が少ない ◎不動産価値の変動に左右されない ◎経済的なリスクが少ない 【デメリット】 ◎資産形成ができない ◎制約が多く自由度が低い ◎家賃上昇のリスク |
持ち家の大きなメリットは資産形成ができる点です。売買や相続だけでなく、地価が上昇する地域なら購入時よりも高い価格で売却できる可能性もあるでしょう。賃貸の場合、家賃を払い続けても資産を形成することができません。
その点、賃貸の大きなメリットは経済的なリスクがない点にあります。ローン返済に苦しむことはありませんし、ライフスタイルやライフステージの変化に合わせて住みかえられるので、家計も安定します。自由度は少ないものの、柔軟性の高さについては賃貸物件に軍配が上がるでしょう。
持ち家と賃貸の選択を左右する3つの要素
今後の住まいを持ち家にするか、また賃貸にするかを選択するなら、次の3つの要素を加味すると良いでしょう。
- 経済状況
- ライフスタイル・ライフステージ
- 地域性
今後の住まいについて検討する場合、まずは自分の経済状況を正確に把握することが一番重要です。もしも持ち家を購入するなら、初期に支払う頭金やローンの支払い能力を確認し、将来的な収入の変動も考慮する必要があるでしょう。
また持ち家か賃貸かを選択する際は、今後のライフスタイルやライフステージの変化も意識しておきたいポイントです。長期的に安定した生活を望むのであれば持ち家が適しているかもしれませんが、頻繁に転勤がある場合や、ライフステージが変わる可能性が高い場合は賃貸の方が柔軟に対応できます。
そして住む地域の不動産市場や、将来的な地価の変動も住まい選びにおいて重要な要素です。将来的に地価が上昇する見込みがある地域では、持ち家の資産価値が高まる可能性がありますが、逆に地価が下落するリスクもあります。将来的に売却や相続を考えているなら、負の遺産にならないよう慎重に検討する必要があるでしょう。
まとめ
持ち家と賃貸のどちらを選ぶかについては、それぞれの経済状況やライフスタイル、地域の特徴などの要素を考慮すべきと言えます。初期費用や月々の支出、長期的なコストなどを一つひとつシミュレーションして、どちらが自分にとって最適な選択肢かを見極めることが大切です。持ち家には資産形成や自由度の高さといったメリットがある一方、賃貸には柔軟性や経済的リスクの低さが魅力と言えます。持ち家と賃貸、どちらが自分にとって最適かを判断するためにも、綿密にシミュレーションしてみましょう。