リノベーション物件は不動産投資に適している?
不動産投資を行う際、物件選びにもっとも時間と労力をさくという方も少なくありません。
理想の物件に出会うためには、新築だけでなく中古物件も視野に入れることが大切です。中古物件であっても、購入後にリノベーションを行い、新築と同様のデザイン性や機能性をもたせることができます。
今回は、不動産投資において中古物件を選ぶ魅力や、リノベーションの注意点などを解説します。
中古物件の魅力は利回りの高さ
不動産投資において、中古物件はおすすめされることもあれば、「新築物件を購入すべき」という声も耳にします。
中古物件の最大の魅力といえば、やはり利回りの高さです。物件情報を確認すると、新築物件と比べて中古物件は利回りが高いことがわかるでしょう。
中古物件はなぜ利回りが高いのか
そもそも、なぜ中古物件は利回りが高いとされているのでしょうか。たとえば、以下のような新築物件のケースについて利回りを計算してみます。
【新築物件を5,000万円で購入し、家賃15万円で貸し出した場合】 表面利回り=(15万円×12か月÷5,000万円)×100=3.6% |
一方、上記と同じ物件を中古として購入した場合、購入価格は大きく下がりますが、築浅であれば家賃はほとんど下げることなく賃貸に出すことができます。
【中古物件を3,500万円で購入し、家賃15万円で貸し出した場合】 表面利回り=(15万円×12か月÷3,500万円)×100=5.1% |
上記のように、同じ物件でも築浅であればあるほど、中古物件のほうが表面利回りが高くなります。そのため、利回りのみを考慮して物件を選ぶのであれば、新築より築浅の中古物件が良い、という結論になるのは当然です。
「築浅」という条件がもたらす注意点
上述の通り、不動産投資において中古物件がおすすめされるのは、「築浅」という条件を満たした場合であることがほとんどです。
それは、表面利回りを意識しすぎるあまり、築古の中古物件を購入してしまうとかえって損をする可能性があるためです。
不動産には「耐用年数」が設定されています。耐用年数とは、資産の使用可能期間を指します。
新築物件の耐用年数を50年とすると、家賃15万円の物件を運用した場合に生涯得られる家賃収入は、以下のように変化します。
【新築の場合】15万円×12か月×50年=9,000万円 【築10年の場合】15万円×12か月×40年=7,200万円 【築20年の場合】15万円×12か月×30年=5,400万円 【築30年の場合】15万円×12か月×20年=3,600万円 |
このように、耐用年数の短い中古物件は、築古になればなるほど生涯得られる家賃収入が少なくなっていきます。
つまり、一見すると利回りの高いように見える中古物件は、築年数を考慮して購入しなければなりません。
また、一般的に中古物件は金融機関の審査が通りにくいといわれているため、購入時に多くの頭金が必要になることもあります。
中古物件の利回りが高いのは事実ですが、こういった注意点を踏まえて探す必要があるでしょう。
リノベーションのデメリット
リノベーションは、中古物件を購入した場合にその物件の価値を高めるひとつの手段です。
実際、中古物件を安価で購入し、リノベーションを行うことで物件の価値を高め、新築に近い家賃で貸し出すのは有効的な方法です。
ただ、中古物件のリノベーションには気をつけなければならない点もあります。こちらでは、リノベーションのデメリットをご紹介します。
リノベーション費用が物件購入費とは別に必要
中古物件を購入しリノベーションを行う場合、もちろん物件の購入費以外にもリノベーション費用が必要です。
原状回復が基本となるリフォームと比べて、リノベーションは機能の向上や間取りの大幅な変更なども含むため、費用もかなりの額が必要になると考えられます。
新築の物件ではあれば購入コストだけを考えれば十分ですが、中古物件をリノベーションするとなると、後のリノベーション費用も見据えて物件を購入する必要があります。
ただ、近年はリノベーション費用にも価格競争が起こっており、新築物件の購入費より中古物件の購入費+リノベーション費用のほうが安くなる可能性もあります。
購入の際はしっかりと比較検討を行いましょう。
リノベーションの工事期間中は入居者を募集できない
上述の通り、リノベーションはリフォームと比べて大掛かりな工事となるケースもあります。そのため、リノベーションの工事期間中は基本的に入居者を募集できません。
厳密には、入居者を募集しても内覧してもらうことができないため、コストだけがかかり成約にいたる可能性が低くなります。
リノベーションの工事期間中の家賃収入は0円になるため、ローンの返済など資金計画を立てておく必要があります。
需要にマッチしたリノベーションを行わないと無駄になる
リノベーションは、賃貸需要を高めるために行うものですが、オーナーの好みに合うよう行うことも珍しくありません。
そのため、入居希望者の需要とマッチしたリノベーションを行わないと、入居希望者の目に留まることなく、リノベーションの費用が無駄になってしまう可能性があります。
リノベーションを行う際は、足りない設備を補うだけでなく、その地域で物件を探している方がどんな家を探しているのかリサーチすることが大切です。
投資用の中古マンションを探す際のポイント
後のリノベーションを見据えて中古マンションを探す場合、どのような点を意識すれば良いのでしょうか。
エリアやアクセス、周辺環境
リノベーションを行い物件の価値を高めたとしても、入居者が集まらなければ効果を発揮できません。
そのためには、エリアや駅からのアクセス、周辺環境を意識して物件を探す必要があります。好立地の中古物件を探すことが大切です。
実現したい間取りやデザインは可能か
中古物件を購入しリノベーションを行う方法は、不動産投資においておすすめされる方法のひとつです。
ただ、リノベーションは万能ではなく、実現したい間取りやデザインをすべて行えるわけではありません。
建て替えではない分、できることには制限があり、大幅な間取りの変更や天井の高さの変更、配管の移動などはできないことも考えられます。
管理規約
マンションには必ず管理規約が定められており、リフォームやリノベーションの範囲も定められています。
たとえば、ペットの可・不可や、遮音等級の指定など、リノベーションの際には注意が必要な点も少なくありません。
物件を購入する前に管理規約を確認し、自らが行おうと考えているリノベーションが可能か把握しておきましょう。
リノベーションのポイント
前述のようなデメリットはあるものの、リノベーションは不動産投資において非常に魅力的な手段です。
中古マンションをリノベーションする場合は、どのような点を押さえて行うべきなのでしょうか。
時代にあったリノベーションを行う
新型コロナウイルスの流行もあり、現在は都心でも空きとなる物件が増えています。そのため、今後は賃貸物件同士の競争も激しくなると予想されています。
リノベーションを成功させるには、時代にあったリノベーションを行うことが大切です。
入居者を明確にイメージし、そのターゲットが住みたくなるような家にするにはどんなリノベーションが必要か考えましょう。
リノベーション後の採算性を考える
リノベーションを行えば必ず入居者が集まるわけでありません。高い費用をかけてリノベーションを行っても、採算を取ることができなければ、コストが無駄になってしまいます。
投資額と得られる家賃収入の関係から、採算性を検討することが大切です。
まとめ
不動産投資では、あえて中古物件を購入しリノベーションを行うケースもあります。
ただ、むやみにリノベーションを行ってもコストが無駄になる可能性も考えられるため、採算性やリノベーション計画をしっかりと立てることが大切です。
不動産投資を検討している方は、こちらの記事もご覧ください。