不動産投資に必要な税金の種類と金額について
投資の代表格ともいえる不動産投資。成功すれば大きな利益を手にすることができる一方、欠かせないのが税金に関する知識です。不動産投資では、不動産を仕入れたタイミングや利益をあげたタイミング、売却するタイミングなど、シーンに応じて必要な税金の種類が異なります。
今回は、不動産投資に必要な税金の種類とおよその金額についてご紹介します。
不動産投資に必要な税金一覧
ここでは、不動産投資に必要な税金を一覧でご紹介します。詳細な内容は、後述する各項目をご覧ください。
【不動産を購入したときに必要な税金】
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 固定資産税
- 消費税
- 印紙税
【不動産を所有しているときに必要な税金】
- 固定資産税および都市計画税
【不動産で利益をあげたときに必要な税金】
- 所得税
- 住民税
【不動産を売却したときに必要な税金】
- 譲渡所得税
不動産投資を購入したときに必要な税金
不動産の購入時にはさまざまな税金が必要です。ここでは、以下の項目についてご紹介します。
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 固定資産税
- 消費税
- 印紙税
登録免許税
不動産を購入した際、その不動産の所有権を明らかにするために「登記」という作業を行います。その際に必要となる税金が「登録免許税」です。登記には、不動産を取得した後、所有権に関するトラブルが生じた場合でも権利主張ができるなどのメリットがあります。
登録免許税は「固定資産税評価額×税率」で計算します。不動産投資では、税率が物件によって異なり、新築物件の場合は0.15%、中古物件の場合が0.3%です。固定資産税評価額は、毎年送付される固定資産税の納税通知書で確認できます。
不動産取得税
不動産を売買で取得した際に必要となる税金が不動産取得税です。相続などで不動産を取得した場合は必要ありません。不動産取得税は地方税のため、都道府県に納税します。
不動産取得税の計算方法は、「課税標準額×税率」です。2021年3月31日までは軽減措置実施中のため、税率は一律3%となっています。
固定資産税
固定資産税は、不動産を所有している個人や法人にかかる地方税の一種です。1月1日時点で不動産を所有している方に対して課税されます。年の途中で不動産を購入した場合は、日割りで売主と買主の双方が負担します。固定資産税が10万円で、7月1にちの時点で所有権が移転した場合は、売主と買主の双方が5万円ずつ負担することになります。
固定資産税の計算方法は、「固定資産税評価額×税率」です。標準税率は1.4%に設定されています、住んでいる地域によって異なるケースもあります。
消費税
法人から不動産を購入した場合は、建物の部分のみに税金がかかります。個人から物件を購入した場合や、土地の売買については課税されません。税率は一律10%です。
印紙税
不動産の売買契約書を作成する際は、印紙の貼り付けが必要です。印紙税額は、購入する不動産の価格によって異なります。以下の表を参考にしてください。
不動産の価格 | 印紙税額 |
1万円未満のもの | 非課税 |
10万円以下のもの | 200円 |
50万円以下のもの | 200円 |
100万円以下のもの | 500円 |
500万円以下のもの | 1,000円 |
1,000万円以下のもの | 5,000円 |
5,000万円以下のもの | 10,000円 |
1億円以下のもの | 30,000円 |
5億円以下のもの | 60,000円 |
10億円以下のもの | 160,000円 |
50億円以下のもの | 320,000円 |
50億円を超えるもの | 480,000円 |
売買契約書に記載金額のないもの | 200円 |
不動産を所有しているときに必要な税金
不動産には、所有しているだけで一定の税金が必要です。ここでは、以下の項目についてご紹介します。
- 固定資産税および都市計画税
固定資産税および都市計画税
不動産投資を行っているかどうかにかかわらず、現在不動産を所有している場合は固定資産税と都市計画税を支払わなければなりません。固定資産税の計算方法は、上述した通りです。
都市計画税とは、都市計画事業や土地区画整理事業に使用することをもくてきに徴収される税金の一種です。毎年1月1日時点を基準に徴収されるため、固定資産税と同様に扱われるケースが一般的です。
都市計画税の税額の計算方法は、「固定資産税評価額×税率」です。税率は0.3%となっていますが、自治体によって異なる場合があります。
不動産投資で利益をあげたときに必要な税金
不動産投資は、一定の利益を目的に行うケースがほとんどでしょう。不動産投資によって生まれた利益には、一定の税金の支払いを求められます。ここでは、以下の項目についてご紹介します。
- 所得税
- 住民税
所得税
不動産投資によって得られた利益から必要経費等を差し引いた額は、「所得」と見なされます。そのため、会社員が受け取る給与などと同様に所得税を支払う必要があります。
所得税には、所得金額の大きい人ほど多くの税金を支払う「累進課税」が採用されています。以下の表は、所得金額別の税率と控除額を示したものです。
所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円~330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円~695万円以下 | 20% | 427,000円 |
695万円~900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円~1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円~4,000万円以下 | 40% | 1,796,000円 |
4,000万円~ | 45% | 4,796,000円 |
所得税の計算には、不動産投資によって得られた利益だけでなく、仕事の給料を表す給与所得などすべてを含みます。これを総合課税方式と呼び、不動産投資で利益が出ていなければ、他の所得の合計からマイナス分を差し引きします。そのため、支払う税金も結果的に少なくなります。
所得税の計算方法は、「課税所得金額×税率」です。
住民税
前述の通り、不動産投資で利益が発生した場合は確定申告を行わなければなりません。そして、所得金額に応じて住民税を支払う必要があります。住民税は、一律10%と決められていますが、住んでいる自治体によっては異なる独自ルールを設けている可能性もあります。
計算を行うのは納税者本人ではなく、地方自治体が行います。納税者が確定申告を行うと、役場で計算された住民税額が納税者に伝達されます。
住民税も所得税と同様、会社員としての給与などと合算して計算が行われます。不動産投資の結果がマイナスであれば、その分支払う住民税も安くなります。
不動産を売却したときに必要な税金
不動産を売却する際にも税金の支払いが必要です。ここでは、以下の項目についてご紹介します。
譲渡所得税
不動産を売却した際に必要となる税金が譲渡所得税です。不動産だけでなく、株式や貴金属など、所有しているものを売却した際に加算される税金です。ただし、売却金額すべてに税金がかかるわけではなく、購入額より売却額のほうが高くなった場合のみ税金が必要です。
たとえば、2,000万円で不動産を購入し、売却時に2,500万円となった場合は、りえきの500まんえんについて税金が発生します。反対に1,500万円で売却した場合は税金は発生しません。
所有期間が5年未満で、自宅以外の不動産を売却した場合は、税率が39%と高くなってしまうため注意が必要です。
まとめ
このように、不動産投資は購入や運用、売却などさまざまなタイミングで税金が発生します。あらかじめ理解しておかないと資金が準備できないなど不都合な事態が発生するかもしれません。これを機会に不動産投資の税金に関する知識を取得しましょう。