サブリース契約の問題点とは[トラブル実態調査]
不動産経営の知識を持っていないオーナーでも、一定の収入を得られるため人気集めているサブリース契約。しかし、サブリースの実態を調査してみると、トラブルになった事例も少なくありません。そこで今回は、サブリース契約の問題点とトラブルの実例をご紹介します。今後、サブリース契約を検討しているおーな様は、ぜひ参考にしてください。
サブリース契約とは?
そもそも、サブリース契約とはどんなものなのでしょうか。簡単にご説明します。
サブリースとは、英語で「sublease」と表記し、又貸しや転貸を意味します。特に、土地や物件などの不動産を所有しているオーナーに対して一括借り上げを行い(マスターリース)、それを入居者へ賃貸する場合に「サブリース契約」と呼ぶケースが多いです。
物件の所有者であるオーナーから、一括借り上げを行う不動産管理会社を「サブリース会社」と呼びます。
サブリース契約では、サブリース会社からオーナーへ一定の家賃を支払う「家賃保証」が組み込まれている場合がほとんどで、入居者がいない場合でも支払われるため、不動産経営に関する知識がない方でも収入を得られると話題になりました。
サブリース契約について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
サブリース契約の問題点
上記のように、サブリース契約には魅力がある一方、問題点も数多くあるといわれています。そこで次は、サブリース契約に関する問題点を列挙します。
サブリース契約は業者が儲かるようになっていることが多い
サブリース契約最大の問題点は、業者が儲かるようになっていることが多い点です。
サブリース契約は、一般的に「30年間家賃保証が受けられる」「不動産経営のノウハウがなくても安泰!」などのうたい文句でオーナーを集めています。その代わり、家賃保証率を通常の家賃の70~90%に設定し、両者ともに利益をあげられるようになっているのです。
しかし、サブリース契約には、たいてい「5年ごとに家賃保証に関する改定を行う」などの記載があります。物件が満室になるほど人気であれば現状維持のまま支払われることが多いですが、入居率が下がってくると家賃保証率を下げ、サブリース会社に損害が出ないようにします。
つまり、サブリース契約では、経営がうまくいかなくなったときに真っ先に不利益を被るのはオーナーであり、不動産管理会社ではないのです。
もちろん、その代わりにサブリース会社が入居者の募集や物件の管理・入居者間のトラブル対応などを行ってくれるため、一概に不利益を被るとはいえません。経営がうまくいかなくなったときのことを考えて、サブリース契約を結ぶ必要があるでしょう。
サブリース会社倒産の可能性
サブリース会社が倒産する可能性がある点も、サブリース契約の問題点のひとつです。確かに、サブリース契約では入居者の家賃滞納や入居者間のトラブルに関わることはありません。しかし、サブリース会社が倒産した場合、その負担はオーナーが背負うことになります。
オーナーのなかには、家賃保証の額を前提として銀行からお金を借りて物件を購入している方もいます。サブリース会社が倒産すると、返済計画が狂ってしまい、ローンが返済できなくなる可能性もあります。
オーナーが入居者を選べない
本来の賃貸借契約は、オーナーである大家さんが入居者の審査を行います。家賃の支払い能力があるかどうかだけでなく、身なりや言葉遣いなどを総合的に考慮して判断します。
しかし、サブリース契約では物件の入居者に関する審査はサブリース会社が行います。そのため、オーナーが住んで欲しくないと思うような人物が入居する可能性もあります。
極端な例では、反社会的勢力に属する人や過去に近隣トラブルを起こした人などです。多少問題があっても、サブリース会社としては空室を減らすために入居させる場合があるのです。
新たに建物を建築する際にデメリットが生じる
サブリース契約は、元々物件を所有しているオーナーが始める場合もありますが、物件を所有していないオーナーが銀行からお金を借り、新築の建物に投資する形で始める場合も少なくありません。
この場合、サブリース会社の指定した業者で施工や修繕工事を行わなければならない、と契約で定められているケースが多く、通常より工賃が高くなりがちです。
つまり、コスパの悪い業者にお金を払わなければならないため、余計な出費がかさむ可能性が高いです。
サブリース契約は解約しづらい
「不利な契約を結んだら解約すればいいじゃないか」と思う方もいるでしょう。しかし、サブリース契約を解約するのは簡単ではありません。
サブリース会社は、オーナーとの関係では物件の借主にあたるため、家賃保証で定めた金額が支払われないなど、相応の理由がない限りオーナーから解約するのは難しいでしょう。
サブリース契約には家賃保証率を下げる項目も含まれているため、当初の契約とは異なる家賃保証率になったとしても解約は簡単ではありません。
リフォームの際のトラブル
サブリース契約では、前述の通り空室率が高くなると家賃保証率を下げられる可能性があります。そのため、オーナーはリフォームなどで物件の価値を挙げて、入居者を獲得しようとします。
しかし、一般的なサブリース契約では、オーナーの一存でリフォームをすることはできません。場合によってはサブリース会社が指定した業者でのみリフォームを受け付けることもあり、費用も余計に膨らむかもしれません。
契約書には記載してあるはずですが、実際そこまで確認している方は少数です。
サブリース契約のトラブル実例
上記で紹介したように、サブリース契約にはメリットがある一方、オーナーから見ると不利益になりかねない点もいくつかあります。そのため、サブリース契約を結ぶ際は、しっかりと契約内容を精査する必要があるでしょう。
それでは、最後にサブリース契約によって生じたトラブルの実例をご紹介します。
オーナー数十名による集団訴訟
アパート建築や不動産賃貸業を営む不動産会社L。CMを何本も打ち、家具家電付きの物件が人気を集めるなど、知らない人はほとんどいない会社です。
しかし、サブリース契約においてLは、物件の所有者であるオーナーから集団訴訟を何度も起こされています。規模はさまざまですが、100人規模の訴訟も起きています。
原因はいくつかあります。とくに多かったのが、サブリース契約を結んだ当初、オーナーたちはL社から「30年間賃料は減額しない」「損は絶対にしない」などのうたい文句を受けていました。しかし、リーマンショックの影響でL社の経営が悪化し、30年どころか10年未満で家賃が減額されたケースや、サブリース契約の解除を求められたケースです。
「絶対損をしない」契約などあるはずがありませんが、サブリース契約の実態を知らずに契約に踏み切ると、このようなトラブルに巻き込まれる可能性がありおます。
まとめ
サブリース契約は、今後不動産経営による副収入を得たいと考えている方にとって、一見すると魅力的な契約に見えるかもしれません。もちろん、サブリース契約=悪というわけではありません。本当の意味でオーナーに利益をもたらす場合もあるでしょう。
しかし、契約内容によっては損をするだけでなく、銀行の借入金などが残り、借金生活を余儀なくされる可能性もあります。サブリース契約を結ぶ場合は、契約内容を精査し、気になる点は徹底的に質問するなど用心深さが必要となるでしょう。