賃貸物件の契約で絶対にやってはいけない名義貸しとは?
賃貸物件を借りる際、他人の名義を利用することを「名義貸し」といいます。あまり良くないことはイメージできるものの、法的にどのような評価を受けるのかよくわからないという方も多いでしょう。
そこで今回は、賃貸の契約時に行われる名義貸しについてお伝えします。さまざまな観点から名義貸しを評価しますが、基本的に名義貸しを行わないようにしたほうが無難です。
名義貸しの基礎知識
名義貸しはあまり聞きなれない言葉ですが、賃貸物件を契約する現場ではたまに行われる行為です。こちらでは、名義貸しの概要や法的な観点からの評価をしていきます。
名義貸しとは?
名義貸しとは、賃貸物件を契約しようとしている他人に自分の名義を貸すこと。例えば、Aさんが賃貸物件を契約する際に、自分の名前ではなくBさんの名前を利用して契約することを指します。賃貸借契約を締結する際、大家さんや不動産管理会社に提出する書類に借主の名前を記入する必要があります。ここで実際に入居する方とは異なる名前を記入することを「名義貸し」と呼びます。
ここで問題になるのが、なぜ名義貸しが行われるのかという点です。そもそも、賃貸物件で希望する部屋が見つかった場合、入居審査をパスしなければ入居することはできません。そのため、何らかの理由で「入居審査に落ちるかもしれない」と感じている方が、家族や知人の名義を借りて審査に臨むケースが多いようです。決して数は多くないものの、名義貸しは現在も見かける行為です。
賃貸の名義貸しは違法なのか
結論から説明すると、名義貸しは違法と評価される行為です。賃貸借契約では、借主には不動産会社や大家さんに正しい情報を提供する義務が生じています。自分の名前はもちろん、勤務先、収入など、貸主が必要とする情報は正確に伝える必要があります。
また、賃貸借契約では、契約者と異なる名義の方が住むことは禁止されています。先程の例では、あくまで契約者は名義を貸したBさんとなるため、無断でAさんが住む場合は「無断転貸」と評価されます。
名義貸しは、上記2つの義務に真っ向から反する行為です。そのため、法律違反と評価され、賃貸借契約の解除・立退を求められたり、場合によっては債務不履行による損害賠償を請求されたりする可能性もあります。
名義貸しのリスク
名義貸しを行った場合、責任を追求されるのは契約書に名義を貸した方です。先ほどの例ではBさんということになります。例えば、家賃の滞納や設備の故障による金銭支払い義務が発生した場合は、契約書に名前が記載されているBさんが請求されます。Bさんは名義を貸しただけと考えるかもしれませんが、このようなトラブルに巻き込まれる可能性があるのです。
退去時の原状回復費用や違約金などについても同様です。知らない間に名義を使用されていた場合などは、裁判で訴えることもできますが、それにも費用と時間がかかります。
賃貸の名義貸しは保険会社とトラブルに発展することもある
名義貸しは不動産会社や大家さんなどの貸主とトラブルになるのはもちろん、保険会社や保証会社との揉めごとに発展するケースもあります。賃貸借契約書を作成する際に名義貸しを行った場合、同時に加入する火災保険や保証会社との契約書にも同じ名前を記入しなければならなくなります。その結果、本来加入すべき方の名前と契約書の名義にズレが生じてしまうのです。
このような状態で火災が発生すると、保険金を受け取れなかったり、書類に正確な情報を書かなかったことで損害賠償を請求されたりなど、トラブルが発生するおそれがあります。
賃貸で名義貸しが認められることがある
上記で見てきたように、賃貸物件において入居者と名義人を偽る行為は原則認められません。あとから判明した場合は、契約を解除されたり損害賠償請求されたりする可能性があります。そのため、どのような事情があっても名義貸しを行うのはやめましょう。しかし、特定のケースでは入居者と名義人が異なることが許される場合があります。以下では、2つのケースをご紹介します。
未成年の子どもに代わって親が名義人になる
もっともよくあるのが、進学などを機に子どもが一人暮らしをする際、入居者は子どもとしながら契約者を親とするケースです。子どもには家賃の支払い能力はないため、親を名義人として審査を受けることで、子どもが家を借りられるようにしています。
この場合は、不動産会社や大家さんも入居者と名義人がズレていることを理解しているため、特に問題になることはありません。
法人契約で従業員が入居する
建物を社宅として借り上げる場合、契約名義は法人ですが、実際に生活するのは会社の従業員です。この場合も入居者と名義人がズレていますが、先ほどと同様の理由で特に問題はありません。
まとめ
賃貸物件を契約する際、個人で名義貸しを行うと契約違反と判断され、立ち退き損害賠償などを請求されるリスクがあります。そのため、どんな理由があっても名義貸しを行わないように注意することが大切です。
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