二重家賃を払いたくない!引っ越しの空家賃を抑える方法とは

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 引っ越しには出費がつきものですが、順序よく手続きを進めなければ家賃の二重払いが発生する可能性があります。そもそも、家賃の二重払い(=二重家賃)はなぜ発生するのでしょうか?二重家賃が多くかかるケースのほか、二重家賃を抑えるポイントについて解説します。

二重家賃(空家賃)とは?

 二重家賃は、今住んでいる物件の退去日と新居への入居日がズレることで発生する家賃のことです。これは、住んでいる物件の契約が終了する前に新居が入居できるようになる(=家賃発生)ことが原因であると考えられます。

 一般的に賃貸契約は2年間などの期間が設けられていますが、その期間内に退去する際は一定の期限までに貸主(大家さんや管理会社)に解約予告する契約になっています。一方で、新居の家賃は賃貸契約が完了したタイミングから発生することが一般的です。

 仮に、今住んでいる物件の賃貸契約を月末で終了し、翌月1日から新居の家賃が発生する契約をすれば、家賃の二重払いは発生しません。しかし、現実的にはこのようなタイミングで引っ越しするのは困難であり、月末もしくは月初のどちらかで引っ越しを済ませなくてはならないため、最低でも1日分の二重家賃は避けられないでしょう。

要注意!二重家賃が多くかかるケース

 現実的には回避しようのない二重家賃ですが、タイミングによってその負担も大きくなるのが注意点です。

 たとえば、今住んでいる物件の解約予告(退去連絡)が遅くなった場合。先述の通り、退去の際は一定期間内(多くは解約の1ヶ月前)に退去予定を貸主に伝えなくてはなりませんが、部屋探しは引っ越しの準備に気を取られて解約予告が遅くなるケースがあります。仮に8月15日に解約する場合は7月15日までに解約を申し出なくてはなりませんが、解約予告を7月31日にした場合、解約日は最短でも8月31日となり、二重家賃の期間が半月以上続く状態になります。

 このほかにも、新居が即入居可の物件である場合は、入居審査が終わり重説を経てすぐに契約できるため、新居の契約後から今住んでいる物件の解約日まで二重家賃が発生します。

★家賃は、実際の入居時・退去時の日付ではなく、契約上の日付をもとに発生するので注意が必要です。

二重家賃を抑える7つのポイント

 二重家賃が発生する仕組みが理解できれば、物件選びや入居日の決め方次第で二重家賃が発生する期間を減らせることができます。そこで、二重家賃を抑えるポイントを7つご紹介します。

賃貸契約書の解約予告期間を確認する

 賃貸物件を契約する際に交わす賃貸契約書には、解約にかかわる解約予告期間が記載されています。一般的には1ヶ月とされていますが、契約によっては2〜3ヶ月も前に解約を申し出なければならないケースもあるため、あらかじめ賃貸契約書を確認しておきましょう。解約予告期間について「大体は1ヶ月だから」などと思いこんでいると、思わぬ二重家賃が発生する可能性があります。

完成前の新築物件を選ぶ

 完成が近い新築物件なら、ある程度の入居日を事前に知ることができます。この日程に合わせて解約予告をすれば、慌てて引っ越しすることもなく二重家賃を1日も払わずに済むことができるでしょう。とはいえ、新築物件そのものの数は多くなく、家賃も相場より高く設定されている可能性が高いため、トータル的にお得であるとは言い切れません。

入居まで1ヶ月以上かかる物件を選ぶ

 新居にまだ前の入居者が住んでいたり、リフォームやクリーニングに時間がかかったりする場合は、申込みをしても入居までに日数がかかることがあります。入居前に内見ができないなどのデメリットもありますが、その分入居日を遅らせることができるため二重家賃の期間を抑えることが可能です。

フリーレント物件を選ぶ

 賃貸物件におけるフリーレントとは、入居から数カ月間の家賃が無料になる契約を指します。フリーレント物件を選べば、解約予告や退去日が遅れても新居の家賃は発生せず、二重家賃もなくなります。また、無料になった家賃は入居時の初期費用から引かれるため初期費用自体が安くなるのもメリットです。

入居日について交渉する

 二重家賃の期間を抑えるには、入居日を遅らせるのも一つの方法です。入居日を遅くすれば日割り家賃の発生を遅らせることができるため、結果的に二重家賃も発生しなくなります。入居日の交渉がしやすいのは、入居希望者が少なくなる閑散期(4〜6月、11月)が狙い目。大家さんや管理会社に交渉する以外にも、仲介してくれる不動産屋に“新居の入居日を旧居の契約が終わるまで遅らせてほしい”と交渉する方法があります。

初期費用の安い物件を選ぶ

 二重家賃そのものを抑える方法ではありませんが、新居の初期費用を抑え、浮いた費用を二重家賃の支払いに充てる方法もあります。この初期費用の大部分を占めるのが、敷金と礼金です。いずれも家賃1〜2ヶ月分の費用を必要としますが、敷金・礼金が無料の物件を選べば、初期費用を大幅に抑えることができます。たとえ二重家賃が発生しても、マイナスどころかプラスになるケースもあるでしょう。とはいえ、敷金ゼロの場合は退去時に原状回復費用をすべて負担しなくてはならないこともあるので注意が必要です。

短期賃貸マンションを利用する

 ウィークリーマンションのような短期賃貸マンションは、敷金や礼金などの初期費用が発生しないケースも多く、コストを抑えて部屋を借りることができます。たとえば退去日から入居開始日までの空白期間に短期賃貸マンションを利用すれば、二重家賃を払うことなく新生活をスタートさせることが可能です。とはいえ、短期賃貸マンションを借りるにもコストが掛かり、荷物の量によってはトランクルームの手配も必要となるため、二重家賃と短期賃貸マンションのどちらがコストを抑えられるか試算しておくと安心でしょう。

やむを得ない事情で二重家賃が発生した場合の対処法

 急な引っ越しが決まるなど、やむを得ず解約予告期間を過ぎてしまうこともあるでしょう。基本的に、引っ越しにともなう二重家賃は返金されません。しかし、やむを得ない事情がある場合は相談次第で二重家賃を避けられる可能性があります。

 たとえば、会社側の都合で急な転勤が決まり、家賃を二重に支払わなければならないケースも珍しくありません。この場合、会社に相談することで会社側が二重家賃を負担してくれることがあります。会社側も転勤にともなう引っ越しについて何かしらの制度を設けている場合があるので、遠慮なく相談しましょう。

 また、万が一解約予告期間を過ぎた場合、大家さんや管理会社に相談・交渉してみるのも一つの方法です。契約更新のタイミングと重なれば更新料も発生する可能性が高くなるため、退去月の家賃発生が防げなくても更新料については考慮してもらえる可能性はあるでしょう。丁寧に事情を説明するのがポイントです。

二重家賃を防ぐには解約予告期間をきちんと確認して

 新居に引っ越す際は、旧居の退去日と新居の入居日が重なるケースが想定されるので、二重家賃の発生を防ぐことはできません。二重家賃の発生を防ぐためには、今住んでいる物件の解約予告期間をきちんと確認し、準備をきちんと済ませておくことがポイントです。万が一解約予告期間を過ぎてしまっても、大家さんや管理会社に交渉することはできます。まずは解約予告期間を確認し、前もって準備を進めていきましょう。

元・不動産メディア営業/現・不動産系ライター
岸山 海河 10本
有名不動産メディアSの創刊に関わり、地元〜大手不動産会社の物件広告を担当。2014年より不動産系ライターとして活動しています。引っ越し経験も多く、現在は片田舎に建てたマイホームに在住。部屋探しのワクワク感は今でも大好き!これまでの経験を生かしながら、沢山の人の「暮らし」に寄り添う記事を提供します。 資格:普通自動車、日本化粧品検定1級
元・不動産メディア営業/現・不動産系ライター
岸山 海河 10本
有名不動産メディアSの創刊に関わり、地元〜大手不動産会社の物件広告を担当。2014年より不動産系ライターとして活動しています。引っ越し経験も多く、現在は片田舎に建てたマイホームに在住。部屋探しのワクワク感は今でも大好き!これまでの経験を生かしながら、沢山の人の「暮らし」に寄り添う記事を提供します。 資格:普通自動車、日本化粧品検定1級

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