家賃の値上げは拒否できる?値上げの理由や強制退去の可能性とは
賃貸物件を更新する際、更新料とともに家賃の値上げを通告されるケースがあります。契約時の家賃のままで住み続けられないのか?値上げに違法性はないのか?値上げを拒否すれば強制退去になるのか?など、突然の申し出に不安もあるでしょう。そこで今回は、家賃の値上げを通告された場合に拒否できるのか?強制退去の可能性はあるのか?など、家賃の値上げを拒否したい人向けの情報をまとめました。
家賃の値上げを拒否したい!そもそも値上げされる理由とは?
賃貸物件の家賃は一定のまま、値上がりすることはないと思い込んでいる人も多いですが、賃貸物件の家賃は法律で増額が認められています。大家さんの判断ひとつで家賃を上げることは違法なことではなく、大手の不動産会社であろうが関係ありません。
とはいえ、突然のタイミングで家賃が値上がりすることはほぼなく、多くの場合物件の更新時が値上げのタイミングとされています。大家さんにとっても家賃の値上げは言い出しにくいものがありますが、物件の更新時なら契約を見直す機会ということもあるため、入居者に通達しやすい事情があるのでしょう。
では、家賃が値上げされる主な理由とは一体何なのでしょうか。
物価の上昇
国内では物価の上昇が続いており、私たちの生活にも大きな影響を与えています。家賃も例外ではなく、同じ金額のままというわけに行かない事情もあるのです。物価の変動に応じて家賃を値上げすることは不自然なことではありません。
対象物件の固定資産税が増税した
物件の所有者(大家さん)は毎年固定資産税を支払わなければなりません。この固定資産税は対象物件の価格をもとに3年に一度見直されており、税額が上がるケースもあります。固定資産税の税額が増えれば大家さんの負担も大きくなるため、家賃が値上げされる場合があるのです。
周辺相場と合わせるため
家賃は物件ごとに設定されていますが、周辺地域の相場に合わせることがほとんどです。たとえば、周辺の類似物件の家賃がどこも5万円台出るにも関わらず、突然4万円台の物件が出ればどうでしょう。借主にとっては得しますが、貸主である大家さんにとっては“5万円でも入居者がつくのに4万円で貸し出されれば損する”ことになります。こうした事情から、周辺相場と合わせるために家賃が見直されることがあるのです。
ただし、逆に周辺相場よりも明らかに家賃が高い場合は入居者側から家賃の減額を申し出ることもできます。
家賃の値上げには必ず応じなくてはならない?
家賃の値上げは法律で認められている、なら値上げには必ず応じなければならないのか?と不安に思う人もいるでしょう。実は、家賃の値上げは貸主・借主双方の合意がなければ成立しません。つまり、家賃の値上げを拒否することは可能です。
とはいえ、家賃の値上げには相応の理由が必ずあります。家賃の値上げを通達されたからと言って頑なに拒絶するのではなく、きちんと向き合って対処していきましょう。
口コミ1|拒否したら家賃が据え置きになった
大家さんにとっても、家賃の値上げを拒否されれば受け入れるしかありません。一部では大家さんの事情を理解して家賃の値上げを受け入れる入居者もいますが、値上げの理由や背景を確認しておきたいところです。
口コミ2|拒否した影響で除草してくれなくなった?
家賃の値上げを拒否する前と後で、管理体制に変化があったという声もありました。家賃の値上げ通告は、大家さんにとっても入居者にとっても気持ちの良い話ではありません。拒否することでトラブルの可能性がゼロとは言えないでしょう。
家賃の値上げを拒否!確認したいことや交渉時のポイント
家賃の値上げを告げられても納得できない、そんなときに確認したいポイントや交渉のコツがあります。
まずは値上げの理由を確認しましょう。ポイントは、客観的なデータに基づく根拠を提示してもらうことです。固定資産税の納税額が上がったのなら、その評価額が実際に上がっている証拠を示してもらうと良いでしょう。
次に、周辺の類似物件の相場を確認します。不動産ポータルサイトを利用すれば簡易的に調べることができます。今の住まいに近いエリアで、類似している間取りや築年数、設備などの家賃をチェックしましょう。もしかすると、入居時よりも周辺の家賃相場が上がっている可能性があるかもしれません。
値上げの理由や周辺の家賃相場を確認した上で、どうしても家賃の値上げに納得できない場合は大家さんへ直接交渉する流れになります。交渉の際は落ち着いた姿勢で臨み、柔らかい態度で大家さんに相談しましょう。このとき「気に入った物件だからできるだけ長く住みたい」など、今後のことを踏まえて要望を伝えるとスムーズです。
とはいえ、家賃の値上げを拒否し続ければ結果的にトラブルを招いたり、入居者自身が損したりすることもあります。「値上げは断固拒否!」と一辺倒になるのではなく、値上げ率を低くしてもらう、値上げ開始時期をずらしてもらう、値上げの代わりに直近の更新料を免除してもらうなど、選択肢を広げていくのも交渉がスムーズに行くコツです。
交渉時には、目指すべきゴールをはじめに決めておくと良いでしょう。
家賃の値上げ拒否し続けても強制退去にはならない
家賃の値上げを拒否し続けた結果、大家さんから退去を要請されるケースもあるかもしれません。場合によっては、話し合いがまとまらないまま値上げ時期を迎えることもあります。
このような場合は強引な立ち退きに遭うのでは?と思うかもしれませんが、値上がり前の家賃を払い続ければ退去する必要はありません。値上げ拒否を受け入れてもらえない場合も、即時退去しなければならないわけではないので安心してください。
もしも、大家さんが「値上がりした家賃以外は受け取らない」と家賃の受け取りを拒否した場合は、法務局の供託制度を利用(供託所に家賃を支払う)することで家賃を支払ったことになります。
また、値上げ拒否の話し合いがまとまらない場合は、自治体などの住宅相談窓口を利用するのもひとつの方法です。専門家のアドバイスで解決の糸口が見つかることもあるでしょう。
家賃の値上げ拒否し続ける際の注意点
先述の通り、家賃の値上げは入居者の合意がなければ成立しないため、家賃の値上げを拒否する権利は守られます。しかし、家賃の値上げを拒否する勢いでもともとの家賃の支払いを拒否すると、賃貸借契約が解除される可能性があります。
家賃値上げの話し合いに納得できなくても、物件に住み続ける限りは家賃をきちんと支払いましょう。
家賃の値上げは入居者の合意が必要!拒否することはもちろん可能
家賃を値上げすることも、また家賃の値上げを拒否することも法律で認められた権利です。家賃の値上げを通達されても拒否することはできるので、値上げの理由や周辺相場を理解した上で大家さんに申し入れましょう。とはいえ、現実的には物価の上昇で契約更新時に家賃が値上げするケースも増えています。どうしても納得できなければ引っ越す選択肢もあるでしょう。トラブルに発展しないためにも、落ち着いた姿勢で交渉に臨んでください。