一生賃貸物件に住むほうが賢い?メリット・デメリットや老後のシミュレーション

最終更新日 :

 住まい選びにおいて「賃貸派」と「持ち家派」の論争がたびたび繰り返されていますが、近年ではマイホームを持たない価値観が増えており、一生賃貸で暮らす人の割合も多くなっています。一生賃貸は、本当に賢い選択肢なのでしょうか?一生賃貸の割合やメリット・デメリットについて解説します。

一生賃貸の割合はどれくらい?賃貸派の生活とは

 日本トレンドリサーチ社の調査によると、将来的に「持ち家に住みたい」と答えた世代は60代以上で77.6%、50代で66.4%でした。一方、30代以下で持ち家を希望する人は57.4%。全世代を通して持ち家派が多いものの、世代が若くなるにつれ「賃貸に住みたい」傾向にあることがわかっています。

  • 何年住むかわからない
  • 住み替え続けることで築浅物件に住み続けられる
  • 自由に引っ越ししたい
  • 維持費用がわからないから賃貸のほうが安く済みそう

 など、賃貸物件を望む人の多くが「容易に引っ越しできる」ことをメリットに挙げている様子です。また、60代の回答者からも「持ち家はリフォーム費用や固定資産税が重荷になる」「不動産相続で子どもたちが悩んでしまう」という声もありました。

 総務省の家計調査では60〜70代の持ち家比率が9割を超えることが明らかになっていますが、世代間によって家に対する価値観が異なるのも事実です。

一生賃貸にはどれくらいの貯金が必要?

 これからシミュレーションする老後を60〜90歳までとしましょう。65歳までは再雇用(再就職)で生活費が賄えるとして、65歳以降は年金生活が始まります。この際、生活費のすべてを年金で賄うのは困難なので貯金をしておかなくてはなりません。

 たとえば60歳から90歳の30年間に必要な住居費をシミュレーションした場合、家賃10万円なら3,600万円が必要になります。一方、家計調査によると2人以上無職・世帯主65歳以上世帯の支出は26万7446円が平均であり、そのうちの住居費が1万4294円です。つまり、住居費以外の生活費が月25万3152円かかっていることになります。

 同じ家計調査において、年金などの収入は20万5,682円が平均とされているので、住居以外の生活費と差し引いても4万7470円を貯蓄から切り崩す必要があります。65歳までは就労するとしても、4万7470円✕12ヶ月✕25年間で計算すれば、90歳まで賃貸生活を送る場合に1424万円が不足。住居費が3,600万円かかるとして、5,000万円以上の貯金が必要ということになります。

一生賃貸だと老後に後悔するって本当?

 一生賃貸で暮らすには、シミュレーション上で5,000万円以上の貯金が必要になります。賃貸に住み続けている場合は、固定資産税や住宅ローンといった負担がなく、月々の住居費が抑えやすいです。つまり、退職までにどれだけ貯蓄をするかが大切なポイント。収入に余裕がある人や貯蓄する能力が高い人は一生賃貸でも老後に後悔することはないでしょう。

 一方、高齢者が入居することで孤独死などのリスクも生まれます。大家さんからすれば、どうしても高齢者に物件を貸したくない事情もあるでしょう。高齢になって賃貸物件を探し始めても、借りることができずに後悔する可能性はあります。一生賃貸を選択するなら、十分に貯蓄しておくこと、またいざというときに頼れる家族がいるかを考慮しましょう。

一生賃貸は賢い!嬉しいメリット

 一生賃貸で暮らすかどうかは、それぞれのライフスタイルや家族構成によってメリット・デメリットがあります。まずは、一生賃貸で暮らすメリットについてご紹介しましょう。

ローンを抱えなくて済む

 マイホームを購入する際は住宅ローンを借り、返済し続けなくてはなりません。生活環境や家計の収支によってローンが返せなければ破綻するリスクもあります。

 その点、一生賃貸であればローン返済の負担がなく破綻のリスクもありません。固定資産税や修繕積立金などの固定費がかからないので、月々の住居費用も安く抑えられます。

住居のメンテナンス費用がかからない

 賃貸物件のメンテナンスは、借主ではなく貸主側が行うものであると民法で定められています。端的にいえば「一生賃貸物件に住む=一生メンテナンス費がかからない」ということです。

 たとえば経年劣化で設備が壊れた際、持ち家であればすべて自分でメンテナンス費用を負担し、業者を手配しなくてはなりません。その点、賃貸であればメンテナンス費用の負担も業者の手配も大家さんが対応してくれるのでメリットが大きいです。

ライフスタイルに合わせて引っ越しできる

 賃貸物件において、隣人・近隣トラブルは誰にでも遭遇する可能性があります。場合によっては、意図せずトラブルを招いてしまうこともあるでしょう。

 持ち家であれば簡単に引っ越すことができませんが、賃貸であれば近隣住民との関係性やライフスタイルに合わせて気軽に引っ越しができます。築浅物件に住み替えたいときにも便利でしょう。

セーフティーネットの充実で住居の選択肢が多い

 資産がなく、購入どころか借りられる物件すら無いかと不安に思う人もいるでしょう。しかし、日本ではセーフティーネットが充実しているので、公営マンションやUR賃貸など高齢者でも借りられる物件がたくさんあります。なにより、現代は空き家の増加が社会問題化しており、空室物件も増え続ける一方です。住居の選択肢が多いのは、賃貸派の魅力と言えるでしょう。

相続トラブルの心配がない

 持ち家は相続トラブルの大きな要因であり、どれだけ仲の良い家族でも相続トラブルでバラバラになることはよくある話です。また、住む予定がない家を子どもに相続させても、固定資産税や維持費、メンテナンスなど子どもたちの負担が増えること必至です。一生賃貸暮らしなら、持ち家による相続トラブルで子どもたちが苦労することもありません。

一生賃貸で後悔?思わぬデメリット

「20万円程背負ってきた豚の貯金箱 | フリー素材のぱくたそ」の写真

 全世代を通して、賃貸派より持ち家派が多いのも事実です。そこで、一生賃貸生活を送るデメリットをまとめました。

家賃を支払い続けなければならない

 持ち家の場合、住宅ローンを完済すれば毎月の負担額を大幅に減らすことができます。しかし、賃貸の場合は毎月の家賃が一生かかるため、老後の貯金がなければ生活がままなりません。月々に支払うコストは低くても、現役世代にどれだけ貯金をするかがポイントといえます。

都市部ほどファミリー向け物件が少ない

 都市部の賃貸物件は一人暮らし向けが多く、ファミリー向けが少ない傾向にあります。というのも、人気のエリアは床面積を抑えるために単身者向けの物件が多いのです。同居人数が多ければ多いほど、希望条件に合う物件を探すことが難しくなります。

将来的に新規契約が難しくなる場合がある

 前述の「一生賃貸だと老後に後悔するって本当?」でも触れましたが、賃貸物件において高齢であるほど入居を断られる可能性が高くなります。支払い能力や認知能力の問題はもちろん、万が一貸し出した物件で入居者が孤独死すれば物件の価値そのものが下がるからです。同居人がいない単身者ほど、大きなデメリットと言えるでしょう。

資産にならない

 持ち家とは異なり、賃貸物件の持ち主は大家さんです。どれだけ長く家賃を払い続けても自分の資産になることはありません。単純に考えて、同じ物件に長く住み続けるほど家賃の累積額も大きくなります。結果的に“払い続けた家賃を住宅ローンに当てていれば同程度の物件が購入できていた”ケースも見られます。

簡単にリフォームできない

 賃貸物件の多くは、退去時に原状回復するのが契約条件とされています。壁や柱に釘を打ったり、室内をリフォームしたりすることは原則できません。

 とはいえ、近年では築年数が古い物件を中心にDIYができる賃貸物件も増えています。簡易的な工事に限定されている場合がほとんどですが、自分好みに内装を変えたい人にはうってつけの賃貸物件でしょう。

一生賃貸も賢い選択肢!老後をシミュレーションして検討して

 現代では若い世代ほど賃貸派の人が多く、一生賃貸物件に住む人の割合も今後増えてくることが予想されます。とはいえ一生賃貸物件に住み続ける場合は、就労できる間にどれだけ貯蓄できるかが大きな鍵です。老後の生活をシミュレーションし、一生賃貸が自分にとって本当に賢い選択なのかよく検討しましょう。

元・不動産メディア営業/現・不動産系ライター
岸山 海河 10本
有名不動産メディアSの創刊に関わり、地元〜大手不動産会社の物件広告を担当。2014年より不動産系ライターとして活動しています。引っ越し経験も多く、現在は片田舎に建てたマイホームに在住。部屋探しのワクワク感は今でも大好き!これまでの経験を生かしながら、沢山の人の「暮らし」に寄り添う記事を提供します。 資格:普通自動車、日本化粧品検定1級
元・不動産メディア営業/現・不動産系ライター
岸山 海河 10本
有名不動産メディアSの創刊に関わり、地元〜大手不動産会社の物件広告を担当。2014年より不動産系ライターとして活動しています。引っ越し経験も多く、現在は片田舎に建てたマイホームに在住。部屋探しのワクワク感は今でも大好き!これまでの経験を生かしながら、沢山の人の「暮らし」に寄り添う記事を提供します。 資格:普通自動車、日本化粧品検定1級

記事一覧

この記事が気に入ったらシェアしよう!

コメントを残す


関連する記事