投資用物件の運営中に突如出費が発生する代表的なケース
不動産投資に取り組む際、多くの方が一定の出費に備えて資金を準備しているでしょう。
しかし、実際の運用では、想定外のタイミングで出費が必要になるケースも珍しくありません。今回は、投資用物件の運営中に突如出費が発生する代表的なケースとおおよその金額をご紹介します。
初期コストとして必要なのは「頭金」だけではない
不動産初心者の多くが、初期コストと聞くと「頭金」をイメージする方が多いでしょう。
頭金のことばかり考えてしまうと、「頭金0円」といった情報に飛びついてしまい、その他の初期コストに驚くことも珍しくありません。
ローンの支払い
まずは購入直後に必要となる初期コストです。不動産投資ローンを利用して不動産投資を始めた場合、家賃収入より先にローンの支払いが発生するケースもあります。
これは、所有権の移転タイミングや家賃の振込日、ローンの初回の支払い日などの関係によって生じます。
「家賃が入金されるから大丈夫」と、万が一口座にローンの支払い資金が準備されていないと、ローンが引き落とされず、信用情報に傷がついてしまうかもしれません。
それを防ぐためには、物件購入後に支払いの順番やお金の流れを確認し、ローンの支払用口座には、少し多めに資金を準備しておくことが大切です。
不動産の購入後半年で納付書が届く不動産取得税
次は、不動産の購入から半年後に請求がくる不動産取得税です。
不動産取得税とは、その名の通り「不動産の取得に対してかかる税」であり、購入だけでなく相続や贈与の際にも課税されます。すぐに転売した場合であっても、登記した以上かかります。
不動産取得税は、下記の計算式で算出されます。
不動産取得税=固定資産税評価額×税率(通常4%、2021年3月31日までは3%) |
不動産取得税は地方税であり、請求までタイムラグがあるため、忘れてしまっている方も少なくありません。
いざ納付書が届いてから困ることがないよう、事前に資金を準備しておきましょう。
また、税金関係では、毎年発生する固定資産税も忘れがちです。管轄によって少し時期がずれることもありますが、基本的には毎年3月ごろに納付書が届きます。
分納も可能ですが、事前に資金を準備しておくことが大切です。
突然の「空室」で発生する出費
運営中の物件で空室が発生すると、当然家賃収入は入ってこなくなります。ただ、家賃収入が得られなくなることで、予期していない出費が発生することもあります。
そのひとつがローンです。物件が空室状態であっても、ローンの支払いは行わなければなりません。賃料を得られていない分、自己資金からローンを支払うケースもあります。
また、区分マンションを所有している場合は、管理費や修繕積立金も必要です。
ここでいう管理費とは、不動産のオーナーが支払う「建物管理費」を指します。
このように、空室になることで家賃収入が得られなくなり、通常は賃料から支払うものを自己資金で賄うことになる可能性があります。
不動産オーナーとしては、「長期間空室が発生しない立地の物件を購入する」「空室時の保証がある管理会社を選ぶ」「空室対策として資金を準備しておく」などの対策が重要です。
空室対策に悩む不動産オーナーには、下記の記事がおすすめです。
「室内設備」と「共有設備」にかかるコスト
「室内設備」や「共有設備」の修繕・交換にも一定のコストがかかります。
室内設備の場合、入居者が故意または過失によって壊した場合を除いて、基本的にはオーナー負担で修理や交換を行います。
下記の表で交換期間や費用の目安をご確認ください。
室内設備名 | 交換期間の目安 | 交換費用の目安 |
エアコン | 13年 | 4万円~ |
ガスコンロ | 15~20年 | 6万円~ |
ウォシュレット | 10年 | 3万円~ |
浴室乾燥機 | 10~15年 | 3万円~ |
モニター付インターホン | 15年 | 5万円~ |
給湯器 | 8~10年 | 7万円~ |
換気扇 | 10~15年 | 3万円~ |
ただし、交換期間や費用は、室内設備の大きさや性能によって変化します。あくまで目安としてお考えください。
共有設備の場合、オーナーは管理組合に修繕積立金を支払っているため、特別な出費は必要ないと思い込んでいるケースもあります。
修繕計画通り進められればその通りですが、修繕積立金の急な増額や早期の故障なども考えられます。
下記の表で主な共有設備の修繕期間と費用の目安をご紹介します。
共有設備名 | 修繕期間の目安 | 修繕費用の目安 |
階段 | 10年 | 単価5万円~ |
廊下 | 10年 | 1㎡2,500円~ |
ポスト | 15年 | 1戸5,000円~ |
外灯 | 10年 | 2万円~ |
屋上、屋根 | 10~15年 | ウレタン防水の場合:1㎡4,000~7,000円 |
外壁塗装 | 15年 | 1㎡2万円~ |
エレベーター | 12年 | 700万円~ |
エントランスのオートロック | 15年 | 200万円~ |
貯水タンク | 15~25年 | 5万円~ |
こちらも室内設備と同様、設備のグレードや規模に応じて修繕期間や費用が変化します。あくまで目安としてお考えください。
室内設備と共有設備の多くは、15年経過すると交換や修繕が必要になるケースがほとんどです。
不動産オーナーは、15年をひとつの目安として資金を準備しておくのが良いでしょう。
トラブルに備えて現金を手元に用意しておくと安心
上記の通り、不動産を所有し運用していくということは、突発的な出費は避けられません。
地震や家事などの災害であれば保険を利用することもできますが、保険の適用外となるトラブルについては、自己資金で対処する必要があります。
不動産投資を行う際は、上記のようなトラブルに備えて、現金を手元に残しておくことが大切です。
用意する現金は所有している物件数にもよるものの、「借入金額の5%の現金」を残しておくのが良いとされています。
また、想定を大きく上回る出費が発生した場合に備えて、クレジットカードのキャッシング枠なども活用できると安心です。
まとめ
不動産投資をする場合、どうしても物件の購入費ばかりに目が向きがちですが、突然発生するトラブルに備えて資金を準備することも必要です。
資金に余裕があり、いつトラブルが発生しても問題ない方は別として、少しでも不安があれば管理会社などと相談して入念な資金計画を立てましょう。
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