古民家で暮らす注意点とは?賃貸契約の前に知ってほしいメリット・デメリットを解説
レトロな雰囲気が好きな人、自然豊かな一戸建てに住みたい人など、さまざまな理由で古民家に住んでみたいという人もいることでしょう。古民家の賃貸物件なら、集合住宅とは違ってのびのびと暮らすことができ、購入するよりも手軽に古民家生活が満喫できるメリットがあります。一方で、建物や設備が古い古民家ならではのトラブルがあることも知っておかなくてはなりません。そこで本記事では、古民家の特徴やメリット・デメリット、注意点についてくわしく解説します。
そもそも古民家とは?
古民家には明確な定義はありませんが、一般社団法人全国古民家再生協会では“1950年(昭和25年)の建築基準法の制定時にすでに建てられていた伝統的建造物の住宅、すなわち伝統構法で建てられた住宅”と定義されています。また、築50年以上の在来工法の日本家屋を指すことも多いです。
古民家は全国各地にあり、空き家となった古民家を賃貸物件として貸し出しているケースもたくさんあります。
古民家賃貸のメリット
古民家賃貸に住むメリットを以下にまとめました。
- 昔ながらの雰囲気が楽しめる
- 物件によってはリノベーションが実施されている
- 自然豊かな地域で生活できる
ではここで、古民家賃貸のメリットについてくわしくご紹介します。
昔ながらの雰囲気が楽しめる
日本の伝統構法で建築された古民家には、経年により味わい深くなった梁や柱、現代の賃貸物件ではなかなか見られない土壁や縁側などがあり、昔ならではの風合いが肌で感じられます。
また、古民家は天井が高く開放的な間取りが多いです。壁が少ないぶん、家族とコミュニケーションが取りやすいのも大きなメリットです。
現代の暮らしに合わせたリノベーション物件もある
築50年にもなると建物や設備の老朽化が目立ちますが、物件によっては骨組みを残したままリフォームやリノベーションが施されているケースもあります。
木造の古民家はリノベーションの自由度も高いため、現代の暮らしに合わせて間取りが変更されていたり、比較的新しい設備に取り替えられていたりすることもあるでしょう。リノベーション済みの古民家賃貸は、まさに狙い目です。
自然豊かな地域で生活できる
古民家物件は、緑が多く静かな土地に多く存在しているため、立地によっては自然に囲まれて生活することができます。敷地が広く庭付きの古民家もあるので、緑豊かで開放的な暮らしを求める人にぴったりです。
また、古民家物件はひさしが長めに設計されていたり、瓦屋根やかやぶき屋根で屋根に当たる熱を遮っていたりと、直射日光が室内に入らないよう設計されたものが多いです。エアコンが普及していない時代に建てられた古民家だからこそ、暑い季節でも快適に過ごす工夫が施されています。
古民家物件のデメリット
古民家物件には次のようなデメリットもあります。
- 利便性の悪いケースが多い
- 家の性能や設備が古く快適性が低い
- 賃貸だと自分好みにリフォームできない
賃貸契約の前に検討したい、古民家物件のデメリットについて解説します。
立地によって利便性が悪い可能性がある
古民家は市街地から離れた場所に建てられているケースが多いため、立地によっては主要駅や市街地までのアクセスが不便である可能性があります。都心での生活に慣れている人にとっては、買い物や通勤、通学などに苦労することもあるでしょう。
後悔しないためにも、普段利用するスーパーや職場、学校などの経路や移動時間を事前に確認しておくと安心です。
家の設備や性能が古く快適性に劣る
在来工法で建築された古民家は、現代の家に比べて気密性や断熱性が低く、外気の影響を受けやすくなっています。古民家は開放的な間取りも多いため、エアコンが効きづらく光熱費がかさむこともあるでしょう。
このほかにも、土壁ならすきま風が発生しやすくなりますし、自然の多い場所なら虫も多いです。水回り設備が古い物件も多く、臭いが広がりやすい汲み取り式トイレや、お風呂やトイレが母屋と別棟になっている古民家も珍しくありません。
建物や設備が老朽化しているぶん快適性も劣りますし、生活が不便に感じることもあります。内見の際は、建物や設備の状態をよく確認したうえで契約を検討しましょう。
賃貸だと自分好みにリフォームやリノベーションができない
築年数が古い古民家だからこそDIYやリフォームで手を入れたくなるかもしれませんが、賃貸物件である以上自分好みにリフォームやリノベーションをすることはできません。
ただ、一部で借主によるリフォームやリノベーションを許可したうえで古民家物件を貸し出すケースも稀にあります。実際にリフォームやリノベーションを行う際は、賃貸借契約書の内容を再度確認したうえで貸主(大家さん)に必ず許可をもらいましょう。
賃貸契約前に知りたい!古民家に住む注意点
古民家の魅力に取り憑かれて引っ越しを決意する人もいると思いますが、賃貸契約前には住宅の性能や地域の雰囲気を事前にチェックすることをおすすめします。古民家の場合、一般的な物件と違って住宅性能が心配な面や、その地域のコミュニティ、風習が独特な面もあるからです。
ここで、古民家の賃貸物件に住む際の注意点を3つに分けてご紹介します。
耐震性や雨漏りをチェックする
耐震性が低く建物の老朽化が深刻化している場合、地震により倒壊するリスクも少なくありません。被害を最小限に抑えるためにも、火災保険(+地震保険)への加入で万一に備えたり、入居前の耐震性チェックを必ず行いましょう。
また屋根や天井の状態によっては、雨漏りが発生する可能性もあります。雨漏りは屋根の剥がれや天井裏の腐食によって起こるケースが多いため、古民家の場合は注意が必要です。見た目はきれいでも、中身が腐食しているケースも珍しくないため、雨漏りの有無についてもしっかり確認しましょう。
古民家のある地域に足を運ぶ
古民家に住む場合、都心から地方に移住するケースも多いです。生まれ育った場所にUターンするなら心配も少ないですが、慣れない地域に住む場合は事前に地域のコミュニティや文化、風習に触れる機会を作っておくと安心できるでしょう。
移住を積極的に受け入れている自治体なら、その地域での民泊体験ができたり、移住イベントに参加できたりなど、地域の魅力を体験できる機会が設けられています。古民家のある地域の特性と自分のライフスタイルがマッチするかどうか事前に判断できるので、移住の前にチェックしておくことをおすすめします。
リノベーション済み物件なら工事履歴を確認する
リノベーション済み物件の古民家物件はたしかに狙い目ですが、内装だけがきれいでも耐震補強や断熱補強が不十分なケースもあります。見た目のきれいさだけで判断するのではなく、工事履歴を確認してリノベーションの実施内容をきちんと確認しましょう。
また、配管や床、屋根などの劣化は目視で確認することができます。内見の際は、それぞれの部位が損傷を受けていないかチェックしておくと良いでしょう。
まとめ
古民家の賃貸物件は築50年以上経過している物件も多く、開放的な間取りや昔ながらの風合いが肌で感じられるのが魅力です。一方、住宅性能がやや心配な面や生活利便性が低い可能性もあるため、メリットやデメリットを比較するだけではなく、実際に内見して不安を取り除いておく必要もあります。見た目だけでは判断できないケースもあるので、工事履歴などを確認し慎重に判断しましょう。