賃貸で地震被害を受けたらどうする?借主が取るべき行動と費用負担

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日本各地で地震が増えている現代、自分が住んでいる賃貸物件が地震の被害を受けた場合はどうなるのか気になる人も多いことでしょう。地震被害を受けた際に取るべき行動や、損害が発生した場合の責任問題、契約の変更など、もしもに備えて理解しておくことも大切です。本記事では、自分の住む賃貸物件が地震にあった場合の行動や責任、費用負担、契約上のポイントについて解説します。

住んでいる賃貸物件で地震被害を受けたら?すぐに取るべき行動

自分の住む賃貸物件が地震により倒壊したり、発災後の余震が続いたりする場合には、すぐにでも避難所へ駆け込んで命を守る行動を取らなくてはなりません。パニックになり慌てて飛び出してしまうこともあるでしょうが、もしも状況的に余裕があれば以下の行動をとっておくと安心です。

  • ガスや止水栓などを閉めておく
  • 地震保険に加入している場合は物件の様子を撮影する
  • すみやかに貸主や不動産会社などへ連絡する

では、それぞれのポイントについてくわしく解説します。

ガス栓や止水栓などを閉めておく

東京都が発行した防災ブック「東京防災」によると、地震発生時の建物火災は、約6割が電気による出火が原因であるとされています。建物火災を防ぐためには、ブレーカーをできるだけ落としておくことが重要です。

また地震の影響で断水した場合、蛇口(止水栓)をひねっても水は出てきません。もしも蛇口をひねったまま避難してしまうと、水道が復旧した際に漏水して部屋が水浸しになるケースもあります。

蛇口を開けっ放しにしないのはもちろん、ガスの元栓や洗濯機の止水栓など閉められるものはすべて閉めた状態で避難することをおすすめします。

罹災証明書のために物件の様子を撮影する

災害で被害を受けた際、被災者生活支援金の支給や義援金の配分等の支援措置を受けるために罹災証明書を取得することになります。罹災証明書は、災害による被害の程度を証明する書面です。各自治体では、災害対策基本法に基づいて罹災証明書の交付が義務付けられています。

罹災証明書を取得する際には、本人確認書類や罹災(被災)証明書交付申請書のほかに、被災状況の分かる写真を用意しなければならないケースもあります。また、地震保険を申請する際にも写真が必要です。

室内はもちろん、建物の外観などできるだけ多く撮影をしておくと良いでしょう。

すみやかに貸主や不動産会社などへ連絡する

地震などの災害による不可抗力が原因で建物が損壊した場合、貸主(大家さん)や不動産会社(仲介会社)、管理会社にすみやかに連絡しましょう。時間が経つと、地震による損傷かどうかを証明することができなくなるほか、通知義務違反として借主が修繕費を負担しなければならなくなる場合があります。

地震により賃貸物件に損害が起きたときの責任や費用負担はどうなる?

地震が起きたときに賃貸物件の建物が損壊したり、自分の家財道具が損傷したりした場合の責任について、疑問を抱く人も少なくないのではないでしょうか。

結論から言うと、賃貸物件の損傷にかかる修繕費用の負担は貸主(大家さん)になります。これは民法第606条にて「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負うこと」が定められているからです。

しかし、部屋に持ち込んだ家財道具の損害や地震による怪我の治療費は借主(入居者)が負担しなければなりません。

ここで、地震発生時の責任や費用負担についてさらにくわしく解説します。

建物の倒壊や扉の歪みなど

建物に関する損傷は貸主の負担となるのが基本ですが、損傷の原因が借主側にある場合は、貸主ではなく借主の負担になります。

たとえば地震があった際、窓の近くに倒れやすいものを置いたことで窓が割れたり、禁止されたスペースで火気器具(アロマや簡易コンロなど)を置いて火災が起きたりすると、借主の過失とみなされ修繕費用の負担が求められます。

倒れやすいものは固定する、窓付近に物を置かないなど、普段から自分でできる地震対策をしておくことも重要です。

また、入居する物件が倒壊すると貸主に対して損害賠償請求ができるのでは?と思う人もいるかもしれませんが、実は倒壊した時点で賃貸借契約が終了するため、借主が貸主に損害賠償請求することはできません。(くわしくは「居住中の賃貸物件が地震で倒壊したら契約はどうなる?」をチェックしてください)

ただし、入居する物件の建物が耐震基準を満たしていなかったり、設備点検が適切に行われなかったりすることで安全性が確保されていない場合は、貸主に非があるとされ損害賠償請求できる可能性もあります。

怪我の治療や家財道具の損傷など

持ち込んだ家財道具(家具家電など家の中にあるあらゆる動産)の損害や、万が一怪我をした場合の治療については借主自身が費用を負担しなければなりません。

ただし、賃貸借契約の際に火災保険へ加入した場合は「地震保険」により家財の損害をカバーすることができます。もしも火災保険に加入しており、内容に地震保険が含まれていれば、すみやかに保険会社へ連絡しましょう。

また、家財の損害や怪我の原因が貸主にあると判断された場合は、貸主へ修繕費や治療費を請求することができます。たとえば「不具合のある窓の修理を依頼していたにも関わらず貸主が対応せず、地震により窓が壊れて家財道具が損傷した」というケースであれば、過失は貸主にあると判断されます。

居住中の賃貸物件が地震で倒壊したら契約はどうなる?

住んでいる賃貸物件が地震で倒壊した場合の賃貸借契約は、民法や賃貸借契約に基づいて対応されます。ここで、住めない状態になった場合の契約と、復旧が可能な場合の契約についてそれぞれ解説します。

倒壊して住めない状態になった場合

賃貸物件が倒壊して住めなくなった時点で、賃貸借契約は終了します。なぜなら、民法第611条において「賃貸物件が借主の責任によらない事由で使用できなくなった場合には、その期間の賃料を支払う義務がない」と定められているからです。

言い換えると、倒壊が理由で住めなくなった場合は賃貸借契約自体が終わり、賃料の支払いも停止されます。

住めるものの設備が壊れた場合

建物が完全に倒壊せず、修理や改修で再び使用できる状態に戻せる場合には、賃貸借契約が継続されることがあります。修理期間中は賃料が減額、もしくは修理期間を終えるまで賃料の支払いが停止されることが一般的です。

賃貸借契約に明記されている条項や双方の合意によって異なる場合もあるので、不明な点があれば貸主や不動産会社(管理会社)に相談しましょう。

もしもに備えて地震保険への加入を検討しよう

地震によって被害を受けた場合、通常の火災保険では補償されないことが多いです。地震保険へ加入すると、地震などの自然災害の被害に備えて経済的な負担を軽減することができます。

自分の身を守るため、またいつ大規模な地震が発生してもおかしくないからこそ、地震保険の加入を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

もしも地震で賃貸物件が損害を受けた場合は、第一に命を守る行動を取る必要があります。もしも状況的に余裕があれば、止水栓やガス栓などを閉めて損傷した箇所を撮影し、管理会社や貸主へ報告しましょう。また、地震で倒壊したり損壊したりした箇所の責任は貸主にありますが、借主の故意や過失による損害は自ら負担しなければなりません。倒壊により賃貸借契約が終了することが一般的なので、賃貸借契約書の内容を事前に確認して“もしも”に備えましょう。

元・不動産メディア営業/現・不動産系ライター
岸山 海河 10本
有名不動産メディアSの創刊に関わり、地元〜大手不動産会社の物件広告を担当。2014年より不動産系ライターとして活動しています。引っ越し経験も多く、現在は片田舎に建てたマイホームに在住。部屋探しのワクワク感は今でも大好き!これまでの経験を生かしながら、沢山の人の「暮らし」に寄り添う記事を提供します。 資格:普通自動車、日本化粧品検定1級
元・不動産メディア営業/現・不動産系ライター
岸山 海河 10本
有名不動産メディアSの創刊に関わり、地元〜大手不動産会社の物件広告を担当。2014年より不動産系ライターとして活動しています。引っ越し経験も多く、現在は片田舎に建てたマイホームに在住。部屋探しのワクワク感は今でも大好き!これまでの経験を生かしながら、沢山の人の「暮らし」に寄り添う記事を提供します。 資格:普通自動車、日本化粧品検定1級

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