引越し前に市役所・町役場で行う手続きとは?賃貸契約と並行して準備しよう

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 引っ越しの際には、新居の賃貸契約や引越し業者の選択、荷物の梱包や不要な家具家電の廃棄など、さまざまな作業が必要となります。しかし、忘れてはいけないのは引っ越しに伴う各自治体への手続きです。新生活で困ることがないよう、引越し前にできる手続きはきちんと行いましょう。今回は、引越し前に行うべき市役所・町役場への手続きについて解説します。

賃貸契約と並行して行うべき市役所での手続き一覧

 引っ越しに伴う手続きにはさまざまな種類があり、すべてのひとに当てはまる手続き以外にも、条件によって必要な手続きを踏まなくてはなりません。まずは、引越し前に行う手続きを一覧でご紹介しましょう。

転居届または転出届転居届:同一市区町村内に引っ越す場合
転出届:市区町村外へ引っ越す場合
マイナンバーカードの住所変更発行済みの人のみ
印鑑登録の廃止登録者のみ
国民健康保険の資格喪失手続き加入者のみ
転籍届引っ越しとともに本籍地の変更を希望する人のみ
介護保険の資格喪失手続き該当者のみ
犬や指定動物の手続き該当者のみ
児童手当受給事由消滅届該当者のみ

 上記はあくまで引っ越し「前」に現住所の市役所・町役場で行うべき手続きをまとめたもので、引っ越し「後」に必要な手続きを含めるとその数は膨大です。ただ、人によって必要な手続きと不要な手続きがあるので、まずは自分が該当する手続きを把握した上で準備を進めていきましょう。

必ず行わなくてはならない転居届・転出届

 引越し前に、誰もが必ず行わなくてはならない手続きが「転居届」や「転出届」です。いずれも本人確認書類と印鑑が必要となります。

 転居届は、同一市区町村内に引っ越す際に提出するものです。引っ越しの14日前から当日までに手続きをしなければならず、対応が遅れると5万円以下の過料が課せられることもあるので注意しましょう。

 転出届は、市区町村をまたぐ際に旧居(引越し前の市区町村)を管轄する役所に提出するものです。なお、マイナンバーカードを発行している人であれば「特例転出・転入」手続きが簡単に行えるので、転出の際は転出証明書を貰う必要がありません。

★市役所や町役場に足を運ぶ時間がなくても、郵送手続きが可能です。旧居が管轄する市区町村から転出届をダウンロード・印刷し、本人確認書のコピーや返信用封筒(要切手)とともに旧住所の役所・役場の担当窓口へ送付しましょう。

必要に応じて行うべき市役所での手続き

 続けて、一定の条件に当てはまる人が行うべき引越し前の手続きについてご紹介します。

マイナンバーカードの住所変更

 マイナンバーカードを発行している人は、記載されている住所の変更手続きが必要です。引越しから14日以内に変更手続きを行いましょう。変更しなければ5万円の過料が課せられる場合があります。

印鑑登録の廃止

 不動産や車の売買など印鑑を必要とする取引を行う場合には、前もって旧住所での登録抹消、そして転居先での再登録が必要です。ただし、同一市区町村内で引っ越す場合は転居届を出すことで印鑑登録の住所も変更されるため、廃止や再登録の手続きをしなくて構いません。一方、政令指定都市で異なる行政区に転居する場合には印鑑登録の各種手続きが必要になる場合もあります。事前に確認しておくと安心です。

国民健康保険

 国民健康保険に加入している人は、転出するタイミングで資格喪失手続きを行う必要があります。同一市区町村内の引っ越しの場合は住所変更のみで手続きが完了しますが、いずれの場合も引っ越しから14日以内に手続きしなければならないので早急に手続きをしましょう。引越し後は、転居先の管轄役所で再加入手続きが必要です。

転籍届

 引っ越しをしても本籍地を変更する必要はありませんが、本籍地を変更することで戸籍謄本や戸籍抄本の取寄が簡単になります。もし転出時に本籍地も変更したい場合は、転籍届の作成と提出が必要です。また、本籍地を変更した場合にはパスポートや運転免許証の情報書き換えも必要となるので忘れないようにしましょう。

介護保険の資格喪失手続き

 もしも現在と異なる市区町村へ引っ越す場合、要介護者の家族がいる人は引越し前に資格喪失手続きを行わなくてはなりません。また、引越し後も新しい住所で要介護・要支援認定を申請する必要があるので、忘れないように手続きしましょう。同一市区町村へ引っ越す場合は、住所変更の申請のみで新しい介護保険被保険者証を受給することができます。

犬や指定動物の登録事項変更届

 犬や指定動物を飼っている場合、同一市区町村内で引っ越す場合は登録事項変更届の提出を、異なる市区町村に引っ越す場合は引越し前に旧住所の管轄役場や保健所で登録事項変更届の提出と鑑札をもらわなくてはなりません。さらに、異なる市区町村へ転出した際には新住所を管轄する役所や保健所で住所の変更手続きを行う必要があります。必要に応じて狂犬病の注射証明を求められる場合もあるので、事前に確認しておくと安心です。

子育て世帯が行うべき市役所での手続き

 子どもがいる家庭の場合は、さらに特殊な手続きが必要となります。

児童手当受給事由消滅届

 もし旧住所と異なる市区町村へ引っ越す場合には、旧住所の管轄役場で児童手当受給事由消滅届を提出し、新住所の管轄役場で児童手当認定請求書を請求しなくてはなりません。

 ここで注意したいのが、児童手当は申請の翌月から支給されるため、本来は申請月の児童手当を受けることができない点です。一方、児童手当独自の15日特例と呼ばれる制度を利用すれば、引っ越しから15日以内の手続きで当月支給ができる仕組みになっています。申請期限については特に注意して、忘れないように手続きを済ませましょう。

幼稚園や保育園の転園手続き

 引っ越しにともない幼稚園や保育園を転園する場合には、転園手続きが必要です。手続きの方法は各自治体によって異なるほか、時期によって受付窓口が異なる場合もあるため、新住所の管轄役場の窓口できちんと確認しましょう。

 また、引っ越しをすれば新住所での保育園の入園が不利になるのでは?と不安に思う人もいるでしょう。この場合「引越し者の救済措置」の制度を利用することで、引越し前でも通常の条件で審査を受けることが可能です。一定期間内に引っ越すことを証明しなくてはなりませんが、この手続きも各自治体によって内容が異なるため、よく確認の上対応していきましょう。

母子手帳の手続きは必要?

 母子手帳を所有していても、基本的には引っ越しにともなう手続きは不要です。しかし、妊婦さんの場合は異なる市区町村へ引っ越す場合に検診補助券の再発行手続きが必要となります。検診補助券は自治体によってさまざまな呼び名(妊婦健診検査費用補助券、妊産婦健康診査費用補助券など)があるので、引越し先の制度について事前に調べておくと安心できるでしょう。

市役所や町役場の手続きで引っ越しもスムーズに

 今回は引越し前に行うべき手続きについて紹介しましたが、引越し後も新住所を管轄する市役所や役場で手続きが必要になるものもあります。また、一定期間内に手続きをしなければ過料が課せられる項目もあるので、期限には注意して対応したいところです。不動産屋や引越し業者とのやりとりで見落としがちな手続きですが、引っ越しそのものをスムーズに終わらせるためにも、事前に済ませられる手続きについて調べておきましょう。

元・不動産メディア営業/現・不動産系ライター
岸山 海河 10本
有名不動産メディアSの創刊に関わり、地元〜大手不動産会社の物件広告を担当。2014年より不動産系ライターとして活動しています。引っ越し経験も多く、現在は片田舎に建てたマイホームに在住。部屋探しのワクワク感は今でも大好き!これまでの経験を生かしながら、沢山の人の「暮らし」に寄り添う記事を提供します。 資格:普通自動車、日本化粧品検定1級
元・不動産メディア営業/現・不動産系ライター
岸山 海河 10本
有名不動産メディアSの創刊に関わり、地元〜大手不動産会社の物件広告を担当。2014年より不動産系ライターとして活動しています。引っ越し経験も多く、現在は片田舎に建てたマイホームに在住。部屋探しのワクワク感は今でも大好き!これまでの経験を生かしながら、沢山の人の「暮らし」に寄り添う記事を提供します。 資格:普通自動車、日本化粧品検定1級

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