賃貸契約における連帯保証人の役割とは?知っておきたいリスクや条件

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賃貸物件を契約する際に、連帯保証人を求められるケースが多々見られます。そもそもなぜ連帯保証人が必要なのか?連帯保証人と保証人の違いは何なのか?賃貸契約時で困ることがないよう、連帯保証人の役割やリスク、条件について知っておきましょう。

賃貸契約における連帯保証人とは

賃貸契約における連帯保証人とは、借主が家賃や修繕費を支払わなかった際に、借主に代わって支払い義務を負う人を言います。賃貸物件を借りる際には、原則1人だけの信用で借りることはできません。家賃を収入源とする大家さんにとっても、家賃滞納のリスクは何としてでも避けたいもの。そこで、契約時に連帯保証人を求めるケースがあるのです。

★連帯保証人は借主と同等の責任を追わなくてはなりません。家賃のほか、契約中に発生した修繕費や原状回復費用、損害賠償費用などを極度額(後述)の範囲で支払う責任が発生します。借主が滞納した際、大家さんや管理会社から弁済を求められても拒否することはできません。

連帯保証人と保証人の違い

借主と同等の責任を負う連帯保証人と違い、保証人には「催告の抗弁権」や「検索の抗弁権」が与えられてるのが特徴です。たとえば、大家さんや管理会社から借主の代わりに弁済を求められても「まずは借主に請求を」「借主の財産を差し押さえてからで」などと言える権利があります。借主の一時的な支払不能や支払い拒否に対して、保証人が弁済しなくて済むケースがあるのです。

その点、連帯保証人はこれらの権利を持っていないため、たとえ借主に支払い能力が残っていたとしても大家さんや管理会社に請求された場合は弁済義務を追わなくてはなりません。保証人以上に責任が重いのが、連帯保証人です。

連帯保証人になれる人の条件

連帯保証人になれる人の第一条件は、安定した支払い能力です。契約の際には年収や年齢、勤務先などが確認され、必要に応じて源泉徴収票や所得証明書の提出を求められる場合もあります。

支払い能力のある友人は連帯保証人になれる?

一部では親族のみに限定している場合もありますが、支払い能力があれば友人を連帯保証人にすることは可能です。とはいえ、現実的には友人関係だと年月とともに疎遠になるケースも珍しくないため、親しい人でなければ連帯保証人を依頼することは難しいでしょう。源泉徴収票や所得証明書などの提出をお願いしたり、貯蓄額を明示したりと友人のプライバシーに関わる点も懸念されるポイントです。

定年を迎えた親は連帯保証人になれる?

定年を迎えた高齢の親を連帯保証人にすることは決して不可能ではありませんが、収入がない、もしくは少ないと判断されると連帯保証人として認められない可能性があります。実は、法律で連帯保証人になれる年収の限度額に一定の基準が設けられています。この基準は賃貸物件や貸主によって異なるため、条件について事前に調べておきましょう。

連帯保証人が見つからない場合はどうすべき?

連帯保証人になれる親族や知人がいない場合、もしくは頼みづらい場合は賃貸契約ができないのでは?と思われがちですが、現実的に連帯保証人を立てられない入居希望者はたくさんいます。もしも連帯保証人が見つからない場合でも、以下の方法で賃貸契約を結べる可能性は十分にあるでしょう。

  • 保証会社の利用
  • 家賃のクレジットカード決済

連帯保証人の代わりに、契約者が保証料を支払って保証人代わりとなるサービスを提供するのが家賃保証会社。近年では保証会社の加入を必須とする賃貸借契約が一般的です(後述)

また、クレジットカードで毎月の家賃を決済することが保証代わりになるケースもあります。クレジットカードが利用できる事自体、個人信用があるとみなされるからです。

賃貸契約で連帯保証人が負うリスク

これから誰かに連帯保証人を依頼する際、知ってほしいのは連帯保証人が負うリスクについてです。

借主が家賃滞納した場合に請求される可能性

借主が家賃を支払わず、大家さんや管理会社からの催促にも応じない場合は、滞納している家賃すべての請求が連帯保証人に来る可能性があります。

原状回復費用や損害賠償費用が請求される可能性

経年劣化など所定のガイドラインで定められている内容を除き、借主の故意や不注意で発生した傷や損害は、そのまま借主が修繕費用を負担しなければなりません。当然、借主が支払わない場合は連帯保証人が責任を取って支払わなければならないことになるでしょう。

自らの意志で賃貸借契約を解約できない

途中から連帯保証人をやめたい、連帯保証人から外れる方法が知りたいという人も少なくないでしょう。しかし、賃貸借契約を結んでいる間は当事者間の合意がないと連帯保証人をやめることはできません。さらに、連帯保証人が死亡した際は連帯保証人の相続人がその責任を追わなくてはならないため注意が必要です。

連帯保証人を見つけるのには時間がかかる

希望物件が見つかって契約を結びたくても、そこで初めて連帯保証人が必須と知る人もいるでしょう。しかし、連帯保証人を見つけるのには時間がかかることもあります。遠方に住む家族や親族が連帯保証人になることを承諾しても、書類を揃えるのに時間がかかることもあるでしょう。

もしも家賃滞納で迷惑をかけた場合、連帯保証人となってくれた人との関係も悪化します。連帯保証人を誰に依頼するかは慎重に検討し、希望物件に連帯保証人が必要かどうか早めに確認しておくと良いでしょう。

連帯保証人の代わりになる保証会社の利用料や審査

保証会社の役割は前の章で触れたとおりですが、大家さんからは家賃の滞納リスクを軽減できるため、保証会社の利用を必須とする物件も増えています。一部では連帯保証人と保証会社の利用をダブルで求められるケースもあるため、連帯保証人が見つからず保証会社を利用したい人は「保証人不要」の賃貸物件を調べると良いでしょう。

保証会社の利用料や更新料とは

保証会社の利用は所定の利用料や更新料が必要になります。利用料は、契約時に家賃の0.5〜1ヶ月を支払うのが一般的です。また、更新時(だいたい1年ごと)には別途1万円の更新料が請求されることもあります。

保証会社の利用には審査がある

保証会社を利用するには所定の審査があります。審査内容で問われるのは、収入や職種、雇用形態、所在地、また個人信用情報などです。過去に信用情報に関わるトラブルがある人は審査通過が難しくなりますが、保証会社の形態が金融系(CIC、JICC)とリンクしている信販系ではなく、独自の個人情報データベースとリンクしているLICC系なら審査通過できる可能性はあるでしょう。

2020年の民法改正で連帯保証人に義務付けられたこととは

これまでは連帯保証人が負担する金額の限度額は決まっていませんでしたが、2020年4月以降にに締結された賃貸借契約書では「保証する金額の限度額(極度額)を設けること」や「限度額についての内容を契約書に記すこと」が必要になりました。連帯保証人に対する責任が重すぎる、というのが法改正の背景です。連帯保証人の極度額(限度額)を設定・明記が必須となった今、記載がないもしくは不当に高い金額が設定されていてもその契約書は無効となります。

連帯保証人が負担する限度額

限度額(極度額)の金額については明確な基準がないため、設定次第で10万円でも100万円でも有効となります。とはいえ、あまりにも毎月の家賃額に対して安い場合は大家さんからの許可が降りないこともあり、反対に高い場合は連帯保証人を見つけること自体が困難となるでしょう。

ちなみに国交省が発表した極度額(限度額)設定の資料によると、家賃4〜8万円未満の物件で家賃滞納が発生した場合は28.2万円、家賃8〜12万円未満の物件だと50.0万円が損害額の平均であることがわかっています。この資料を参考に限度額を設定しておくと、大家さんや連帯保証人に説明しやすくなるでしょう。

大家さん・借主から連帯保証人への情報開示

さらに法改正により、借主が連帯保証人に対して自身の収入や貯蓄額、負債額などの財産状況について情報開示することが義務付けられたほか、大家さん自身も連帯保証人に対して情報開示義務を負うこととなりました。連帯保証人に情報提供されることでトラブルの防止が期待できます。もしも大家さんが情報開示義務を怠り、借主に債務不履行が起こった場合は、連帯保証人に弁済を請求できない可能性があります。

★賃貸借契約書に保証する限度額の明記や、情報開示の義務化により、連帯保証人のリスクや負担が軽減されているのは嬉しいポイントです。

連帯保証人不要の物件にはデメリットはない?

ごくわずかですが、賃貸物件の中には連帯保証人不要の物件も存在します。そのかわり、保証会社の利用で初期費用が高くなったり、立地や間取りなどにマイナスポイントがあって不人気だったりと、それなりのデメリットがある可能性も高いです。

★そもそも、連帯保証人がいることで大家さんも安心して部屋を貸し出すことができます。連帯保証人がいなくても借りてほしい、という物件は空室期間が長い、または築古や事故物件などのマイナス要素が強い物件である可能性は高いでしょう。

連帯保証人の責任は借主と同等であることをお忘れなく

賃貸契約において求められる場面の多い連帯保証人。法改正により連帯保証人の責任や負担軽減策が見られるようになりましたが、それでも借主と同じ責任を負わなければならないのは変わりません。これから連帯保証人を探す人も、また連帯保証人を依頼された人も、契約内容や借主の情報を熟考した上で検討してみてはいかがでしょうか。

元・不動産メディア営業/現・不動産系ライター
岸山 海河 10本
有名不動産メディアSの創刊に関わり、地元〜大手不動産会社の物件広告を担当。2014年より不動産系ライターとして活動しています。引っ越し経験も多く、現在は片田舎に建てたマイホームに在住。部屋探しのワクワク感は今でも大好き!これまでの経験を生かしながら、沢山の人の「暮らし」に寄り添う記事を提供します。 資格:普通自動車、日本化粧品検定1級
元・不動産メディア営業/現・不動産系ライター
岸山 海河 10本
有名不動産メディアSの創刊に関わり、地元〜大手不動産会社の物件広告を担当。2014年より不動産系ライターとして活動しています。引っ越し経験も多く、現在は片田舎に建てたマイホームに在住。部屋探しのワクワク感は今でも大好き!これまでの経験を生かしながら、沢山の人の「暮らし」に寄り添う記事を提供します。 資格:普通自動車、日本化粧品検定1級

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