都市ガスとプロパンガスって何が違うの?料金はどのくらい違うの?[月額利用料金の相場は?]

近年は、「オール電化」の物件も増えてきましたが、コンロや給湯器をガスに頼っている物件もまだまだあります。そして、それらを動かすガスには「都市ガス」と「プロパンガス(LPガス)」の2種類があり、私たちはどちらかを選ばなければなりません。そこで今回は、都市ガスとプロパンガスの違いについて、その特徴や料金など徹底比較します。

  

都市ガスとプロパンガスの比較

それでは、都市ガスとプロパンガスを徹底的に比較してみましょう。両者それぞれ特徴があるので、物件を選ぶ際は以下を踏まえてどちらにするか考えてみてください。

原料・性質が違う

まず、都市ガスとプロパンガスは原料や性質が全く違います。そのため、ガスとしてひとくくりにされますが、全くの別物だと考えてください。

都市ガスの主成分はメタンであり、「液化天然ガス(LNG)」と表記されることもあります。主に海外から輸入されており、輸入した液化天然ガスの7割が火力発電所で使われ、残りの3割が都市ガスとして利用されています。

一方プロパンガスの主成分は、プロパンやブタンであり「液化石油ガス」と呼ばれます。工業用のガスはブタンを主成分とし、家庭用のガスはプロパンを主成分とするなど棲み分けがされています。

また、都市ガスは輸送の際、-162℃に冷却して液体化させるのに対して、プロパンガスは-42℃で液体になるため、プロパンガスの方が扱いやすいとも言われます。

両者ともに液体の状態で海外から輸入し、貯蔵されます。

その後、都市ガスは気化・熱量調整したものが導管ネットワークを通じて私たちの元に届きます。

プロパンガスは液体のままボンベに詰め、私たちの家の近くに運ばれます。

プロパンガスを利用している物件であれば、自宅の近くにボンベがあるはずです。

また、都市ガスとプロパンガスは重さも異なります。

都市ガスは空気より軽く、上に溜まる性質があり、一方プロパンガスは空気より重く、下に溜まる傾向にあります。

そのため、都市ガスの警報器は天井や壁の上につけられるのに対し、プロパンガスの警報器は壁の下に設置されます。

ちなみに、嫌なにおいの代表格として扱われるガスのにおいですが、実は元々のガスは都市ガス・プロパンガスにかかわらず無臭です。

あのにおいは、万が一ガス漏れした際に気づくことができるよう、後からつけたものなのです。

私たちの身を守るためのにおいということですね。

料金は都市ガスの方が安い

次は、両者を料金の面から比較してみましょう。

結論から述べると、料金は都市ガスの方が安い傾向にあります。

月々のガス代は、「基本料金」と「従量料金(1㎥あたりの料金)」から成り立っています。

以下では首都圏を例に見ていきましょう

プロパンガスの場合、基本料金が「1,646円」、従量料金が「1㎥あたり505円」となっています。ちなみに、全国平均が基本料金「1,890円」、従量料金「523円」なので、首都圏は比較的安い価格です。

一方都市ガスの場合、基本料金や従量料金は月々のガスの使用量によって変化します。

例えば首都圏の基本料金は

・0~20㎥の場合「745円」

・20~80㎥の場合「1,037円」

・80~200㎥の場合「1,210円」

となっています。

また、従量料金は

・0~20㎥の場合「191円」

・20~50㎥の場合「161円」

・50~100㎥の場合「156円」

です。

月間20㎥のガスを使用したと仮定すると、1,000円弱都市ガスの方が安い計算になります。

料金重視でガスを選択する場合は、都市ガスがおすすめです。

熱量はプロパンガスの方が高い

両者は、実は熱量にも大きな違いがあります。

都市ガスは1㎥あたり約11,000kcalの熱量なのに対して、プロパンガスの場合は1㎥あたり約24,000kcalの熱量を持っています。実に2倍以上も差があります。

ただし、「熱量が高い=火力が大きい」ということではありません。火力はコンロの種類に依存するため、同じコンロを使用すれば同じ火力になります。

そのため、都市ガスでも十分な火力を感じることはできますし、プロパンガスでも火力が足りないと感じることもあります。

火力を重視する場合は、ガスの選択とともにコンロ選びもしっかりと行いましょう。

災害時はプロパンガスの方が強い

プロパンガスは災害時の復旧の速さに定評があります。

災害が起きた場合、都市ガスはパイプが地中に埋まっているため、安全を確認するにもかなり時間がかかります。また、1つの地域をまとめて管理しているため、その地域の安全確認が終わらなければ復旧できません。

一方プロパンガスの場合は、ガスボンベを各住居に設置して供給しているので、設置する住居の安全確認が完了すれば復旧することができます。規模が大きすぎないからこそ、復旧作業を早く進めることができるのです。

ただし、都市ガスも「一般社団法人日本ガス協会」のもと、地震や台風などの災害時になるべく早く復旧できるよう、全国の都市ガス業者に協力を呼びかけています。

  

都市ガスとプロパンガスは変更できるのか

上記の説明を踏まえて、みなさんの中にはどちらかのガスを選択したいと思う方もいるでしょう。

しかし、希望のガスではない物件に住んでいる場合、都市ガスからプロパンガスへ、もしくはプロパンガスから都市ガスへの変更は可能なのでしょうか。

持ち家の場合は特に問題なく変更できますが、賃貸物件の場合は大家さんが契約しています。そのため、基本的には変更できないと考えてください。

もし、大家さんの許可が下りれば変更することはできますが、手続きに伴う費用は自己負担となります。都市ガスからプロパンガスに変更する場合はそれほど費用がかからないケースも多いです。一方プロパンガスから都市ガスに変更する場合は、パイプを通す工事などを行わなければならないので、それなりに費用がかかります。

また、ガスの種類に合わせたコンロに変更することも忘れないようにしてください。

  

都市ガスとプロパンガスの見分け方

次は、その物件が都市ガス・プロパンガスのどちらに対応しているのか見分ける方法をご紹介します。

もっとも簡単な方法は、ガスボンベの有無で判断することです。

最初にも説明したように、プロパンガスの場合は液体化したガスをボンベに詰め、各家庭へ供給しています。

そのため、プロパンガスを利用している物件であれば、近くにガスボンベが設置されているはずです。

一方都市ガスは、地下の配管を通じて供給されているため、外には何も設置されていません。

ただし、プロパンガスの場合でも、景観などを考慮し見えづらい場所にボンベを設置している物件もあります。

もう1つは、ガスコンロやガスメーターなどのガス機器で見分ける方法です。

ガス機器には、間違いを防ぐためにどのガスを使用しているのか一目で分かるシールが貼ってあります。

例えば、「12A」や「13A」といったシールが貼ってある場合は都市ガス、「LPG」というシールが貼ってある場合はプロパンガス用ということになります。

契約しているガスの種類とガス機器が異なると、最悪の場合「一酸化炭素中毒」などになるおそれがあります。

まずは物件の契約時にどちらのガスを使用しているのかを確認し、もし忘れてしまった場合は上記のような方法でご確認ください。

  

ガス漏れの際の対処法

最後に、万が一ガス漏れを起こしてしまった際の対処法をお伝えします。

空気より軽い都市ガスは、換気扇や窓を開けて換気を行ってください。

一方空気より重いプロパンガスは、窓を開けるのも大切ですが、玄関を開けるなどして対処しましょう。

そして、ガス漏れを感じた場合は、火器には注意した上ですぐにガス会社へ連絡してください。

  

ガスの管理は最新の注意を払おう

ガスがあることで、私たちの生活は飛躍的に便利になっています。

しかし、取り扱いを一歩間違えると、ガスはとても危険です。

今回の記事でガスに関する基本的な知識を身につけ、十分注意して利用するようにしてください。

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