不動産投資ローン審査の流れや内容、住宅ローンとの違い
不動産投資のためにマンションや一戸建ての物件を購入する際、一括で支払うのではなく、不動産投資ローンを活用する方も多いでしょう。
今回は、不動産投資ローンの内容や住宅ローンとの違い、審査の流れなどを詳しくご紹介します。
不動産投資ローンと住宅ローンの違い
不動産投資を始める場合、投資対象の不動産を購入する費用や、アパートなどを建てる費用が必要です。そこで、多くの方が利用しているのが「不動産投資ローン」でしょう。
不動産投資ローンとは、投資対象となる不動産を担保にすることで、銀行などの金融機関から融資を受ける金融商品のことを指します。
ただ、ここで疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。とくに、アパートや一戸建て物件を建てて運用するのであれば、「住宅ローン」が使用できるのではないかという点です。
時に不動産投資ローンと住宅ローンは混同されることがありますが、ここでは両者の違いについてご紹介します。
審査基準が異なる
不動産投資ローンと住宅ローンは、貸付用途が異なります。前者は不動産投資のために融資を行いますし、後者は居住するために融資を受けるはずです。人が住む建物を建てるという点は共通していますが、その目的が異なるのです。
融資を行う金融機関からすると、家を建てる目的が異なる以上、審査基準も変わってきます。不動産投資ローンでは、返済能力を裏付けるための要素として、採算性や今後の見通しなどが重視される傾向にあります。
一方、住宅ローンでは年収や在職年数などをもとに返済能力や信用度を確認するのです。
両者の最大の違いは、融資の目的が異なるため、審査基準にも違いが生まれる点です。
金利設定が異なる
不動産投資ローンと住宅ローンでは、金利にも違いが生まれます。住宅はその性質上生活に欠かせないものであるため、金利面で金融機関から優遇されやすい仕組みとなっています。
具体的には、2016年以降のマイナス金利政策によって0.4~2.5%程度です。資産の少ない方や給与の少ない方でもローンを組んで住宅が買えるように低い金利が設定されています。
それに対して、不動産投資ローンは事業用ローンの一種です。事業用ローンについては、金融機関は事業がうまくいかないケースや経営破綻などによる返済不能のリスクなどを考慮して、金利を高く設定する傾向にあります。さまざまな金融機関のローン金利を平均すると、2~5%となっています。
金利面については、不動産投資ローンのほうが住宅ローンより高いと覚えておきましょう。
契約者の年齢制限
住宅ローンでは、ローンを組む契約者に年齢制限を設けている金融機関がほとんどです。金融機関ごとに異なるものの、70歳程度を上限として年齢制限を設けています。
これは、住宅ローンの返済が個人の給与などに依存しているため、退職の年齢などを考慮して定められています。
一方、不動産投資ローンでは、ほとんどの金融機関で申し込みの年齢上限を設けていません。完済時の年齢を80歳程度に定めている金融機関もありますが、申し込み時の年齢制限は設けないケースが多いようです。
これは、資産状況や退職金の運用、過去の不動産投資実績などから、ある程度高齢になって不動産投資ローンを組むケースもあるためです。
また、ローンの返済原資が家賃収入にあるという点も大きな理由のひとつです。
不動産投資に住宅ローンは組めるのか?
両者はいくつか違いがあるものの、家の購入や建築のためにローンを組む点は共通しています。しかし、結論から申し上げると、不動産投資用物件に住宅ローンを組むことはできません。
住宅ローンは、居住用物件の購入のために用意された、金融機関が特別に用意した融資システムです。その分金利が低くなっているなど、住宅ローンだけの優遇措置がとられています。
そのため、不動産投資のように事業のために融資を受ける場合は活用できないのです。
不動産投資を目的とした融資であることを偽った場合、その事実が発覚した時点で融資の一括返済を求められます。最悪のケースでは詐欺罪として立件される可能性もあるため、住宅ローンの不正利用はしてはいけません。
不動産投資ローンの審査に必要なもの
前述の違いを把握したうえで、不動産投資ローンの金融機関へ申し込むのであれば、審査に必要な書類や情報を集めます。以下を参考に必要書類を準備しましょう。
- 物件概要書
- 売買契約書
- 重要事項説明書
- 賃料想定表(レントロール)
- 不動産登記謄本
- 公図
- 物件に関する資料(図面等)
- 建築確認済証
- 身分証明書(写真必須)
- 健康保険証
- 実印
- 印鑑登録証明書
- 住民票
- 確定申告書や前年の源泉徴収票など所得を証明する書類
- 直近3年分の納税証明書
- 勤務先概要
- 賃貸借契約書
- 保有資産一覧
個人事業主や会社員など就労状況によって変化する資料も存在します。また、申し込み先の金融機関によっては、さらに必要書類が増える可能性もあります。事前に確認しましょう。
書類の不足や不備がある場合は、審査が進みません。事前に立てていた融資計画や投資計画が崩れてしまう可能性もあるため、金融機関を訪れる前にすべての資料をそろえておくのが理想です。
不動産投資ローンの取り扱い先の種類と特徴
不動産投資ローンの主な取り扱い先は、「日本政策金融公庫」や「都市銀行」「地方銀行」です。以下の表で、それぞれの特徴をご紹介します。
審査基準 | 金利 | 借入期間 | 融資金額の上限 | |
日本政策金融公庫 | ゆるい | 低い | 10~15年 | 少ない |
都市銀行 | 厳しい | 低い | 35年以内 | 高い |
地方銀行 | やや厳しい | 高い | 35年以内 | 高い |
それぞれ審査基準や金利、借入期間、融資金額の上限などが異なります。日本政策金融公庫は、比較的融資を受けやすいものの、短期間で返済しなければならず、融資金額も銀行と比べると少ない傾向にあります。
反対に、メガバンクや地方銀行は審査基準が少し厳しくなるものの、日本政策金融公庫と比べると長期間にわたって多額の資金を借りることができます。
必要な資金や金利などさまざまな視点から融資先を検討する必要があるでしょう。
不動産投資ローンの審査の流れ
すべての準備が整ったら、実際に金融機関で不動産投資ローンの審査を受けることになります。以下では、不動産投資ローンの流れを簡単にご紹介します。
1.金融機関の担当者へアポイントメントをとる
いきなり金融機関を訪れ「融資して欲しい」と訴えても、基本的に相手にされません。まずは金融機関の融資担当へ連絡を入れ、面談の日程などに関するアポイントメントをとりましょう。
面談の日時が決まったら、先ほどの必要書類をすべて整えておくことが大切です。
2.ローン申請手続きを行う
必要書類をすべて準備したうえで、融資担当者とのアポイントメントに臨み、ローン申請手続きを行います。書類の不備がある場合は、申請を受け付けてもらえないため注意が必要です。
3.ローン審査の開始
手続きを終えたらローン審査が開始されます。完了までは2~4週間程度かかるため、不動産投資に向けて情報収集する時間などに宛てましょう。
4.融資決定通知
審査に通過すると、金融機関から融資決定通知が届きます。再び担当者と連絡をとり、融資手続きに訪れる日程を決めます。
5.融資手続き
金融機関にて融資手続きを行うと、融資が実行されます。投資対象としていた物件の購入などを行いましょう。
まとめ
自己資金を潤沢に用意できる場合は別ですが、不動産投資をするにあたって不動産投資ローンを活用する方も少なくありません。
必要書類を準備し、どこに申し込むかで融資を受けられる確率も変わってくるため、今回の情報を参考に事前対策を万全にしておきましょう。
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