暖房器具の選び方で光熱費が変わる!暖かく省エネな冬の過ごし方
冬の寒い季節、暖かく快適な部屋で過ごすことは何よりの癒やしです。しかし、同時に気になるのが毎月の「光熱費」。特に賃貸物件では、断熱性能が限られている場合も多く、暖房器具の選び方や使い方によっては、想像以上に電気代がかさんでしまうこともあります。
「もっと賢く、暖かく冬を過ごしたい!」そう願う皆さんのために、このコラムでは、様々な暖房器具の特性と選び方のポイント、そして今日から実践できる省エネな使い方までを詳しくご紹介します。
暖房器具の種類と特徴を理解する
まずは、現在市販されている主な暖房器具の種類と、それぞれの特徴を把握しましょう。それぞれのメリット・デメリットを知ることで、ご自身のライフスタイルや部屋の広さに合った最適な一台を見つけられます。
【エアコン】部屋全体を効率よく暖める
最も一般的な暖房器具がエアコンです。エアコンは、室内の空気を吸い込み、熱交換器で暖めて部屋に戻すという仕組みで、部屋全体を素早く、そして効率的に暖めることができます。
エアコンのメリットは、立ち上がりが早く、部屋全体を暖める能力に優れている点です。最新の機種には省エネ性能が高いものが多く、長い時間使う場合は電気代を抑えやすい傾向にあります。また、空気清浄機能や加湿機能が搭載されているものも珍しくありません。
一方、エアコンのデメリットは、温風が直接当たるのを不快に感じやすい点にあります。また、運転音が気になる場合や、乾燥しやすいという欠点もあります。電気代は初期費用が高い分、ランニングコストは比較的抑えられますが、つけっぱなしにするとやはり高額です。
【電気ヒーター・セラミックファンヒーター】スポット暖房に最適
コンセントに挿すだけで手軽に暖められるのが電気ヒーターやセラミックファンヒーターです。ファンヒーターは温風を吹き出すタイプ、オイルヒーターやパネルヒーターは本体が熱くなって輻射熱で部屋を暖めるタイプがあります。
メリットは、持ち運びが簡単で、必要な場所だけをピンポイントで暖める「スポット暖房」に適している点です。エアコンが苦手な方や、脱衣所、トイレなど狭い空間で一時的に暖まりたい場合に便利です。灯油やガスを使わないため、燃料の補充や換気の心配がありません。
一方、エアコンに比べて消費電力が大きい機種が多く、広い部屋全体を暖めるのには不向きで、光熱費がかさむ傾向にあるのがデメリットです。部屋全体が暖まるまでに時間がかかったり、部屋が乾燥しやすかったりすることもあります。
【石油ファンヒーター・ガスファンヒーター】パワフルな暖房力
石油やガスを燃料とするファンヒーターは、強力な暖房力で部屋を素早く暖めることができます。
広いリビングなどでもパワフルに暖められ、立ち上がりも非常に早いです。燃料費は電気代よりも安く済む場合があります。
しかし、灯油やガスの補充・交換が必要で、換気が必須なのが残念なポイント。換気を怠ると一酸化炭素中毒の危険性があり、結露の原因にもなります。賃貸物件では、石油ストーブや石油ファンヒーターの使用を禁止している場合もあるため、事前に契約書を確認する必要があります。ガスの場合はガス栓が必要です。
【こたつ・電気毛布】身体を直接暖める
こたつや電気毛布は、部屋全体を暖めるのではなく、直接身体を暖めることで快適さを得る暖房器具です。
メリットとして、消費電力が非常に少なく、光熱費を大幅に抑えられます。手軽に暖まり、リラックス効果も高いです。
一方、こたつや電気毛布は部屋全体を暖めることはできません。こたつは移動が難しく、スペースを取ることもあります。他の暖房器具と併用することで、部屋全体を暖めすぎずに済み、省エネに繋がります。

省エネに繋がる暖房器具の「選び方」のポイント
ご自身のライフスタイルと部屋の状況に合わせて、最適な暖房器具を選びましょう。
部屋の広さと断熱性能を考慮する
広い部屋や断熱性が低い部屋(木造のアパートなど)には、エアコンや石油・ガスファンヒーターなど、パワフルに部屋全体を暖められる器具が適しています。逆に、狭い部屋や断熱性が高い部屋(RC造のマンションなど)であれば、エアコンや、スポット的に電気ヒーターを併用するだけでも十分な場合があります。
稼働時間と使用シーンで選ぶ
長時間使う場合は、一日中リビングにいるなど、長時間暖房を使う場合は、省エネ性能の高いエアコンが最も効率的です。そして、朝の着替えや脱衣所、勉強机の下など短時間・スポット的に使う場合は、電気ヒーターやセラミックファンヒーター、こたつなどが便利。寝室で暖まりたい場合は、エアコンのタイマー機能を活用するか、電気毛布を使うのが経済的です。
安全性と賃貸契約を確認する
小さなお子さんやペットがいる家庭では、やけどのリスクが低いオイルヒーターやパネルヒーターが安全です。また、石油ストーブや石油ファンヒーターは、火災のリスクや燃料の保管場所の問題から、賃貸契約で使用が禁止されている場合があるため、必ず契約書を確認しましょう。
今日からできる!暖房の「賢い使い方」と省エネテクニック
どんなに高性能な暖房器具を選んでも、使い方が悪ければ光熱費はかさんでしまいます。ちょっとした工夫で、省エネ効果を最大限に引き出しましょう。

ポイント(1) 設定温度は控えめに
環境省が推奨している冬の室温は**20℃**です。快適に感じるからといって、必要以上に温度を上げすぎないようにしましょう。設定温度を1℃下げるだけでも、約10%の節電に繋がると言われています。
ポイント(2) フィルター掃除と室外機の点検
エアコンのフィルターにホコリが溜まっていると、暖房効率が大幅に低下し、余計な電気代がかかってしまいます。月に一度はフィルターを掃除する習慣をつけましょう。また、室外機の周りに物を置かない、雪などで覆われていないか確認することも大切です。
ポイント(3) 窓からの冷気を徹底的にシャットアウト
部屋の暖かさの約6割は窓から逃げます。厚手のカーテンを閉める、断熱シートを貼る、隙間テープで窓の隙間を塞ぐなど、窓からの冷気対策を徹底することで、暖房効率が格段に上がります。カーテンは、床まで届く長さのものを選び、窓との間に隙間ができないようにすると効果的です。
ポイント(4) 湿度を上げて体感温度を上げる
部屋の湿度が低いと、実際の温度よりも寒く感じやすくなります。加湿器を使用したり、濡れたタオルを干したりして、湿度を50~60%程度に保つことで、体感温度が上がり、暖房の設定温度を下げても快適に過ごせます。ただし、加湿しすぎると結露の原因になるため注意しましょう。
ポイント(5) サーキュレーターで部屋の空気を循環させる
暖かい空気は上に、冷たい空気は下に溜まる性質があります。サーキュレーターを天井に向けて回すことで、室内の空気を効率よく循環させ、部屋全体を均一に暖めることができます。これにより、暖房の設定温度を下げても暖かく感じやすくなり、省エネに繋がります。
ポイント(6) 断熱アイテムを活用する
膝掛けやルームソックス、厚手のルームウェアなど、身体を直接暖めるアイテムを活用しましょう。また、床からの冷え対策には、厚手のラグやカーペットを敷くのが有効です。これらのアイテムを上手に活用することで、暖房器具の使用量を減らし、光熱費を抑えられます。
賢い選択と工夫で、暖かく経済的な冬を
冬の快適な暮らしと光熱費の節約は、相反するように思えるかもしれません。しかし、暖房器具の種類と特性を理解し、自身のライフスタイルや部屋の状況に合わせた最適なものを選ぶこと、そして日々の使い方を少し工夫するだけで、その両立は十分に可能です。
エアコンの効率的な使い方から、補助暖房の活用、窓からの冷気対策、そして湿度調整まで、できることから一つずつ実践してみてください。