築50年の賃貸マンションのメリット&デメリットとは?耐久性やメンテナンスに注目
部屋探しにおいてデメリットととられがちな築古物件。高度成長期からバブル期までに多くのマンションが建設され、今では築50年にもなる賃貸物件も存在するほどです。しかし、見方によってはメリットもたくさんあるのが築古物件の魅力。今回は、築50年になる賃貸マンションのデメリットやメリット、築古物件を選ぶ上で押さえておきたいポイントについてご紹介します。
築50年の賃貸マンションのデメリット|性能面がやばい?
築50年のマンションやアパートは、1973年頃に建設された建物です。現在の高性能な住宅と比べると、性能面や設備などにデメリットがあると言わざるを得ません。ここで、契約前に検討したい築古物件のデメリットについて紹介します。
耐久性や気密性など性能面が不十分な可能性がある
すべての築古物件に該当するわけではありませんが、築浅の物件に比べると建物の耐久性や気密性が不十分な可能性もあります。特に、気密性が低いと部屋全体が夏の暑さ・冬の寒さに弱くなるため、エアコンが効きづらく光熱費が高くなることも予想されます。もともと気密性が低い木造アパートなら、なおさら快適性に劣るでしょう。
設備が古く整っていない可能性がある
築年数が古いと、設備自体が最新のものではない可能性が高いです。築30〜50年ともなると、浴槽の横に給湯器があるバランス釜や和式トイレなどアナログタイプの設備がそのまま残っている物件もあるでしょう。
賃貸物件である以上、たとえ自己負担するつもりでも入居者自身で設備を修理・交換することはできません。設備にこだわりがある人は、築古物件には向いていないでしょう。
虫が発生しやすいことも
築年数が古い物件ほど害虫の発生率が高くなる傾向にあります。経年劣化で物件そのものにヒビ割れや傷みが出ると、その隙間から害虫が侵入しやすくなるからです。また、配管工事やメンテナンスをしていない築古物件は、配管から下水のニオイが上がってくるので害虫が発生しやすくなります。
現在の耐震基準を満たしていない
1981年以前に建てられた物件は旧耐震基準であり、現在の新耐震基準を満たしていない可能性が高いです。ちなみに、旧耐震基準は震度5程度の地震に対し倒壊や崩壊がなければ良いという基準、新耐震基準は震度6〜7程度の自信に対し倒壊や崩壊しないことが定められています。なかには耐震リフォームや工事を施している物件もありますが、安全面を重視するなら旧耐震基準の築古物件は避けたほうが良いでしょう。
築50年の賃貸マンションのメリット|安くて狙い目?
デメリットの面ばかりが目立つ築古マンションですが、築50年にもなる物件は家賃が安く、入居条件の更新がしやすいメリットもあります。たとえ古い物件でも、内装リフォームやリノベーションで新築と見間違うほどきれいに生まれ変わったケースもあるでしょう。築年数さえ気にならなければ、意外にもメリットが多いもの。そこで、狙い目とも言える築古マンションやアパートのメリットについてまとめました。
家賃が安い
賃貸物件の家賃は、築年数によって大きく左右されます。当然、築50年にもなる物件なら家賃も低めに設定されているケースが多いです。築年数が古く人気が下がると空室期間も長くなるため、大家さんが家賃を下げて募集することがあります。また、家賃だけではなく初期費用を大幅に安くして入居者を募集する築古物件も珍しくありません。初期費用や家賃を抑えて引っ越したい人には狙い目の物件と言えるでしょう。
立地条件が良い
国内の分譲マンションが普及したのは1960〜70年代。その後の建設ラッシュや融資制度の開始により、駅周辺にたくさんのマンションが建てられました。築50年のマンションは、まさに1970年代に建てられたものです。つまり、築古物件ほど立地条件が良い傾向にあります。駅が近いと防犯面でも安心できるほか、通勤・通学もしやすいです。
交渉しやすい
築30〜50年にもなるマンションは需要が低く、よほど好条件でない限り入居者が見つかりにくい傾向にあります。とはいえ、大家さんからすれば空室期間の家賃収入はゼロになり、管理費も自分持ちです。大家さん自身も入居者を早く見つけたい、そんな思いから交渉に応じてくれる可能性が高いと言えます。家賃交渉のほかにも、エアコンの追加や畳や設備を新品に変えてもらうなど、交渉の幅は広いでしょう。物件情報の更新日が古い築古物件はまさに狙い目です。
選べる物件が多い
築浅の物件を中心に探すよりも、築年数を気にせず部屋探しをしたほうが選べる物件数も断然多くなります。ためしにYahoo!不動産を利用したところ、東京都渋谷区で築年数5年以内の物件が約2,550件ヒットしたのに対し、築30年以内の物件は約8,520件ヒットしました(2023年8月現在)。築年数が古くても、リフォーム工事やリノベーションできれいになっている物件もたくさんあります。なにより、新築や築浅物件は競争率も高いので、範囲を広げるだけで物件の選択肢が広がるのは大きなメリットと言えるでしょう。
耐用年数を過ぎている築古物件を選んでも大丈夫?
建物は、構造や用途によって法定耐用年数が決まります。鉄筋コンクリート造のマンションの場合、法定耐用年数は47年。つまり、築50年のマンションは法定耐用年数を過ぎていることになります。
ここで知ってほしいのは、法定耐用年数を過ぎてもその建物に住み続けることは可能であるということです。
法定耐用年数とは、固定資産などの減価償却を計算する際に用いられる年数であり、税務ルール上の数字になります。法定耐用年数は、建物の寿命というわけではありません。
とはいえ、築50年ともなれば地震が起きたときに不安が残るのも事実です。賃貸物件だからこそ住み替えしやすいメリットはありますが、実際に契約する前には建物の耐震補強が済んでいるかどうか確認すると良いでしょう。
★耐久性の面で安全かどうかを判断するには、耐用年数ではなくメンテナンス(修繕)の有無が重要と言えます。
築50年でも大丈夫!後悔しない築古物件の選び方
築年数さえ気にしなければ、選べる物件も多くなります。最後は、これまでに紹介したデメリットをもとに、安心して暮らせる築古物件の選び方についてご紹介します。
メンテナンスやリフォームが入っている物件を選ぶ
建物の築年数に限らず、適切にメンテナンスされていなければ老朽化が進み、住まいとしての快適性が失われます。定期的にメンテナンスが施されているか、築古を感じさせないほど住心地が良い物件かどうかを知るのも、物件選びで重要なポイントです。
メンテナンスの有無は、共用部分で確認することができます。ポストが破損していないか、駐輪場や階段にゴミが落ちていないかをチェックするだけでも十分。共益費や管理費をきちんと徴収している賃貸物件も、メンテナンス体制が整っていることが多いです。
設備を確認する
建物が古いだけでなく、設備も古いままだと故障の原因や光熱費の上昇に繋がります。リフォームやリノベーションされていない物件なら、設備が新しいものに交換されているかを見てみると良いでしょう。内見の際は、エアコンや給湯器などの年式をチェックするのがおすすめです。もしも古いままの場合、新しいものに交換できるか交渉するのも一つの方法といえます。
耐震工事がされている物件を選ぶ
1981年以前に建てられた建物は現在の耐震基準を満たしていませんが、適切な耐震補強工事をしていれば建物の耐久性は保たれます。気になる物件があれば、耐震工事がされているかどうかを確認した上で入居を検討しましょう。
立ち退き勧告の可能性を前提に選ぶ
同じ築古物件でも、RC造のマンションより木造のアパートのほうが建物の老朽化が進みやすいです。築古アパートに住み続けていても、建て替えや解体を理由に立ち退き勧告される可能性はあります。場合によっては立ち退きを巡るトラブルに巻き込まれるケースもあるため、築古物件(特にアパート)を選ぶ際は長期的な居住が難しいこともあると知っておきましょう。
築50年の賃貸マンションにも狙い目あり!
築年数が古くなるにつれ、耐久性や設備の老朽化が不安な部分も否めません。一方でリフォームやリノベーション、耐震工事が施されている築古物件も多く、築年数さえこだわらなければ掘り出し物物件に出会える可能性も広がります。築50年にもなる物件なら、立地条件が良いマンションも多いでしょう。たとえ古くても、自分好みの部屋にリメイクする楽しみもあります。いい物件に巡り会えずに悩んでいる方は、築年数を気にせずに部屋探しをしてみてはいかがでしょうか。