仲介手数料が安い不動産会社は信頼できる?無料になるからくり&値下げのコツ
賃貸契約において、十数万から数十万の初期費用は大きな負担になりがちです。少しでも初期費用を抑えるために、仲介手数料無料や半額の不動産会社を検討している人も多いことでしょう。しかし、仲介手数料は不動産会社にとって収入の柱になるもの。半額や無料など、仲介手数料の安い不動産会社は信頼して良いのでしょうか。
今回は、仲介手数料が安いor無料の不動産会社に関するからくりやデメリット、交渉のポイントについて解説していきます。
仲介手数料無料や安い理由とは?からくりを公開
仲介業を営む不動産会社にとって、仲介手数料がなければ利益がゼロになると思われがちです。実は、仲介手数料を削っても不動産会社に利益が出る“からくり”が存在します。
まずは、仲介手数料が無料になる、また安くなる理由についてからくりを紹介します。
そもそもが自社物件
仲介手数料は大家さん(貸主)と入居者(借主)が不動産会社(仲介会社)に支払うものですが、そもそも物件を所有・運営しているのが不動産会社(管理会社)の場合、仲介業務が発生しないため仲介手数料がかかりません。
管理物件を多く抱える不動産会社はたくさんありますが、部屋探しを仲介してもらうよりも条件面の選択肢が狭まります。部屋の条件を譲らないのか、仲介手数料を削って初期費用を抑えるのか、部屋探しで優先したいことをはっきりさせましょう。
大家が全額負担している
仲介手数料の上限は家賃の1ヶ月分(+税)であり、事前説明をした上で入居希望者に全額請求するか、入居希望者と大家さんに半額ずつ請求するか、その判断は不動産会社に委ねられています。
仲介手数料が無料ということは、入居希望者ではなく大家さんが全額負担していることになります。先述の通り、大家さんが仲介手数料を全額負担することで空室を避け、毎月の収入につなげるのが目的です。
大家からADをもらっている
ADとは広告料のこと。賃貸物件の場合、大家さんが入居者募集のために不動産会社へADを付けているケースがあり、不動産会社は十分な収入が得られる代わりに入居者への仲介手数料を安くする、または無料にするケースがあります。
仲介手数料には上限があっても、ADには上限がありません。家賃の1〜2ヶ月分が相場と言われていますが、ADのついた物件は不動産会社にとっても契約に持ち込みたい物件です。物件情報に「AD100」「AD200」といった表記があれば、ADがついていることになります。
※AD100 – 家賃1か月 AD200 – 家賃2か月
空室期間が長い
大家さんにとっての収入源は、月々の家賃です。当然空室になれば収入がゼロになるので、早く入居者を入れるためにも大家さん自身が仲介手数料を半額、もしくは全額負担してくれることがあります。
空室期間が長い物件は、立地上の問題や築年数が古いなど何かしらのマイナスポイントがある可能性が高いです。なぜ空室期間が長かったのか、不動産会社に理由を聞きましょう。
仲介手数料が安いor無料の物件にはデメリットも!
家賃1ヶ月分相当の仲介手数料が無料もしくは割引になれば、初期費用の負担額が減り資金面でも大きなメリットがあります。引越し代や家具家電の足しにもなるでしょう。
一方で、仲介手数料が安いor無料になる裏には隠されたデメリットも存在します。場合によってトータル面で損することもあるため、よく考えた上で契約を検討しましょう。では、仲介手数料が安いor無料のデメリットについて解説します。
家賃が高く設定されている可能性
仲介手数料が安い物件は、家賃が高く設定されていることも珍しくありません。初期費用が抑えられたとしても、住めば住むほど家賃を多く支払うことになるため、結果的に仲介手数料以上の支出になることもあります。
また家賃だけではなく、敷金や礼金が高く設定されていることもあります。特に、仲介手数料無料の物件を検討する際は共益費や管理費を含めて地域の相場をチェックしましょう。
仲介手数料以外の名目で請求されている可能性
仲介手数料が無料、もしくは安い物件は一見お得に感じられますが、別の名目で料金が請求されることもあります。たとえば、クリーニング代や消毒代、事務手数料、書類作成費用などが挙げられますが、これらが“本当に必要な項目なのか”をきちんと確認することが大切です。
もちろん、大家さんや管理会社の意向で必要な場合もありますが、見えないところで不動産会社の収益が目的になっているケースもあります。
入居までのサポートが不十分になることも
不動産会社によっては、仲介手数料を受け取らない代わりに内見案内をしなかったり、物件探しをしなかったりと一部の業務をカットしていることがあります。というのも、部屋探しから契約までにはさまざまな人件費がかかり、この人件費を仲介手数料という利益で補っている側面があるため、仲介手数料がなければ商売が成り立たないのです。
“いい部屋を探したいなら仲介手数料を支払うべき”というのが、不動産関係者の共通認識でもあります。
仲介手数料を値下げするコツとは
家賃の値下げ交渉は基本的に難しいものですが、仲介手数料に関しては交渉次第で値下げできる可能性もあります。そこで、仲介手数料を値下げするポイントを4つご紹介します。
予算を伝えておく
慣れない駆け引きはせずとも、最初から具体的な予算を伝えることで不動産会社も予算に合わせた物件を提案しやすくなります。また、気に入った物件の初期費用を見積もってもらったあとに「◯◯万円までなら出せますが…」と相談すれば、仲介手数料を調整してもらえる場合もあります。
契約意思が固いことを示す
最初から契約の意思がない人に仲介手数料の値下げを要求されても、不動産会社や大家さんにとっては気分の悪い話です。仲介手数料の値下げ交渉をするなら、入居したい物件に絞って契約意思が固いことをアピールしましょう。もちろん、値下げに応じてくれたにも関わらず入居しないのはNGです。
不動産市場の閑散期を狙う
引っ越しする人が多い時期(2〜3月、9月)は不動産市場も活発に動いているので、不動産会社や大家さんにとっては条件交渉に応じなくても空室を埋めやすくなります。逆に、引っ越しする人が少ない時期に空室状態が続くのは大家さん側も避けたい事情があるため、仲介手数料の値下げ交渉に応じてもらいやすいです。仲介手数料の値下げを狙うなら、閑散期をおすすめします。
横柄な態度を取らない
仲介手数料の値下げ交渉において、横柄で高圧的な態度は絶対取ってはいけません。値下げして当然という態度で交渉に臨まれても、不動産会社や大家さんから見る印象はマイナスでしか無いでしょう。値下げどころから契約自体白紙になる可能性もあります。仲介手数料の値下げ交渉をするなら、お願いベースで丁寧に相談しましょう。
仲介手数料以外で初期費用を抑える方法
仲介手数料を抑えることができれば初期費用もグッと安くなりますが、初期費用には仲介手数料以外にもさまざまな費用がかかります。そこで、仲介手数料を抑える以外に初期費用を抑える方法について2点ご紹介します。
敷金・礼金なしの物件を探す
賃貸契約の際は、敷金や礼金が初期費用に含まれていることが多いです。そして敷金や礼金もまた、仲介手数料と同じように家賃1ヶ月分が相場となっています。家賃が高ければ高いほど敷金や礼金の負担が大きくなるため、はじめから敷金や礼金のかからない物件を探す方法も効率的と言えるでしょう。
ただし、敷金・礼金ゼロの物件には何かしらの理由もつきものです。物件概要や特徴、内見の際にチェックしておきましょう。
フリーレント付きの物件を探す
一定期間家賃が無料になる契約形態をフリーレントと言います。フリーレント物件は数少ないものの、契約時に発生する家賃や前家賃などがなくなるため、初期費用だけでなく当面の生活においても余裕が生まれます。場合によっては、仲介手数料や敷金・礼金を抑えるよりも抑えられる費用は大きいです。
もちろん、フリーレント付きにも何かしらの理由やマイナスポイントがつきものなので、契約前にきちんと確認しておくことをおすすめします。
仲介手数料が安い物件にはからくりも!トータル支出を考えて
結論から言うと、不動産会社も仲介手数料を捨てているわけではなく、大家さんによる負担や他の項目での請求などで仲介手数料分の利益を得ています。入居者にとってメリットに見えるものでも、結果的に支出が多くなるケースもあるため、仲介手数料が安いor無料の物件を検討する際はトータル費用をシミュレーションしましょう。