賃貸更新？それとも引越し？ベストなタイミングと賢い選択術

元・不動産メディア営業／現・不動産系ライター

岸山 海河

賃貸物件にお住まいの皆さん、契約更新の時期が近づくと「更新すべきか、それとも引っ越すべきか」と悩みますよね。更新料や引越し費用、新しい生活への期待と不安……。さまざまな要素が複雑に絡み合い、なかなか答えが出せないという方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、賃貸の更新と引越し、それぞれのメリット・デメリットを徹底比較！ベストな選択をするための情報をお届けします。賢い選択で、これからの住まいをより快適なものにしましょう。

賃貸更新のメリット・デメリット

まずは、賃貸更新のメリットやデメリットについてご紹介しましょう。

賃貸更新のメリット

• 費用を大幅に抑えられる
• 手続きが簡単で時間と手間が節約できる
• 住み慣れた環境を維持できる

まず大きいのは、費用面のメリットです。引越しのような初期費用（敷金・礼金・仲介手数料など）や引越し費用が不要なため、経済的な負担を軽減できます。住み替えに伴う敷金・礼金が不要など、まとまったお金を用意する必要がなく、大きなメリットとなります。

また、引越しに伴う物件探し、契約、荷造り、各種手続きといった煩雑な作業がいりません。更新手続きのみで済むため、忙しい方でも時間と手間をかけずに済みます。

なにより、生活リズムや周辺環境を変える必要がないため、精神的な負担が少なく、安心して生活を続けられます。長く住んでいる場合は、新しい環境に慣れるためのストレスを感じる必要がありません。

これらのメリットを踏まえると、現在の住居に特に不満がなく、費用や手間を抑えたい場合には、賃貸更新は賢い選択と言えるでしょう。

賃貸更新のデメリット

• 更新料の支払い
• 家賃値上げのリスク
• 設備の老朽化

賃貸更新時には、家賃1ヶ月分程度の更新料がかかるのが一般的です。地域や物件によっては、さらに高額になる場合も。引っ越し時の初期費用とまではいかないにしろ、まとまった費用が必要になるでしょう。

また、更新時に家賃が値上げされる可能性があります。特に、周辺の家賃相場が上がっている場合は、値上げされる可能性が高いため、注意が必要です。

そして、長年住んでいると、設備の老朽化が気になることがあります。築年数の古い物件では、修繕が必要になる場合もあり、快適な生活を維持するために、修繕費を負担する必要があるかもしれません。

これらのデメリットを踏まえると、更新時には、更新料や家賃、設備の状況などをしっかりと確認し、総合的に判断することが重要です。

引っ越しのメリット・デメリット

次に、引っ越しのメリットとデメリットについてご紹介します。

引っ越しのメリット

• 新たな環境で新生活が始められる
• より良い条件の物件に住める
• 気分転換やリフレッシュになる

通勤・通学の利便性や周辺環境など、自分の希望に合った住まいを選ぶことができます。引っ越しをすることで、気分を一新し、新しい環境で生活を始められるのもメリットと言えるでしょう。新しい街での生活は、新鮮な発見や出会いをもたらし、生活の質を高めることに繋がります。

また、引っ越しにより、最新の設備が整った物件や、より広い部屋など、理想の住まいを見つけられる可能性があります。家賃や間取り、設備など、自分のライフスタイルに合った物件を選ぶことで、これまで以上に快適に暮らせるでしょう。

なにより、新しい環境での生活は、新しい刺激や発見をもたらし、生活に活気を与えます。

これらのメリットを踏まえると、現在の住まいに不満がある場合や、新しい生活を始めたい場合には、賃貸更新をせずに引っ越しをすることは、魅力的な選択肢と言えるでしょう。

引っ越しのデメリット

• 費用負担が大きい
• 手続きに時間と手間がかかる
• 環境の変化によるストレス

まず、初期費用（敷金・礼金・仲介手数料など）や引越し費用がかかります。また、引越し業者の費用は、距離や荷物量によって大きく変動するため、予想外の出費となる可能性もあるでしょう。

さらに、物件探しから契約、引っ越し、各種手続き（転出届、転入届など）まで、多くの時間と手間がかかります。転出・転入の手続きは、期限内に確実に行う必要があり、忙しい方にとっては大きな負担となります。

そして、住み慣れた環境から離れることで、ストレスを感じる場合もあるでしょう。新しい環境に慣れるまで時間がかかり、精神的な負担が大きくなる可能性があります。

これらのデメリットを踏まえると、引っ越しは、費用や時間、精神的な負担が大きいことを理解した上で、慎重に検討する必要があります。

賃貸更新と引っ越しはどちらがお得？

賃貸の更新と引っ越し、どちらがお得かは、状況によって大きく異なります。ここでは、具体的な金額をシミュレーションし、比較検討してみましょう。

【シミュレーション条件】

• 現在の家賃：8万円
• 更新料：家賃1ヶ月分
• 引っ越し費用：家賃5ヶ月分（敷金2ヶ月・礼金1ヶ月・仲介手数料1ヶ月・前家賃1ヶ月）
• 引っ越し業者費用：5万円

上記のシミュレーションでは、引っ越し費用が更新費用を大幅に上回る結果となりました。とはいえ、これはあくまで一例であり、実際の費用は物件や引越し時期、距離などによって大きく変動します。

費用面だけで比較すれば、引っ越しよりも賃貸更新をするほうが負担が少ないです。ただ、引っ越しには新しい環境での生活や、より良い条件の物件に住めるというメリットがあります。

ご自身の状況や優先順位を考慮し、慎重に検討しましょう。

更新料は減額交渉できる可能性がある

賃貸契約の更新時、火災保険料や保証料は必須項目ですが、更新料や事務手数料は大家さんや不動産会社が独自に設定しているため、減額交渉できる可能性があります。

特に、次のようなケースでは更新料の減額交渉が成功する可能性が高まるでしょう。

• 家賃滞納などのトラブルがない
• 長く住み続けたいという意思を示す
• 周辺の家賃と比較して現在の家賃が割高

交渉のポイントは、なぜ減額してほしいかを明確に示すことです。たとえば周辺の家賃と比較して現在の家賃が割高なら、周辺の家賃相場を提示し「引っ越しも検討している」と伝えることで、減額交渉に応じてもらいやすくなります。「〇〇円程度になれば更新したい」というように、幅を持たせた伝え方が効果的でしょう。

更新料と同時に家賃の減額交渉までできれば、費用的なメリットも十分にあります。

ただし、更新料の減額交渉は、あくまで大家さんの裁量に委ねられています。交渉が必ず成功するとは限らないので注意しましょう。

まとめ

更新を選ぶか、それとも引越しを選ぶかは、どちらが良い悪いという単純な二択ではなく、ご自身のライフスタイル、現在の住環境への満足度、そして将来設計によって大きく左右されるものです。最終的にどちらを選ぶかは、ご自身の価値観と優先順位によって異なります。この記事を参考に、それぞれのメリット・デメリットをしっかりと比較検討し、あなたのライフスタイルと将来設計に最も適した選択を見つけてください。