賃貸物件のコンセントが足りない!居室・キッチンなど部屋別の対応策

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 毎日の暮らしのなかで電化製品を使う場面はたくさんありますが、賃貸物件のなかにはコンセントの数が少ない物件も多く、不便に感じることもあるでしょう。そこで今回は、賃貸物件でコンセントを増設する方法や注意点についてまとめました。

賃貸物件におけるコンセントの種類

 ひとくちにコンセントといっても、形状や電圧にはさまざまな種類があります。賃貸物件を含む、日本の住宅に多く使用されるコンセントの種類について把握しておきましょう。

単相100V

 日本国内でもっともポピュラーなタイプのコンセントで、差込口が2つあるのが特徴です。右の差込口には電圧がかかり、左の差込口は地面に繋がって余分な電気を外に逃がす仕組みになっています。15Aのコンセントは家電量販店や通信サイトで手軽に購入することができます。

単相200V

 エアコンや家庭用電子レンジなど、消費電力の多い家電のために設置されているコンセントです。単相100Vの約2倍の圧があり、水に触れる機会も多いことからアース付きの20Aタイプがよく見られます。

アース付きコンセント

 差込口が3つあるのが特徴のアース付きコンセントは、過剰な電圧を地面へ流すことで漏電や感電、静電気によるリスクを防いでくれるのが特徴です。家電によってはアース付きコンセントの取り付けが定められているもの(洗濯機や食洗機など)もあるため、コンセントを使用する際には正しい手順で取り付けるようにしましょう。

その他の特殊なコンセント

 このほかにも、さまざまな機能を持つコンセントが設置されている場合があります。たとえば、テレビ用やLAN用のコンセントがまとめて設置されているマルチメディアコンセントや、屋外に採用されることの多い防水コンセント、床に埋め込まれている床用コンセントなどが挙げられます。

部屋別!賃貸物件のコンセントを増やす方法

 コンセントの使い方を間違えると火災につながる恐れがあるため、コンセントを増設する際には容量を超えないように各家電の消費電力を把握しておくことが必要です。

 まず、コンセントの容量を算出するために電気の単位を知っておきましょう。単位は、電流の大きさを示す「A(アンペア)」、電圧の大きさを示す「V(ボルト)」、消費される電力の大きさを示す「W(ワット)」の3種類です。

 そしてコンセントの容量は「A×V=W」で計算できます。

 では、居室・キッチン・洗面所(家事室)それぞれの場所でコンセントを増やす方法や各家電の消費電力についてご紹介します。

居室のコンセントを増やす方法

 居室は部屋の広さによって推奨されるコンセント数が異なります。

  • 〜4畳半…100Vのコンセント×2
  • 〜6畳…100Vのコンセント×3+200Vのコンセント×1
  • 〜8畳…100Vのコンセント×4+200Vのコンセント×1
  • 〜10畳…100Vのコンセント×5+200Vのコンセント×1
  • 〜13畳…100Vのコンセント×6+200Vのコンセント×1

 そして、居室で使用する生活家電の消費電力は以下が目安になります。

  • エアコン(10帖用)…冷房は580W、暖房は660W
  • ファンヒーター…300〜1300W
  • 電気カーペット(3帖用)…全面8Aタイプで400〜800W
  • テレビ(42型)…液晶で210W、プラズマで490W
  • 加湿器…タンク容量4Lの加熱式加湿器で300〜500W、気化式で2〜10W

 生活家電を多く使用する居室の場合、コンセントの差込口を増やすためには電源タップの利用が便利です。電源タップには、直接コンセントに差し込むタイプや延長コード付きのタイプがあります。必要に応じて差込口数やコードの長さで選びましょう。

 個別に電源がオン・オフできるタイプであれば待機電力が節約できるのでおすすめです。

 電源タップを使用するうえで気をつけたいのは、接続する部屋のコンセントの電気使用に上限が決まっている点です。賃貸物件の場合、コンセント1ヶ所で15A、1500Wまで使えることが多いですが、製品の容量やワット数を確認して接続するようにしましょう。

キッチンのコンセントを増やす方法

  • 冷蔵庫(450L)…250W※容量によって消費電力に差あり
  • IHジャー炊飯器…炊飯時1300W※保温時の消費電力は別

 水回りなどの感電が起きやすい場所で使用する家電(家庭用電子レンジや冷蔵庫)には「プラグ+アース線」か「3Pプラグ」がついていることが多いですが、賃貸物件によってはアース線を付ける場所がないこともあります。

 もしもアース付きコンセントを増やすなら、アース付きの電源タップや延長コードを接続しましょう。アース付きコンセントはあるものの家電のアース線が短くて届かない、という場合は長いアース線に取り替えることで解決できます。

 アース付きコンセントがどこにもない場合は、賃貸管理会社に相談することでアース設置工事をしてもらえる可能性もあります。アース設置工事が難しい場合は、漏電遮断器を取り付けることで感電のリスクを抑えることが可能です。

★アース線も漏電遮断器も「感電リスクを抑える」という目的は共通していますが、仕組みはまったく異なります。漏電遮断器は過電流保護機能がついていないため、電子レンジの不具合や破壊を完全に防ぐことができないので注意しましょう。

★アース付きコンセントは、1つの端子に複数のアース線を付けても問題ありません。ただし、ガス管・水道管・電話・避雷針に接続することは大変危険であり、法律で禁止されています。

洗面所・家事室のコンセントを増やす方法

  • 洗濯機…500〜900W
  • アイロン…600〜1500W
  • ヒーター…500〜1500W
  • ドライヤー…600〜1200W
  • ヘアアイロン…20〜700W

 洗面所と家事室が同じ場所にある場合、一つのコンセントでアイロンとドライヤーを同時に使用すると消費電力が最大2700Wにもなり、一般的なコンセントの容量を大きく超えることがあります。電源タップを取り付けてコンセントの差込口を増やすことはできますが、使用できる電気の量は増設前と変わらないので注意しましょう。

 また、水と電気を同時に使用する洗面所は漏電リスクも心配なので、アース付きコンセントがあると安心です。

賃貸物件のコンセント増設工事には許可や専門資格が必要

 賃貸物件である以上、コンセントを増設するには大家さんや管理会社の許可が必要です。仮に許可が下りたとしても、コンセントを増設するには専門的な知識が必要であり、電気工事士の資格がなければDIYによる増設工事はできません。

 コンセント増設の許可が下りて電気工事士の資格を持つ業者に増設をしてもらえたとしても、退去時には原状回復する必要があります。ただし、交渉次第で増設したコンセントをそのままにして良い場合もあるので、原状回復の有無については事前に書面で残しておくと良いでしょう。もちろん、増設にかかる費用は借主負担となります。

まとめ

 コンセントの増設工事には専門の資格が必要なうえ、大家さんや管理会社の許可が必要になります。電源タップや延長コードを使用すれば電気工事をせずにコンセントの差込口を増やすことができるので、必要に応じて設置しましょう。ただし、電気火災のリスクを防ぐために適切な方法で使用しなくてはなりません。自身の使用状況に応じて、適切な方法を選びましょう。

元・不動産メディア営業/現・不動産系ライター
岸山 海河 10本
有名不動産メディアSの創刊に関わり、地元〜大手不動産会社の物件広告を担当。2014年より不動産系ライターとして活動しています。引っ越し経験も多く、現在は片田舎に建てたマイホームに在住。部屋探しのワクワク感は今でも大好き!これまでの経験を生かしながら、沢山の人の「暮らし」に寄り添う記事を提供します。 資格:普通自動車、日本化粧品検定1級
元・不動産メディア営業/現・不動産系ライター
岸山 海河 10本
有名不動産メディアSの創刊に関わり、地元〜大手不動産会社の物件広告を担当。2014年より不動産系ライターとして活動しています。引っ越し経験も多く、現在は片田舎に建てたマイホームに在住。部屋探しのワクワク感は今でも大好き!これまでの経験を生かしながら、沢山の人の「暮らし」に寄り添う記事を提供します。 資格:普通自動車、日本化粧品検定1級

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