日割り家賃とは?前家賃との違いや日割り家賃を節約する方法
賃貸物件を契約する上で発生する初期費用。礼金や敷金、仲介手数料等のさまざまな項目が含まれるなか、日割り家賃とは何のこと?と疑問をいだいた人もいることでしょう。日割り家賃は入居日によって費用が変わるので、方法によって初期費用を節約することも可能です。今回は、日割り家賃の概要や計算方法、節約する方法についてご紹介します。
日割り家賃とは
日割り家賃とは、その名の通り1ヶ月分の家賃をもとに日割りで算出される家賃を指します。たとえば新居に入居するのが月初(1日)ではなく月の半ばになる場合、月末までの日数分の家賃を支払わなくてはなりません。日割りと言っても、支払い時はほかの初期費用と同じように一括で支払うのが基本です。
★日割り家賃は入居時だけではなく退去時にも発生します。
日割り家賃と前家賃の違い
日割り家賃は前家賃と混合されがちですが、それぞれ性質が異なります。まず、前家賃は入居する月の翌月分の家賃を指します。翌月分の家賃を支払うことで、貸主(大家さん)も滞納リスクなく部屋を貸し出すことができるのです。
一方、日割り家賃は入居する月(当月分)の家賃になります。日割り家賃と前家賃の起算日は賃貸借契約時で決められるため、仮に4月15日に入居する場合は「日割り家賃(残15日分)+ 5月分の前家賃」を支払うことになります。月初に入居するか、半ばで入居するか、また月末に入居するかで金額も変動するため、前家賃の有無や支払いのタイミングを確認しておくと安心です。
日割り家賃と月割家賃の違い
まれに、日割り家賃ではなく月割家賃の支払いを求められることがあります。1ヶ月分の家賃を元に居住日数から日割り計算するのが日割り家賃ですが、月割家賃は居住日数に関わらず1ヶ月分の家賃をきっちり支払わなくてはなりません。仮に4月30日に入居した場合、4月の残り日数は1日しかありませんが、それでも1ヶ月分の家賃が発生します。
★家賃の算出方法や規定は法律で定められているものではありません。トラブルを防ぐためにも、賃貸借契約書にきちんと目を通しましょう。
日割り家賃の計算方法・3パターン
日割り家賃は、基本的に「家賃÷月の日数×入居日数」で算出されます。入居日数は「月の日数−入居した日+1」となるため、仮に4月10日に入居した場合には21日分(30-10+1)となります。
ですが、月の日数については算出方法が3パターンにわかれており、物件によって異なるのがポイントです。ここで、日割り家賃の3つの計算方法をご紹介します。
実日数割
実日数とは、暮らし始めた月の日数を指します。たとえば4月なら30日、5月なら31日が基準となるため、実日数が少ない月に入居すると賃料を安く抑えることができます。
たとえば家賃5万円の物件に入居するのが4月10日の場合「5万円(家賃)÷30(月の日数)×21日(入居日数)」となるため、日割り家賃は35,000円になります。一方、月の日数が少ない2月10日(閏年ではない年)に入居する場合は「5万円÷28日×19日」で33,928円(小数点切り捨て)となり、わずかではありますが賃料を抑えることが可能です。
30日割
30日割は、どの月でも関係なく1ヶ月の日数を30日として計算する方法です。月の日数が31日ある1月や3月、5月などに住み始めても、月の日数は30日としてカウントされます。
31日割
31日割は、どの月でも関係なく1ヶ月の日数を31日として計算する方法です。月の日数が30日である4月、6月、9月などに住み始めても、月の日数は31日としてカウントされます。
日割り家賃を抑えて節約する方法
合算して家賃数ヶ月分を必要とする仲介手数料や敷金、礼金が含まれる初期費用は、決して安いものではありません。引越し前の物件と二重で家賃が発生することも珍しくないでしょう。しかし、日割り家賃は工夫次第で節約することが可能です。そこで、日割り家賃を節約する3つの方法をご紹介します。
入居日を相談する
日割り家賃は月末までの残日数で決まるため、日数が少ないほど日割り家賃も安くなります。この仕組みを利用して、入居日を月末にすれば日割り家賃自体を安く抑えることができます。ただし、月末は引越し業者の費用が高くなりがちなので注意が必要です。初期費用はもちろん、引越し作業にかかる費用のバランスも考慮しましょう。
フリーレント物件を選ぶ
フリーレントとは、一定期間の家賃が無料になるシステムのことです。一般的には1〜3ヶ月分の家賃が無料になり、日割り家賃も発生しません。仮にフリーレントが2ヶ月ついている物件なら、日割り家賃どころか前家賃もかからないためお得です。フリーレント物件は数が少ない上に、契約満了前に解約すると違約金が発生する可能性も高いので、転勤の可能性がある人は慎重に検討しましょう。
大家さんに相談する
大家さんや管理会社に、入居日を交渉する方法もあります。二重家賃の発生が心配な人は、事情を話して入居日を交渉しても良いでしょう。ただし、入居者が見つかりやすい繁忙期(1〜3月)は入居日のコントロールが難しく交渉が難しいです。入居希望者の少ない閑散期を狙いましょう。
過剰分の家賃は返金してもらえる?
基本的に、賃貸物件の家賃は前月に支払うのが基本です。もしも月の途中に退去する場合、過剰に支払った家賃は返金されるのでしょうか。
これは賃貸借契約書に返金の有無が記載されているため、もしも「退去時に家賃を日割り計算して返金する」と記載があれば過剰分の家賃を返金してもらうことができるでしょう。
一方で、月の途中で退去しても日割り家賃として返金せず、原状回復費用やクリーニング代に充てられるケースがあります。もしもその旨が賃貸借契約書に記載されていなければ、返金を求めることができます。仮に原状回復費用やクリーニング代に充てられたとしても、敷金と合わせて精算がおこなわれれば、差し引かれた金額が返金される可能性があります。
退去時の原状回復費用については国交省が定めたガイドラインに基づいて算出されるほか、入居者(借主)はその内訳(精算書)の根拠を貸主に尋ねる権利があります。もしも返金額に納得できなければ、大家さんや管理会社へ確認しましょう。
退去時の日割り家賃は抑えられる?
もしも退去時の日割り家賃を抑えたいなら、できる限り月末に近い日に退去することをおすすめします。仮に月末ぴったり(4月なら30日)に退去することができれば、すでに家賃を支払っているので日割り家賃が発生することはありません。
ここで気をつけたいのが、退去連絡(解約予告)のタイミングを間違えないことです。賃貸借契約書に記載されている期日までに退去連絡をしなければ、希望の退去日がずれて日割り家賃が発生する可能性があります。退去の予定がある時点で契約書の期日を必ず確認しましょう。
日割り家賃を抑えて節約しよう
日割り家賃は計算方法や残日数によって変動するため、入居日や退去日を調整することで節約することが可能です。ゼロゼロ物件(敷金・礼金ゼロ)を選んでも初期費用を抑えることはできますが、退去費用がかさむなどのデメリットもあります。日割り家賃を抑えることは、入退去自体に費用面で損することがありません。少しでも初期費用を抑えたい場合は、日割り家賃を節約する線で対策してみてはいかがでしょうか。