賃貸の更新と引越しはどちらがお得?費用シミュレーションと減額交渉

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 賃貸物件に住み続ける以上、必ず直面するのが賃貸契約の更新です。この更新時期を機に「もっといい物件に住みたい」「もう少し家賃の安い物件に住みたい」など引っ越しを検討する人も多いでしょう。更新費用も引っ越し費用も、決して安いものではありません。そこで今回は、賃貸の更新と引っ越しのどちらが安く、お得になるのかをシミュレーションしましょう。

更新費用と引越し費用を試算して比較する

 賃貸物件の更新と引っ越しのどちらが安いのか?それを調べるには、それぞれに必要な費用を試算して比較すると簡単です。といっても、更新時に必要な更新費用は地域によって請求されないケースや、金額の設定が低く設定されていることもあるため、更新費用の有無や金額を知るためにも賃貸借契約書を確認しましょう。

 シミュレーションの前に、まずは更新と引っ越しそれぞれにかかる費用の内訳についてご紹介します。

更新費用の内訳

 一般的な更新費用の内訳は下記のとおりです。

  • 更新料:家賃1ヶ月分
  • 更新事務手数料:家賃0.5ヶ月分
  • 火災保険料:1〜2万円※
  • 保証料:1万〜家賃の3割程度

※2年分、単身の場合

 加えて、更新月は通常通り家賃も発生します。また、先述の通り契約内容によっては保険料と保証料のみの場合もあります。更新は更新月の2〜3ヶ月前に通知されることが多いため、あらかじめ更新にかかる費用を確保しておくことが大切です。

引越し費用の内訳

 ここで示す引越し費用は、引越し作業にかかる費用ではなく引っ越しに伴うあらたな賃貸契約にかかる費用です。

  • 前家賃:家賃1ヶ月分
  • 敷金:家賃1ヶ月分
  • 礼金:家賃1ヶ月分
  • 仲介手数料:家賃1ヶ月分
  • 火災保険料:1〜2万円
  • 保証料:1万円〜家賃の3割程度

 加えて、引越し作業にかかる費用も発生するほか、退去前の部屋の修繕にかかる費用が追加請求される、もしくは敷金が全額返金されるケースもあります。フリーレント付きなら前家賃や数カ月先の家賃が免除されるほか、仲介手数料や敷金・礼金のかからない物件もあるため、希望物件の初期費用についてあらかじめ把握しておくと良いでしょう。

かかる費用総額から比較・シミュレーションする

 上記で紹介した更新費用・引越し費用の内訳をもとに、それぞれの費用について比較・シミュレーションしてみましょう。

【家賃8万円の物件の場合】更新費用引っ越し費用
費用の内訳・金額家賃:8万円/更新料:8万円/更新事務手数料:4万円/火災保険料:2万円/保証料:2.4万円※家賃3割で計算前家賃:8万円/敷金:8万円/礼金:8万円/仲介手数料:8万円/火災保険料:2万円/保証料:2.4万円+α(引越し代ほか)
合計24.4万円36.4万円+α

 以上でわかるように、更新にも引っ越しにもそれなりに費用がかかります。ただ、今の部屋よりも家賃の安い物件に住む場合は引越し費用がさらに抑えられるほか、退去にともない預けていた敷金が全額返金される可能性もあるため、一概に更新が安い・引っ越しが高いとも言い切ることができません。

 実際の初期費用や家賃、更新頻度は物件ごとに異なるため、もしも引っ越したい物件が見つかった際には実際にかかる費用で具体的にシミュレーションするとよいでしょう。

安い賃貸物件に引っ越す際のシミュレーション

 単純計算すれば引っ越しをするよりも今の物件を更新したほうが費用を抑えることができます。しかし、今の物件よりも安い物件に引っ越せば将来的なトータル費用も安く、お得になる場合があります。ここで、具体的にどれくらい家賃が安い物件に引っ越せば更新時より安くなるのか試算してみましょう。

 ここでシミュレーションするのは、上記でシミュレーションした8万円の物件に更新する費用と、家賃を1万円下げた7万円の物件に引っ越す費用の比較です。

家賃8万円の物件に住み続ける更新費用家賃7万円の物件に住み替える引っ越し費用
費用の内訳・金額家賃:8万円/更新料:8万円/更新事務手数料:4万円/火災保険料:2万円/保証料:2.4万円※家賃3割で計算前家賃:7万円/敷金:7万円/礼金:7万円/仲介手数料:7万円/火災保険料:2万円/保証料:2.1万円+α(引越し代ほか)
合計24.4万円32.1万円+α

 以上の通り、家賃を1万円下げた物件に住み替えるだけでは、一見して更新したほうがお得に感じます。しかし、毎月かかる家賃を試算した場合の話は別です。また、フリーレント付きの物件に引っ越す、また敷金・礼金ゼロの物件に引っ越せば、短期間で引越し費用をカバーでき、更新時よりもお得になるケースもあります。費用を抑えるために更新ではなく住み替えを検討しているなら、現状の物件よりも家賃が安く、初期費用が抑えられる物件を選ぶと良いでしょう。

更新のメリットとは?更新費用を減額する方法

 ここまでは更新と引っ越しのどちらが費用面で得か?という点についてシミュレーションしましたが、更新・引っ越しそれぞれにシミュレーションでは表せないメリットも存在します。そして、このメリットが更新費用や引越し費用を抑えることにもつながります。

 まずは更新のメリットについてご紹介しましょう。

  • 家賃交渉のチャンスでもある
  • 引っ越しの手間や時間がかからない
  • 住み慣れた部屋で暮らせる安心感がある

 引っ越しは多額の費用がかかるほか、手間も時間も労力もかかります。なにより、住み慣れた家に住み続けることの安心感は大きなメリットと言えるでしょう。

 加えて、更新時は家賃交渉のチャンスでもあります。毎月同額の家賃を支払い続けていると気づきにくいものですが、同じ物件でも空室期間が長い部屋があれば家賃を引き下げて募集しているケースもありますし、経年により同条件の家賃相場が引き下がっているケースもあります。もしも相場より高い家賃を払っているなら、更新のタイミングで家賃交渉をしましょう。家賃交渉に成功すれば、更新費用を抑えるよりもお得になる場合もあります。

 また、入居中にトラブルがなければ更新費用の交渉に応じてもらえる可能性があります。大家さんにとっては、空室によるリスクは大きいものです。できるだけ長く住み続けてほしい、というのが大家さんの思いなので、相談次第で更新費用を免除してもらえる可能性もあります。すべての物件に当てはまるわけではありませんが、相談・交渉して損することはないでしょう。

引っ越しのメリットとは?引っ越し費用を減額する方法

 続いて引っ越す場合のメリットについてご紹介します。

  • 新しい環境で心機一転できる
  • 清潔で整った環境で生活できる
  • 利便性が良くなる

 もしも今の物件や住環境に不満がある場合は、引っ越すことで手軽に環境を変えることができます。新しい環境、新しい家に引っ越すことで気分もリフレッシュできるでしょう。また、引越しにともない断捨離すれば、家の中も整理整頓ができてごちゃごちゃすることもなくなります。なにより、入居前よりも利便性の良い場所に引っ越せば、通学や通勤、買い物も楽になるでしょう。

 引越し費用を抑えるには、初期費用や家賃の安い物件に引っ越すこと以外にも、不要なものを捨てて荷物を減らしたり、引越し業者に相見積もりをしたり、料金の安い日時を狙って引越しをしたりとさまざまな方法があります。荷物が少なく短距離の引っ越しであれば、自分で荷物を運んだり、宅急便や宅配便で荷物を送ったりしても良いでしょう。

更新と引越しで迷ったら料金をシミュレーションしてみて

 今回は一例として更新と引越しにかかる費用をシミュレーションしましたが、引越し先の初期費用が抑えられたり、敷金が戻ったりすれば引越しのほうが得になる場合もあります。一方で、更新のタイミングで家賃交渉をしたり更新費用の減額交渉ができる場合もあるため、相談して損することはありません。まずは実際の金額でシミュレーションし、比較してみましょう。更新や引越しにかかる費用も重要ですが、更新のタイミングに自分に合った暮らしが送れる環境かどうか見つめ直してみてください。

元・不動産メディア営業/現・不動産系ライター
岸山 海河 10本
有名不動産メディアSの創刊に関わり、地元〜大手不動産会社の物件広告を担当。2014年より不動産系ライターとして活動しています。引っ越し経験も多く、現在は片田舎に建てたマイホームに在住。部屋探しのワクワク感は今でも大好き!これまでの経験を生かしながら、沢山の人の「暮らし」に寄り添う記事を提供します。 資格:普通自動車、日本化粧品検定1級
元・不動産メディア営業/現・不動産系ライター
岸山 海河 10本
有名不動産メディアSの創刊に関わり、地元〜大手不動産会社の物件広告を担当。2014年より不動産系ライターとして活動しています。引っ越し経験も多く、現在は片田舎に建てたマイホームに在住。部屋探しのワクワク感は今でも大好き!これまでの経験を生かしながら、沢山の人の「暮らし」に寄り添う記事を提供します。 資格:普通自動車、日本化粧品検定1級

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