賃貸の名義変更とは?手続きが必要なケースと流れ・費用・期間

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 結婚や離別、家族間の入れ替わりなど、ライフステージの変化などで賃貸物件の名義変更が必要な場面があります。この名義変更を怠ると、どんなリスクがあるのでしょうか。今回は、賃貸の名義変更に必要なケースをはじめ、名義変更をしない場合のリスクや手続きの流れ、費用についてご紹介します。

賃貸の名義変更とは?名義変更が必要な7つのケース

 賃貸の名義変更は、賃貸借契約書に記載されている契約者の名前を変更することです。

 貸主と借主の間で取り交わす賃貸借契約には、貸主・借主の名義はもちろん、それぞれの権利義務について取り決めが記載されているため、契約者(入居者)以外の人が居住するのは契約違反に当たります。原則として、契約者が本人名義で解約まで居住し続けなくてはなりません。

 ただし、一部理由によっては契約を続けたまま名義変更することも可能です。賃貸契約をしている人なら、ライフステージの変化で誰にでも名義変更が必要になる可能性があります。将来的なトラブルを避けるためにも、名義変更が可能になるケース・できないケースについて理解しておきましょう。

賃貸契約の名義変更が必要なケース6つ

 まずは、賃貸契約の名義変更が求められる6つのケースについて紹介します。なかには名義変更ではなく新規契約や再契約を結ぶ可能性もあるので留意しましょう。

①氏名や会社名が変わった

 結婚などを理由に名字が変わる、また法人の場合社名のみが変わった場合は名義変更が必要です。ポイントは、改名しても契約者本人であるという事実が変わらないこと。法人の場合、名前だけでなく会社そのものが変わる際は再契約が必要です。

②名義人と死別または離別した

 一緒に住んでいた配偶者(名義人)と死別、また離別で名義人が変わる場合も変更手続きが必要です。たとえば、夫との死別や離婚で入居し続けられず、妻が引き続き入居する場合に名義を変更しなくてはなりません。

 ただし、一般的に入居審査をしているのは夫側であるため、妻に名義変更する際は再度審査をし直す場合もあります。これは名義変更ではなく、新規契約や再契約の形となるため留意しておきましょう。

★名義変更のみで済むか、契約し直す必要があるかは大家さんや管理会社の裁量によるため、手続き方法はケースバイケースと言えます。

③法人契約から個人契約に切り替える

 法人契約を結んでいた物件に退職後も住み続ける際は、会社名義から個人名義に変更する必要があります。ただし、この場合は契約者の変更となるため、名義変更ではなく新規契約や再契約の形になるでしょう。敷金は会社側に返金されるため、入居者自身が新たに敷金を支払わなくてはなりません。

④同居する

 結婚や同居により、名義人が住んでいる物件に新たな入居者が増えることもあります。この場合、賃貸借契約の名義人を変更する必要はありませんが、新しい入居者の氏名や情報を大家さんや管理会社に伝えなくてはなりません。

 また、妻が名義人だった物件に住んでいたものの、家賃補助などの関係で夫に名義変更したい場合は、契約者そのものが変更になるため夫が入居審査を受け、新規契約や再契約を結ぶ必要があります。

⑤家族間の入れ替わりで入居する

 同じ物件に兄弟が入れ替わりで入居する、というケースもあるでしょう。この場合、親が連帯保証人になっていると契約変更や審査の手間も軽減されます。

 ただ、兄弟どちらも社会人で安定した収入がある場合や、親名義から子ども名義に変更する場合は家賃の支払い能力を把握するために審査をしなくてはなりません。仮に名義変更ではなく新規契約や再契約となれば、すでに支払った敷金は前の入居者に戻ります。しかし、家族間であればそのままスライドできる可能性もあるため、大家さんや管理会社に相談しましょう。

⑥ルームシェアで名義人が引っ越す

 複数人で入居しており、名義人である同居者が引っ越す際は契約人の変更手続きが必要です。この場合も、契約者そのものが変更になるため新たな名義人が審査を受け、新規契約や再契約を結ぶ流れになります。

単身の個人契約では賃貸契約の名義変更ができない

 変更の理由や契約内容によっては、名義変更できないことがあります。たとえば、単身用物件は賃貸借契約の名義人=入居者であり、名義を誰かに変更するという概念がありません。名義変更できない場合は、新しい居住者が賃貸借契約をし直す再契約が必要です。また再契約の際は、賃貸契約時に必要な敷金や礼金、火災保険料も改めて用意しなくてはなりません。

賃貸契約の名義変更をしないことによるリスク

 賃貸契約の名義変更が必要であるにも関わらず、その手続きを怠ると最悪の場合強制退去になるなどのトラブルに発展する可能性があります。もっとも、名義変更できないという理由で大家さんに申告せず、契約者以外の人が住み続けてしまうのは「無断転貸借」という大きな問題になるので辞めましょう。

 また 、家族間や友人同士で契約名義人を変えずに入居者を入れ替える、という気軽な気持ちで申告しない「又貸し(転貸)」も重大な契約違反です。安易な気持ちで名義人以外の人を入居させても、その入居者が家賃を滞納すれば名義人に請求が来ますし、水漏れや火災のトラブルを起こした場合も名義人が補償しなくてはなりません。重大なトラブルを防ぐためにも、手続きが必要な場面になったらすみやかに名義変更を申し出ましょう。

賃貸の名義変更に関する流れ・費用・期間

 賃貸の名義変更を行う際は、物件の管理会社で行うのが一般的です。必ずしも仲介してくれた不動産会社ではない、ということを知っておきましょう。管理会社によっては郵送の手続きだけで完了する方法や、必要書類を会社に持参して手続きを取る方法などがありますが、手続きに関する詳細は管理会社に問い合わせましょう。

名義変更に必要な書類

 名義変更の際に必要な書類も管理会社によって異なります。一般的には下記の書類の提出が求められるので、あらかじめ準備しておくと手続き上スムーズです。

  • 新しい名義人の身分証明書(運転免許書など)
  • 収入証明書(給与明細書、源泉徴収票、確定申告書など)
  • 在籍証明書 ほか

 そして、名義変更ではなく新規契約や再契約が必要になった場合には審査のための追加書類が求められることもあります。事前に管理会社へ確認しましょう。

名義変更に必要な費用

 賃貸契約の名義変更には手数料が発生します。相場は物件や管理会社によって異なりますが、1万円前後の場合もあれば家賃1ヶ月相当の場合もあるため、管理会社に確認しましょう。

 名義変更だけで手数料がかかるのには、きちんとした理由があります。賃貸契約の際は、賃貸借契約書だけでなく保険会社の保険契約書や火災保険の書類など、契約者名義の書類がいくつも発行されます。名義変更となれば、管理会社も関連書類すべての書き換えや登録変更をしなくてはなりません。契約者が想像する以上に手間や労力のかかる作業となるため、名義変更には手数料が発生します。

名義変更にかかる期間

 賃貸契約の名義変更は、手間はもちろん時間もかかります。名義変更の期間は1〜2ヶ月程度です。就職や転職、離婚、同居など新しい生活を始める際はなにかと慌ただしくなりますが、入居している間にできる手続きは段取り良く行いましょう。

賃貸の名義変更と一緒に火災保険の変更もお忘れなく

 賃貸契約の名義変更の場合は、火災保険の変更手続きも忘れないように行いましょう。賃貸契約の際は火災保険に加入することが義務付けられていますが、火災保険の加入時は契約者の名義だけでなく、何人で住んでいるかを登録しなくてはなりません。

 もしも契約者が変わり、人数が変わっているのにもかかわらず名義変更をせず、火災が発生した場合は保険金申請の審査に影響する可能性もあります。大家さんや管理会社だけでなく、保険会社との間にもトラブルが生まれるため、名義変更が必要になった段階で管理会社に必ず確認しましょう。

賃貸の名義変更が必要になればすみやかに申請を

 賃貸物件において名義変更をするケースはさまざまです。たとえ名字だけの変更だとしても、名義変更の手続きが必要になります。手続きを怠って強制退去などのトラブルにならないためにも、名義変更が必要になればすみやかに管理会社へ申請しましょう。

元・不動産メディア営業/現・不動産系ライター
岸山 海河 10本
有名不動産メディアSの創刊に関わり、地元〜大手不動産会社の物件広告を担当。2014年より不動産系ライターとして活動しています。引っ越し経験も多く、現在は片田舎に建てたマイホームに在住。部屋探しのワクワク感は今でも大好き!これまでの経験を生かしながら、沢山の人の「暮らし」に寄り添う記事を提供します。 資格:普通自動車、日本化粧品検定1級
元・不動産メディア営業/現・不動産系ライター
岸山 海河 10本
有名不動産メディアSの創刊に関わり、地元〜大手不動産会社の物件広告を担当。2014年より不動産系ライターとして活動しています。引っ越し経験も多く、現在は片田舎に建てたマイホームに在住。部屋探しのワクワク感は今でも大好き!これまでの経験を生かしながら、沢山の人の「暮らし」に寄り添う記事を提供します。 資格:普通自動車、日本化粧品検定1級

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