賃貸物件に必要な保険の種類とは?損害保険の役割について

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 賃貸マンションやアパートを契約する際に加入しなければならない保険にはいくつか種類があります。実は、保険の中には必ず加入しなければならないものと、必ずしも加入する必要がないものがあります。管理会社や大家さんがおすすめする火災保険でなくても良い場合もあります。補償内容が同じで、より保険料が安いものを使えた場合、初期費用の節約にもなります。そこで今回は、賃貸物件に必要な保険の種類やその役割、保険の選び方などについて解説します。

賃貸物件に必要な保険の種類とその役割

 賃貸物件を契約する際、ほとんどのケースで保険へ加入する流れになります。しかし、大家さんのように物件を所有しているわけではないため、高額な保険料を支払う必要はありません。

 賃貸物件の保険には、自分の家財を守るための保険、そして原状回復の義務を果たすための保険に分けられます。ここで、賃貸物件に居住する際の保険の種類について詳しく解説しましょう。

借家人賠償責任保険

 借家人賠償責任保険とは、借主が貸主に対して原状回復義務を負うために必要な保険です。たとえば自身の過失で火事になった場合、借主は貸主に損害賠償責任を負うことになります。部屋が損壊すれば入居者の負担で原状回復しなければならず、その費用は計り知れないものです。借家人賠償責任保険は、自身の過失で起きた損害を補償する特約になります。

失火見舞費用特約・類焼損害補償特約

 日本には失火責任法と呼ばれる法律があり、自身の過失で火災が発生した場合に近隣住宅へ被害を与えたとしても、重大な過失でない限りは他の人へ賠償責任を負わなくて良いという法律があります。しかし、被害の弁済や見舞金を用意しないのは道徳的に良くない、と考える人が多いでしょう。

 失火見舞費用特約や類焼損害補償特約は、自身の過失で損害を与えた相手に対して弁償金や見舞金をカバーしてくれる特約です。加入必須なものではありませんが、加入しておくことで、いざという時の備えになります。

個人賠償責任保険

 家にいるときだけではなく、さまざまな場面で他人に怪我をさせてしまった場合の治療費や、他人の所有物を壊したときに賠償費用を補填してくれる特約が個人賠償責任保険です。わかりやすく言えば、日常生活で発生するリスクに備えた保険ということになります。

 個人賠償責任保険の保険料は非常に安く、保険会社によっては月200円以下でつけることも可能です。

火災保険(家財保険)

 火災保険(家財保険)は、自分自身の家財に対して補償してくれる保険です。たとえば隣に住んでいる人の過失で火災が発生し、自分の家財がすべて焼失されたとしても、重大な過失ではない限り隣人に損害賠償を請求することはできません(失火責任法)。もしも家財に保険をかけていなければ、自分自身が大きな損害を被ることになりえます。

 また、火災保険は住宅保険におけるベースの役割があります。これまでに紹介した借家人賠償責任保険や個人賠償責任保険はあくまで特約なので、火災保険に加入しなければ付けることができません。基本的に、賃貸物件を借りる際に加入が義務付けられています。

地震保険

 火災保険へ加入しているから、なにがあっても安心!ということではありません。というのは、地震や津波を原因とする損害まで補償されていません。同じ火災だとしても、地震で発生した火災で家財を消失した場合には補償の適用外になります。地震保険は、このような災害によるリスクをカバーする保険です。

 また、地震保険は火災保険に付帯して初めて契約することができます。必要に応じて地震保険に入るかどうかを検討しましょう。

知っておきたい!賃貸の保険の選び方

 賃貸で加入できる保険にはさまざまな種類がありますが、自分の財産状況に合わせた保険を選べば保険料の節約にもなります。ここで、賃貸物件における保険の選び方をご紹介しましょう。

個人賠償責任保険への加入は任意

 個人賠償責任保険は入居にかかわる保険ではないため、加入は任意ということになります。ただ、他人に損害を与えた際のリスクを思えば加入しておくと安心と言えるでしょう。

 また、人によってはクレジットカードを作る際すでに個人賠償責任保険へ加入しているケースもあります。この場合、賃貸契約において個人賠償責任保険へ加入する必要はありません。

 もしもクレジットカードで個人賠償責任保険へ加入済みの場合は、いくらか上乗せすることで補償額が高くなることもあります。この機会に、クレジットカードに付帯している個人賠償責任保険を見直してみるのも良いでしょう。

火災保険は家財の価値に合わせて選ぶ

 火災保険(家財保険)は、自身の家財の価値に合わせて補償内容を選ぶことができます。たとえば、高級ブランド品や貴金属などをたくさん所有している人は、高額の補償に入っておくと安心です。また、大家さんや不動産会社が勧めてくる保険は、人によって補償金額が足りないこともあります。この場合、自分の家財に見合った補償が受けられる保険を自分自身で探さなくてはなりません。

 反面、高価な家財を所有していない人は大家さんや不動産会社が勧めてくる保険よりも、より少ない補償金額の保険を選択することで保険料を節約することができます。家財の価値に合わせて選びましょう。

必要のないオプション補償は外しても良い

 大家さんや不動産会社が勧めてくる保険には、必ずしも付ける必要がないオプション補償が含まれていることもあります。たとえば水害関連のオプション補償が含まれている場合、水害が少ないエリアで暮らす人にとって使う可能性が高くありません。

 万が一を思ってオプション補償をつけておくのも大切ですが、本当に必要なオプション補償か見極めてから契約することがポイントとなります。

補償期間を長くする

 保険の補償期間は、長ければ長いほど保険料が安くなります。もしも引っ越し先の賃貸物件で長期的に住む予定があるなら、できるだけ補償期間を長くすると良いでしょう。また、保険料を一括払いすることでさらに保険料が安くなるケースもあります。

 一方、補償期間を長くする際は定期的に補償内容を見直すことも大切です。自分のライフスタイルに変化に合わせて、必要な補償内容を変更しましょう。

水漏れの賠償リスクを視野に入れると安心

 自分の不注意で水漏れが発生した際には、損害賠償責任が発生します。たとえば、蛇口のパッキン交換や床材・クロスの張り替え、さらには家財道具の買い替えや修理が必要になるケースもあるでしょう。被害状況によっては下の階の住人に水漏れ被害が及ぶ可能性もあり、予想外の損失になることもあります。

 水漏れによるトラブルが不安なら、水漏れによる損害をカバーする保険やプランを選んでおくと安心です。

自分で選べる保険や補償内容をしっかり確認しよう

 多くの賃貸物件では火災保険への加入が必須です。管理会社や大家さんが指定する火災保険を使うことが入居への必須条件ということもあれば、補償を満たしていれば違う保険でもOKという場合もあります。保険会社によって火災保険の補償内容が異なることも多いため、まずは賃貸契約上で求められる補償内容をしっかり確認し、その補償を満たす保険を選ぶようにしましょう。内容が分かりづらい場合は、保険会社に相談すると説明してもらうことができます。

元・不動産メディア営業/現・不動産系ライター
岸山 海河 10本
有名不動産メディアSの創刊に関わり、地元〜大手不動産会社の物件広告を担当。2014年より不動産系ライターとして活動しています。引っ越し経験も多く、現在は片田舎に建てたマイホームに在住。部屋探しのワクワク感は今でも大好き!これまでの経験を生かしながら、沢山の人の「暮らし」に寄り添う記事を提供します。 資格:普通自動車、日本化粧品検定1級
元・不動産メディア営業/現・不動産系ライター
岸山 海河 10本
有名不動産メディアSの創刊に関わり、地元〜大手不動産会社の物件広告を担当。2014年より不動産系ライターとして活動しています。引っ越し経験も多く、現在は片田舎に建てたマイホームに在住。部屋探しのワクワク感は今でも大好き!これまでの経験を生かしながら、沢山の人の「暮らし」に寄り添う記事を提供します。 資格:普通自動車、日本化粧品検定1級

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