繁忙期の成約率を上げる空室対策
不動産業界は、繁忙期と閑散期がはっきり分かれている業界でもあります。
不動産投資や、不動産のオーナーになる場合、閑散期の空室対策を行っている方はよく見かけます。もちろん、閑散期の対策も大切ですが、繁忙期にどうやって入居希望者を募るかについて対策することも非常に重要です。
今回は、繁忙期の空室対策の必要性や具体策をご紹介します。空室でお悩みのオーナーは、ぜひ参考にしてください。
不動産業界の繁忙期
冒頭でも述べた通り、不動産業界は繁忙期と閑散期がはっきり分かれた業界です。それぞれで営業方法や接客の手法を変えている会社もあるようです。
一般的には、不動産業界、とくに賃貸仲介業者の繁忙期は1月から3月といわれます。移動や就職、転職、入学、転校、卒業などがあるシーズンでもあり、生活拠点が変更になる方が多い分、賃貸業者は忙しくなる時期です。
推薦合格などで12月に転居が決まった学生や、2月前後に移動の内示が出た会社員などがこの時期に不動産会社を訪れます。1年のうちでもっとも忙しい時期といえるでしょう。
一方、閑散期は4月から12月です。10月に異動する会社員や秋に入学する学生も一定数いるものの、繁忙期のような忙しさはありません。不動産業、とくに賃貸業を行う場合は1~3月の売り上げが大きく影響するといえるでしょう。つまり、繁忙期にどのように入居希望者を獲得するかが大切です。
繁忙期なのに空室対策は必要?
- 「繁忙期ならお客さんはたくさん来るし、とくに対策は必要ないのでは?」
- 「不動産会社に管理は任せてるし、オーナーとしてすることはないのでは?」
などと考えている不動産オーナーもいるかもしれません。ただ、繁忙期とはいっても無条件で入居者が集まるわけではありません。人気のない物件や、魅力を伝えられていない物件には、入居希望者が集まらない傾向にあります。
とくにライバルが多いといわれているのが、築10~20年前後の物件です。これらの物件は、前年の10~12月に退去者が多く発生しているケースが多く、空室物件が多い分、対策を講じなければ他の物件に埋もれてしまうのです。
前述の通り、不動産業界の繁忙期は1~3月の3ヵ月しかありません。そのタイミングを逃してしまうと閑散期に入ってしまい、入居希望者がさらに集まりづらくなってしまいます。家賃の値下げや長期空室などのリスクも負わなければなりません。
そのため、「繁忙期に何とか入居者を集める」ためにも対策を講じる必要があるでしょう。
繁忙期の空室対策
日本の不動産業界は、元来売り手市場であり、賃貸住宅を建てれば建てるほど入居者が集まる傾向にありました。とくに、人口が増加の一途をたどっていた高度経済成長期は、その傾向が強い傾向にあったようです。
ただ、近年は「少子高齢化」が進み、15~64歳の人口の割合が59.7%と過去最低を更新しています。また、全国的に住宅の供給が過剰になった影響もあり、賃貸住宅の空室率が年々上昇しています。
つまり従来通りの不動産運営を行っていては、新しい借り手を獲得できない可能性が高まっています。築年数の古い物件や立地条件の悪い物件でなく、今までは比較的入居者が集まっていた物件であっても、今後は厳しい状況に立たされるかもしれません。
不動産業界が売り手市場から借りて市場へと変化した今、繁忙期であっても入居者が集まるような対策を講じる必要があります。ここでは、繁忙期の空室対策をご紹介します。
入居者の費用負担を減らす
家賃や更新料、敷金、礼金などを値下げ・廃止することで入居者の費用負担を減らすのは有効な手段です。転勤などで急に転居を迫られているケースもあり、なるべく費用負担を抑えたいと考えている入居者も珍しくありません。
ただ、家賃や更新料を値下げすることは収入の低下にもつながるため慎重に行いましょう。大切なのは、周辺の物件と照らし合わせたうえで、適切な家賃や更新料を設定することです。
募集資料を見直す
入居者を獲得するためには、内見数を増やす必要があります。内見に訪れた方が必ず入居するわけではありませんが、物件を決める際にほとんどの方が内見を行っているためです。
インターネットで物件を探す方は増えていますが、内見を行う方は依然として一定数います。
そこで、内見数を増やすために募集資料を見直すことがおすすめです。不動産会社に提供している資料だけでなく、インターネットに掲載している情報を見直すことも大切です。写真も物件の雰囲気がわかりやすいものを採用しましょう。
共用部の清掃を入念に行う
物件そのものに問題がない場合であっても、入居者が集まらないケースも見られます。たとえば、共用部の清掃が行き届いておらず、部屋の中に問題がなくても入居者が敬遠されるケースです。
内見が決まった際は、共用部を丁寧に清掃することで入居率アップにつながる可能性が高まります。
とくに、「エントランス」「ゴミ置き場」「駐車場・駐輪場」をキレイにしておくと、入居希望者の第一印象を良いものへと変えられます。
室内の内見準備を行う
共用部だけでなく、室内の準備も必要不可欠です。室内がキレイであることはもちろん、スリッパやウェルカムボードを設置して歓迎ムードを作っておくなど、気持ち良く内見できるような空間にすることが大切です。
また、内見時から入居後のイメージがつきやすいよう、家具などをあらかじめ設置しておきモデルルーム化するのもおすすめです。分譲マンションではよく行われている手法ですが、賃貸マンションではあまり見られません。
不動産会社とのコミュニケーションを密にとる
ここまでいくつかの空室対策を紹介してきましたが、実際はすべて不動産会社に任せているというオーナーも多いでしょう。
入居希望者の窓口となるのも不動産会社です。そこで、不動産会社と連絡を密に取り合い、常に連携を取ることで空室対策につながります。
設備の見直しやリフォーム、リノベーションなどを行う
入居者が物件に求めるものも年々変化しています。エアコンはもはや必須の設備ですし、無料Wi-Fiや宅配ボックスなどを設置している物件も少なくありません。
インターネットで検索する際は、これらの条件を満たした物件から探すという方も多いでしょう。設備が不足している物件には、新たに人気の設備を設置するのもおすすめです。
また、築古物件や使いにくい間取りなどニーズを満たさない物件は、リフォームやリノベーションによって人気物件へと生まれ変わるケースもあります。ある程度費用がかかる点は注意が必要です。
入居審査を即決する
繁忙期の入居希望者は、多くが早く物件を決めたいと考えています。そこで重要になるのが入居審査です。入居審査に時間のかかる物件は、避けられる傾向にあります。
ただ、オーナーの立場では常に入居審査のために待機しているのも難しいでしょう。そこで、入居審査の裁量を不動産会社に一任するという方法もあります。
閑散期であれば問題ありませんが、繁忙期はとくにスピード感が大切になるためです。不動産会社であっても本人確認や在籍確認は行ってくれるため、担当者が問題なしと判断した方であれば断る必要もないでしょう。
まとめ
不動産業界は、繁忙期と閑散期がはっきりと分かれている業界だからこそ、繁忙期に入居者を取り逃さない工夫が大切です。今回紹介した情報を参考に、ぜひ自分が所有する物件を入居希望者が絶えないものへと生まれ変わらせましょう。
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