住宅ローンと不動産投資どちらを先に行うべきか
現在不動産投資を検討している方にとって、悩みの種となっているのが「住宅ローンと不動産投資どちらを先に行うべきか」という点ではないでしょうか。
具体的には、住宅ローンを組んで先に自宅を購入するべきか、不動産投資ローンを組んで投資用物件を先に購入すべきかという内容です。
今回は、両者の順番についてご紹介します。
住宅ローンと不動産投資ローンの違い
自宅の購入と不動産投資の順番を考える際、住宅ローンと不動産投資ローンの違いについて理解しておく必要があります。
両者の違いは、主に以下の4点です。
- 金利
- 返済原資
- 融資審査の基準
- ローン契約者の年齢制限
金利
住宅ローンは、生活に欠かせない「住宅」を購入するために必要な資金を融資するものです。十分な資金を持たない方でもローンを組んで住宅を購入できるよう、金利は低く設定されています。
一方で、不動産投資用ローンは事業用ローンであり、リスクがあります。融資を行う金融機関は、リスクを懸念して金利を高く設定する傾向にあります。
返済原資
住宅ローンは、個人の収入が返済原資となります。たとえば、毎月の給与やボーナスなどがあてはまります。
一方、不動産投資用ローンの返済原資は、購入した投資用物件の運用によって得られる家賃収入です。
金融機関は、家賃収入について空室や家賃の下落などのリスクがあると判断し、審査を厳しく行う傾向にあります。
融資審査の基準
前述の返済原資の違いが、融資審査の基準にも影響を与えます。
住宅ローンの審査では、勤務先や勤続年数、年収、家族構成、過去の借入の有無、返済情報、自己資金の有無と金額などが審査の対象です。連帯保証人についても同様の事項審査対象となります。
不動産投資用ローンの場合、上記事項に加えて、現在の投資状況や購入予定の物件の収益性なども審査対象として重要な点です。
もちろん、審査事項が増える不動産投資用ローンのほうが融資審査は厳しくなります。融資条件は金融機関ごとに異なるため、不動産投資用ローンを検討しているのであれば、複数の金融機関い足を運ぶのがおすすめです。
ローン契約者の年齢制限
住宅ローンの契約者には、70歳未満や71歳未満など年齢制限が設けられているのが一般的です。
住宅ローンの返済原資が給与などのため、退職の年齢を考慮して年齢制限が設けられています。
一方、不動産投資用ローンの場合、申し込み時の年齢制限を設けていないのが一般的です。
これは、不動産投資用ローンの返済原資が投資の運用利益であり、年齢とは関係ないと考えられるためです。
不動産投資の際に住宅ローンを活用できる?
住宅ローンと不動産投資用ローンには、上記のようにさまざまな違いがあります。とくに、住宅ローンは不動産投資用ローンと比較して金利が低く設定されているため、不動産投資に活用したいと考える方も多いでしょう。
ただ、不動産投資に住宅ローンを活用することは原則できません。
前述の通り、住宅ローンは生活に欠かせない「家」の購入に使用されることを想定しており、その分金利を低く設定しています。
不動産投資はあくまで事業であり、生活に欠かせないとまではいえず、住宅ローンの制度趣旨とずれてしまうのです。
また、不動産投資にはリスクがあり、金利を低く設定すると金融機関がそのリスクを負わなければならないため、住宅ローンと不動産投資用ローンを分けているという性質も関係しています。
万が一、不動産投資であることを偽って住宅ローンを組んでしまうと、最悪のケースでは詐欺罪として刑事事件に発展する可能性もあります。
住宅ローンと不動産投資用ローンについては、こちらの記事をご覧ください。
不動産投資用ローンの融資枠
不動産投資用ローンの融資枠には、上限額があるのをご存知でしょうか。
そして、融資枠の上限は、審査を受ける方の年収や勤続年数などによって上下します。もちろん、年収が高ければ融資枠の上限は上がりますし、勤続年数や金有無先に不安があれば、融資枠の上限が下がる可能性もあります。
そして、この融資枠には現在受けている不動産投資用ローン以外の借り入れも含まれます。たとえば、車や自宅の購入する際の借り入れや、カードローンなどが代表です。
現在不動産投資用ローンの融資審査を受けようとしている方の融資枠が5,000万の例を考えてみましょう。
住宅ローンとしてすでに2,000万円、自動車の借り入れとして500万円の融資を受けている場合、不動産投資用ローンに使用できる融資枠は2,500万円ということになります。
融資枠の上限額の確認方法
融資枠に上限があるのであれば、自分の融資枠がどのくらいで、上限までいくら残っているのか確認したいと思うものでしょう。場合によっては融資枠の上限額を確認できるかもしれません。
まず、過去に融資実績があったり、懇意にしたりしている銀行などの担当者がいる場合は、その方に問い合わせることで融資枠の上限額を確認できるでしょう。
ただ、住宅ローンなどを組んでいない限り、懇意にしている銀行員などがいる可能性は低いといえます。
そのような方には、ファイナンシャルプランナーへ相談するのがおすすめです。とくに、銀行のつながりをもつファイナンシャルプランナーに相談すれば、おおよその上限額が確認できるでしょう。
具体的には、自分の属性をファイナンシャルプランナーへ伝え、融資先として検討している金融機関ごとの上限額を算出してもらうのです。
また、すでに不動産会社と具体的な話を進めているのであれば、不動産会社のコンサルタントに相談してみるのも良いでしょう。提携している金融機関があれば、具体的な融資枠の上限額が判明するかもしれません。
自宅の購入と不動産投資の順番
ある程度年収のある方や、まとまった資金を準備できる方のなかには、自宅の購入と不動産投資の順番について悩んでいる方もいるでしょう。
端的に説明すると、ある程度自己資金を準備できるのであれば、不動産投資用ローンを組み、投資用物件を先に購入するのがおすすめです。
もっとも大きな理由は、不動産投資によって得られた利益が年収に含まれ、融資の上限枠の拡大が見込めるためです。
融資の上限枠が5,000万円の方を例に考えてみましょう。2,500万円のワンルームマンションの投資用物件を2軒ローンを組んで購入したとしましょう。
ローンを返済し終わってしまえば、得られる家賃収入が丸々年収となり、融資の上限枠が拡大されます。この仕組みを活かして、投資用物件を次々に購入している方も少なくありません。
また、不動産投資で利益をあげた実績があれば、将来住宅ローンを組む際にも大型のローンを組める可能性が高まります。不動産投資の実績は、融資審査においてもメリットとして働くためです。
自宅の購入と不動産投資の順序に悩んでいるのであれば、まずは不動産投資から始めてみてはいかがでしょうか。
まとめ
不動産投資は、投資として一般化しつつあるものの、なかには自宅の購入とどちらを先にするか悩んでいる方も多いでしょう。
とくに優先順位を決めていないのであれば、不動産投資から始めるのがおすすめです。まずは不動産会社に行き、話を聞いてみるのはいかがでしょうか。
不動産投資については、以下の記事もご覧ください。