不動産を購入後、管理会社を変更することはできる?
不動産の購入後、何かしらの事情で管理会社を変更したいと思うケースもあるでしょう。一定の手順を踏むことで管理会社の変更は可能です。
今回は、マンションを例に管理会社の変更方法やメリット、注意点などをご紹介します。
管理会社を変更するきっかけ
不動産を購入し、運用を開始したものの、「管理会社を変更したい」と思っている方もいるでしょう。
そのきっかけは、以下のようにさまざまなケースが考えられます。
- 担当管理会社の対応が遅い、悪い
- 修繕工事などの見積もりを1社に対してしか行っておらず、金額も高額
- マンション運営に対するアドバイスや提案に消極的
- マンション設備の劣化や故障がそのままにされている
- マンションの管理委託費が高い
- 管理組合や入居者のことを親身に考えてくれない
もっとも多いのは、管理会社の対応の遅さや悪さですが、その他にも多くの悩みを抱えているケースで管理会社の変更を検討する方が多いようです。 これらの項目に複数当てはまるような場合は、マンションの管理会社を見直すタイミングかもしれません。
管理会社の変更手順
ここからは、管理会社の変更手順を具体的にご紹介します。
1.現在の管理会社の問題点を整理する
まず、現在の管理会社の問題点を整理することから始めましょう。
理事会で議論するのが中心ですが、組合員へのアンケートなどを行い、意見を集約することも大切です。
アンケートの結果、現在の管理会社に対して不満を抱いている組合員が多いようであれば、次のステップへ進みましょう。
2.新しい管理会社の選定と見積もりの依頼
新しい管理会社を選ぶ場合、複数の会社を選定し、各社へ見積もりを依頼しましょう。3~5社程度見積もりを依頼するのが一般的です。
比較検討しやすくするために、現在の管理委託契約書にもとづく内容で見積もりを依頼しましょう。
3.見積もり金額や提案内容の比較検討
各社に依頼した見積もり金額や提案内容を理事会で比較検討します。見積もり金額ばかりを重視するのではなく、ステップ1で整理した問題点が解消できるかを重視しましょう。
4.理事会や居住者向けに新管理会社のプレゼンテーションを行う
3社程度に管理会社を選定したら、理事会や場合によっては入居者向けにプレゼンテーションを行います。
理事会では推薦する管理会社を1社選定し、それをもとに入居者に説明会を開催するのが一般的です。
5.管理会社変更のための総会を開催する
マンションの管理会社の変更は、全組合員出席の総会による必要があります。総会の開催日を決定したうえで、総会議案書を作成し、全組合員に配布しましょう。
本来であれば、総会議案書の準備は現在のマンション管理会社にサポートしてもらうのが一般的です。
ただ、管理会社の変更に関する総会のサポートは頼みにくいという場合は、新しい管理会社にお願いしてみましょう。
ちなみに、マンションの管理会社の変更に関する決議は、普通決議(過半数の賛成)となっています。
6.現在の管理会社と管理委託契約を解約
総会で新管理会社について承認決議がなされたら、現在の管理会社との管理委託契約を解約します。
特段の取り決めをしていなければ、猶予期間を3か月以上設ければ、解約の申し入れは完了します。
7.新管理会社との管理委託契約を締結、管理の引継ぎ
最後に新しい管理会社と管理委託契約を締結し、旧管理会社から新管理会社へ必要なものを引き継ぎます。
旧管理会社に預けている書類はもちろん、通帳や印鑑、共用部の鍵、備品などマンションを管理するうえで必要になるものすべてを引き継ぎます。
引き継ぎに漏れがないよう、旧管理会社・新管理会社双方から進捗について報告を受けるようにしましょう。
管理会社を変更するメリット
上記の通り、管理会社の変更には多くの時間と手間を要します。そんななか管理会社を変更するメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
適切な管理が期待できる
前述の通り、管理会社を変更する場合、マンションオーナーや組合員は現管理会社に対して何かしらの不満を抱いているのが一般的です。
そこで、管理会社を変更することで、それらの不満点が解消されより質の高い管理を受けられるようになります。
質の高い管理とは、主に以下の3点を満たしたものを指します。
- 管理費が適切、かつ収支のバランスが取れている
- マンションや設備の清掃、メンテナンスが適切に行われている
- 修繕積立金が適切に蓄えられている
これらが実現できているのであれば、質の高い管理を受けられているといえます。
とくに、修繕積立金については問題を抱えているマンションが多い傾向にあります。
大規模修繕を行う際、修繕積立金で賄うのが一般的ですが、管理が適切に行われていないため不足するといった事態に陥るケースもあるようです。
マンションの管理が適切行われていれば、入居者も気分良く生活できるようになります。
管理費の節約につながる
前述の通り、管理組合への不満のひとつに「管理委託費」の問題があります。
組合によるものの、支払っている管理費の7割以上が管理委託費のケースもあり、管理会社に不満をもっている組合も少なくありません。
この管理委託費については、管理会社を変更することで削減できることがほとんどです。
マンション購入時、管理会社は不動産会社の系列会社や関係会社から選ぶの基本です。
そのため、管理委託費について価格競争が発生せず、初期設定の管理委託費は比較的高額に設定されています。
管理会社の変更を行う際、各会社に競争の意識をもたせることで、管理委託費を現状より削減できる可能性が高まります。
区分所有者の管理の意識が高まる
マンションにおける管理の重要性は、不動産投資を行っている方であれば多くが理解しているはずです。
マンション管理が適切に行われていれば、マンションの資産管理を維持するだけでなく、より魅力的なマンションにすることもできます。
しかし、実際は管理のプロセスに区分所有者が関わろうとするケースは少なく、ほとんどの方が人任せにしています。
ただ、いざ管理会社を変更するとなると、どこかの段階で区分所有者が関与することになり、マンション管理に対する意識の改善につながります。
管理会社を変更する際の注意点
管理会社の変更は、マンション管理の向上を目指して行うものですが、ただ行えば良いわけではありません。
こちらでは、管理会社を変更する際の注意点をご紹介します。
管理会社を管理費だけで選択しない
管理会社を変更する際、確かに「管理費」は重要な項目です。
ただ、管理会社を管理費の金額だけで選んではいけません。
管理会社が行うマンション管理には、さまざまな内容が含まれています。それらを比較検討したうえで、管理費と管理内容のバランスが良い会社を選ばなければなりません。
たとえば、管理人は常駐かどうか、正社員かパートか、管理人の人物の経歴など、確認すべき点は数多くあります。
管理の質は落としてはいけない
管理会社に対する不満は、実は管理会社の変更後に生じることもあります。
「変更によって確かに管理費は安くなったが、管理の質が悪くなった」といった声を耳にすることがあります。
管理の質を落とすことなく、そのマンションの魅力を最大限発揮できるような管理会社を選びましょう。
まとめ
管理会社の変更は一定の手間がかかるものの、正しい手順で行えば、管理の質の向上や管理委託費の削減につながります。
現在の管理会社に不満を感じているのであれば、まずは相談ベースで組合員などにアンケートを取ってみてはいかがでしょうか。
こちらの記事もおすすめです。