中古マンションを所有するうえで注意したいトラブルについて
不動産投資を行う際、減価償却などの観点から中古マンションがおすすめされるケースも少なくありません。
ただ、中古マンションには新築にはないトラブルが発生する可能性もあります。中古マンションを所有するのであれば、理解しておきたいところです。今回は、中古マンションを所有するうえでの注意点をご紹介します。
新築よりも中古マンションをおすすめする理由
一般的に、不動産投資では新築よりも中古マンションがおすすめされます。その理由はさまざまありますが、主に以下の3点が関係しているでしょう。
- 新築と比べて購入価格が安く、利回りが高い
- 資産価値や賃料が下がりにくい
- 管理状態の把握が容易
中古マンション最大のメリットといえば、購入価格が安く利回りが高い点です。新築マンションの利回りは、3~4%前後ですが、中古マンションは5%を超えます。
また、中古マンションは経年劣化により価値が下がった状態で購入するため、購入後に資産価値が大きく下落する可能性が低いといわれます。リフォームやリノベーションを行えば、購入時より高い価格で売却することも可能です。
さらに、新築マンションは建築途中で購入するケースも多く、購入前に現物を確認できません。中古マンションは実際に現物を見て管理状態の確認が容易にできます。「モデルルームだけを見て購入したが、イメージと異なった」といった事態を防ぐことができます。
中古マンションを購入するリスク
中古マンションは、新築と異なり築年数が経過しているため、購入にはリスクもあります。こちらでは、中古マンションを購入するリスクやデメリットをご紹介します。
利用可能年数が短い
マンションの寿命はおよそ60年程度といわれます。中古マンションは建築からある程度年数が経過しているため、購入後の利用可能年数も短くなってしまいます。利用可能年数が短いということは、家賃収入が得られる期間も短いということです。
新築と比べて購入価格は安く抑えられますが、家賃収入を得られる期間が短いため、本当に十分な利益を得られるか事前に調査する必要があるでしょう。中古マンションを投資対象としてだけでなく相続財産として考えているのであれば、築浅の中古マンションがよいでしょう。
室内設備の老朽化が進んでいる
中古マンションは、外観の老朽化だけでなく室内設備の老朽化が進んでいる可能性もあります。エアコンやトイレの故障、水回りからの水漏れ、エレベーターなど共有施設の不具合など、さまざまなケースが考えられます
。新築でも起こり得ることですが、築古のマンションほど可能性は高まります。このような場合は、購入費用が安くても修繕費に一定の費用が必要です。
また、故障していなくても設備が他のマンションと比べて古い場合は、入居率低下の原因にもつながるため交換しなければなりません。
たとえば、カメラ付きインターフォンやエアコン、宅配ボックスなど、現在主流となりつつあるものは積極的に設置する必要があるでしょう。この場合もある程度の出費が必要です。
災害リスクが高い
地震や台風など災害大国ともいわれる日本。築古のマンションほど老朽が進んでおり、災害リスクが高いのも事実です。
とくに、昭和56年に制定された新耐震基準法に準拠して建てられたマンションかどうかは大切なポイントです。これ以前に建てられたマンションは、旧耐震基準に則っている可能性が高く、今後発生するとみられる大地震に耐えうる性能があるかは不透明です。
災害リスクを考えるなら、昭和56年6月1日以降に建築されたマンションを選ぶようにしましょう。
マンションの耐震基準については、以下の記事で詳しく解説しています。
中古マンションでトラブルが起きる理由
中古マンションを購入したことでトラブルが発生することもあります。なぜ中古マンションでトラブルが発生するのでしょうか。
中古マンションで起きるトラブルにはさまざまな種類がありますが、よくあるのが「マンションが建っている土地」に関するトラブルです。
101号室や203号室といった居室は、それぞれの権利関係が明確なため、法的なトラブルはそれほど発生しません。ただ、土地については「誰がどのくらいの割合で所有しているのか」がわかりづらいため、トラブルに発展するケースが多いのです。
マンションが建っている土地は、「マンションの各居室の所有者が持分割合に基づいて共有している」と解釈されます。持分とは、共有者それぞれの所有権の割合を指し、マンションの場合は所有している居室の床面積の割合で判断します。
具体例をもとに考えてみましょう。2,000平米の土地に20戸の居室があるマンションで、どの部屋も同平米数の場合、20人の各居室の所有者が持分1/10の割合で土地を共有しているということになるのです。
ただ、実際は各居室の床面積が異なるケースもありますし、複数の部屋を所有している方がいるケースも考えられます。持分割合が複雑になることが多いため、土地の所有権に関するトラブルが発生しやすいのです。
想定されるトラブル
実際に中古マンションで起きるトラブルには、どのようなものがあるのでしょうか。こちらでは、中古マンションで想定されるトラブルをご紹介します。
借地権によるトラブル
借地権付きの中古マンションは、売却の際にトラブルが発生することがあります。借地権付きのマンションを他者に売却する場合は、地主の承諾が必要です。
そのため、譲渡承諾料や名義変更料、名義書換料などを支払ったうえで承諾を得るのが一般的です。
ただ、地主が承諾をしなかったり、借地権価格の10%程度が相場である譲渡承諾料について相場を大きく超えた費用を請求されたり、といったトラブルがよくみられます。
地主の承諾が得られなければマンションを売却できないため、計画が途中で頓挫してしまう可能性もあるでしょう。
敷地利用権によるトラブル
通常、マンションには敷地利用権が設定されています。敷地利用権とは、建物部分と土地の持分割合がセットになっていることを指しており、敷地利用権が設定されていると、建物だけを売却したり土地の持分だけを売却したりできなくなります。
マンションの居室を所有していても、土地の利用権がなければ住むことができないため、敷地利用権を設定して両者を一括で管理するのが一般的です。ただ、なかには敷地利用権が設定されていないマンションがあり、トラブルの種となっています。
敷地利用権が設定されていないということは、建物の売却と土地の売却を別々に行うことが理論上は可能です。そのため、建物をAさんに、土地をBさんになどと売却し、トラブルになることがあります。
また、敷地利用権が設定されていないマンションは、銀行からの評価が下がる傾向にあり、売却に時間がかかる可能性があります。居室の所有権と土地の利用権が別々のため、購入を検討する方が限られてしまうのが理由です。
まとめ
不動産投資において中古マンションに注目するのは一般化しつつありますが、中古マンションにもリスクはあります。とくに、以前誰かが所有していたため、権利関係のトラブルが起きやすい傾向にあります。
トラブルを防ぐには、購入前に物件や土地の権利内容をしっかりと確認することが大切です。借地権や敷地利用権の有無など、確認すべきポイントはいくつかあります。
通常、マンションは流動性の高いものではありませんが、不動産投資では流動性の視点が欠かせません。権利関係が複雑になるほど流動性に欠けるため、投資商品として購入するのは控えたほうがよいでしょう。
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