生活保護の物件探しは断られやすい?賃貸物件を借りる手段やコツとは
生活保護受給者のなかには、物件探しに難航している人も少なくないでしょう。というのも、生活保護を受給しながら物件探しをするには手続きが複雑だったり、賃貸契約を断られたりすることも多いからです。そこで今回は、なぜ生活保護を受給していると賃貸契約を断られやすいのか、そして物件探しの手段や賃貸契約のコツについてご紹介します。
生活保護受給者の物件探しはなぜ断られる?
なぜ生活保護を受給していると物件探しが難航するのか?まずは賃貸契約を断られやすい理由について解説します。
家賃滞納のリスクを懸念される
生活保護を受給している理由は人によってさまざまですが、定職についていない人が多いことから金銭的なトラブルを懸念する大家さんも少なくありません。
よく見られるのが、生活保護費を使い込んで家賃を滞納するトラブルや、退去時に必要な修繕費用を支払えないなどのトラブルです。
大家さんにとって、入居者から家賃や修繕費の支払いがないのは死活問題。また大家さんと入居者の間に立つ管理会社にとっても、家賃の督促や連帯保証人へのコンタクト、大家さんへの家賃保証が発生するなどデメリットが多いと考えられるからです。
審査に通りづらい
賃貸物件を借りるには、家賃滞納など何らかのトラブルが生じたときの保証として保証会社への加入を求められるのが一般的です。連帯保証人がいなくても問題ない物件もありますが、物件によっては保証会社への加入と合わせて連帯保証人を求められる場合もあります。生活保護受給者は受給の要件にある「家族や親戚などから支援を受けられない人」である可能性が高く、賃貸契約に必要な連帯保証人を立てることが難しいと考えられます。
なので連帯保証人を用意することが出来ない場合は、保証人がいなくても審査をしてくれる物件を紹介してもらうのが無難でしょう。ただ、賃貸物件を借りる場合には緊急連絡先は必要なので親族に相談をしておきましょう。
審査でみられるポイント
◎クレジットカードや家賃の滞納歴がない(個人信用情報)
◎受給理由や引越し理由などに矛盾が無い
以上のようなケースだと、生活保護受給者でも賃貸契約ができる可能性が高くなります。
近隣トラブルを懸念される
残念ながら、生活保護を受給している人による近隣(隣人)トラブルは多く見られます。精神疾患を患っていることでささいなことから隣人とトラブルを起こしてしまったり、室内が激しく劣化したり、昼夜逆転など生活リズムの違いで騒音トラブルを起こしてしまったりと、トラブルの内容はさまざまです。
なにより、生活保護を受給しているということはトラブルに対する責任応力が問えない可能性があります。大家さん側も、なるべくトラブルを避けたいという考えから生活保護受給者の入居を断ることがあります。
手続きが多くなる
生活保護を受給している人が賃貸物件を契約する際は、受給者はもちろん不動産会社側にも手続きの負担が大きくなります。
手続きの負担があってもなくても、不動産会社に支払われる仲介手数料は変動しません。つまり、時間的なコストがかかる生活保護受給者の対応に手が回らないという理由で入居を断るケースもあります。
生活保護を受給しながら物件探しをする手順
生活保護を受給している場合、そうでない人と違って物件探しをする手段がやや特殊です。ここで、生活保護受給者による物件探しから賃貸契約までの手順を紹介します。
役所で許可をもらう
生活保護を受給している人の多くが住宅扶助(後述)として家賃補助を受けていることになりますが、家賃を自治体に払ってもらっている以上許可なく引っ越すことは認められません。まずは、市区町村の役所で引っ越しの許可をもらいましょう。
許可をもらう際、あいまいな理由を告げると引っ越しを却下される可能性があります。なぜ引っ越しが必要なのか、事情をくわしく説明しましょう。
ケースワーカーに相談する
役所で許可を貰ったあとは、担当のケースワーカーと話し合いながら家賃の上限額を決めていきます。生活保護費として支給される住宅扶助には上限があるため、基本的に限度額を超える家賃の物件には住むことができません。
物件探しをするには、ケースワーカーとの相談が必要不可欠であることを認識しておきましょう。
不動産会社で物件を紹介してもらう
家賃の上限額が決まれば、不動産会社で物件を紹介してもらいましょう。不動産会社へは、早い段階で生活保護受給者であることを伝えておきます。これにより、生活保護受給者に理解のある大家さんを紹介してもらえたり、審査のアドバイスを貰えたりする可能性が高くなります。
申し込み・入居審査を経て引越し日を決める
内見をして気に入った物件が見つかれば、ケースワーカーにその物件の家賃や必要な初期費用の金額を報告します。ケースワーカーからの了承が得られれば、賃貸契約の申込手続きが可能です。
生活保護受給者が利用できる住宅扶助とは
生活費はもちろん家賃を支払うことも難しい、そんな生活保護受給者でも住宅扶助として家賃補助を受けることができます。また、新たに賃貸契約を結ぶ際には初期費用の一部を一時扶助として支給してもらえる可能性もあります。
住宅扶助として支給される金額には一定の基準があり、地域や世帯人数によって決まります。まずはいくら住宅扶助が受けられるかを役所の担当者に確認しましょう(水道光熱費や管理費、共益費は住宅扶助として含まれないので注意が必要です)
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生活保護を受給しながら物件探しをするコツ
生活保護を受給していても、物件探しや賃貸契約が成功しやすくなるコツがいくつかあります。
生活保護受給者への実績がある不動産会社を選ぶ
不動産会社の中には、生活保護を利用している人や外国籍、高齢者、ひとり親世帯などの住宅弱者に理解のある会社もたくさんあります。たとえばLIFULL HOME’Sでは、住宅弱者一人ひとりの多様なバックグランドを理解したうえで親身になって住まいを探す不動産会社を検索できるサービス「FRIENDLY DOOR」を提供しています。
また、不動産会社が独自で生活保護受給者向けの物件探しをサポートしているケースも多いです。生活保護受給者への理解や実績のある不動産会社を選ぶことで、物件探しもスムーズになるでしょう。
生活保護の受給は期間限定であることを伝える
今後働く予定がある場合は、生活保護の利用が一時的であることを伝えておくことで入居審査に通過できる可能性が高くなります。
もしも病気や怪我で住宅保護を利用しているなら、今どんな状態なのか、治療の進行状況はどうなっているかを伝えることで、働ける時期や事情が伝わるため大家さんも安心できます。
保証会社や自治体の代理納付を利用する
大家さんがもっとも懸念しているのは家賃滞納のリスクです。こうしたリスクを避けるために、自治体が入居者の代わりに家賃を支払う代理納付を利用したり、滞納した家賃を保証する保証会社を利用したりすることをおすすめします。
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物件探しの際は条件を絞りすぎないようにする
生活保護を利用している以上、契約できる賃貸物件も限られるのが現状です。条件を細かく設定すると物件探しも難航するため、間取りや設備などの必要条件以外は広めに設定しておくと物件探しも楽になります。
誠実かつ丁寧な対応を心がける
不動産会社を味方につけておくと、大家さんへの交渉がスムーズになる場合があります。大家さんによる入居審査をパスするためには、家賃を支払い続けられるかどうかも重要ですが、入居者の人柄も審査項目として評価されるケースがあるからです。
入居審査で心強い存在になってもらうためにも、不動産会社へ行く際には身だしなみを整え誠実かつ丁寧な態度を心がけましょう。
生活保護受給者が不動産会社に聞かれること
生活保護を利用しながら物件探しをする際、不動産会社に聞かれることがいくつかあります。スムーズに賃貸契約を結ぶためにも、想定される質問を数点ご紹介します。
生活保護を受給している理由や経緯
生活保護を利用する経緯は人それぞれであり、仕事が決まらなかったり、病気や怪我で働けなくなったりなどさまざまな事情があるでしょう。不動産会社は、生活保護を受給した経緯を確認したうえで「受給は一時的なのか」「長期的に受給しなければならないのか」を判断する必要があります。
すでに説明したとおり、生活保護を利用していることで金銭的なトラブルや近隣トラブルが懸念されることもあります。こうしたトラブルを防ぐためにも、不動産会社には生活保護を受給している理由や経緯を正直に伝えましょう。
連帯保証人について
家賃滞納のリスクが懸念される以上、不動産会社から連帯保証人がいるか聞かれる可能性が高いです。入居審査では大家さんへの不安を解消する必要があるため、連帯保証人を立てるのが有効と言えるでしょう。
連帯保証人がいる場合は、家賃滞納の不安が抑えられるので大家さんに安心感を与えられます。もしも連帯保証人をお願いできる人物がいれば、前もって確保しておくとよいでしょう。
保証会社を利用する場合でも、生活保護受給後に金銭トラブルがない、また保証人を立てられる場合などは保証会社の審査に通る可能性があります。賃貸契約をスムーズに結ぶためにも、生活保護に理解がある不動産会社に力になってもらいましょう。
なぜ引っ越しをするのか
生活保護を受給している際、不動産会社から引っ越しをする理由について尋ねられることがあります。というのも、生活保護受給者は家賃を滞納して追い出されたり、家族とトラブルを起こしていたりとトラブルを抱えているケースが珍しくないからです。
今住んでいる家の家賃が家賃補助の金額を超えている、通勤が困難、病気の療養など、引っ越しをする正当な理由を伝えましょう。
まとめ
生活保護を利用していても、物件探しや賃貸契約をすることは十分に可能です。ただ、受給していない人に比べると複雑な手順や手続きが必要であったり、家賃補助として住宅扶助を受ける以上家賃に上限があります。まずはケースワーカーに相談の上、物件探しを始めましょう。