賃貸で家賃の値上げを求められたらどう対処する?
賃貸物件に住んでいると、ある日突然家賃の値上げを求められることがあります。家賃はずっと定額と考えている方が多いですが、まれに値上げすることがあるのです。
今回は、賃貸で家賃の値上げを求められる理由や、その際の対処方法などをお伝えします。万が一家賃の値上げを求められた場合に備えて、事前に把握しておくのがおすすめです。
賃貸で家賃が値上げされるタイミング
賃貸物件は、一度借りると退去まで家賃が変わらないと考えている方も少なくありません。しかし、実際はそうではありません。「借地借家法」と呼ばれる法律では、さまざまな条件の下で家賃の値上げをすることが許されています。
賃貸で家賃が値上げされるタイミングは、基本的に更新時です。更新とは、貸主と借主の間で交わされた「賃貸借契約」を継続するための手続きを指します。賃貸借契約には一定の契約期間が定められており、2年や3年が一般的です。つまり、家賃の値上げは2年や3年に1度行われる可能性があるのです。
賃貸で家賃の値上げができる条件
前述の通り、賃貸の家賃の値上げは「借地借家法」という法律に規定されています。
建物の借賃が,土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により,土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により,又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは,契約の条件にかかわらず,当事者は,将来に向かって建物借賃の額の増減を請求することができる。
借地借家法第62条
上記条文を見ると、以下の3つの条件のうち、どれかに当てはまると家賃の値上げが行われる可能性があることがわかります。
- 家賃が相場を下回る金額になっていた
- 家賃相場が高騰した
- 固定資産税などが高くなった
もっとも多いのが、周辺の家賃相場の返納による値上げです。賃貸物件の家賃はある程度自由に設定することができますが、周辺相場とかけ離れている場合は、値上げも認められています。急な土地の高騰により周辺物件の家賃が高くなった場合などは、賃料の見直しが行われる可能性があります。
また、地価が高騰すると、固定資産税評価額も上がることになります。その結果、固定資産税や都市計画税の負担額が大きくなった場合も、家賃値上げの正当な理由として認められています。固定資産税は、毎年1月1日の土地の評価額をもとに算出され、評価額の見直しは3年に1度行われます。そのため、この時期を迎えたら、ニュースなどを定期的に確認し、固定資産税の状況をチェックしておきましょう。
賃貸で家賃の値上げを通知された場合の対処法
上記のように、賃貸では特定のタイミングで家賃の値上げを通知されるケースがあります。そのため、家賃の値上げを求められた場合に備えて、対処方法を理解しておくことが大切です。以下の4つのポイントを押さえておきましょう。
まずは大家さんからの話をよく聞く
まずは、大家さんからの話をしっかりと聞くことが大切です。その上で、家賃の値上げに納得できるかどうかを判断し、納得できるのであればその条件で住み続けるのもひとつの手段です。
大家さんからの話を聞く際は、感情的な部分ではなく、家賃を値上げする明確な根拠・データを提示してもらうのが良いでしょう。値上げすることの成否はもちろん、値上げ額が正当かどうかも判断しやすくなります。
賃貸で突然家賃の値上げ通知が届くと、感情的になって大家さんや不動産会社に連絡してしまう方も少なくありません。しかし、今後の交渉を考えるのであれば、その対処方法は得策ではありません。まずは、貸主側の言い分をしっかりと聞き、その根拠を示してもらった上で必要な場合は交渉を行いましょう。
周辺物件の相場を調べる
次は、交渉に向けて周辺物件の家賃相場を確認しましょう。自分が住んでいる物件と似た間取り、似た条件の物件を探すことが重要です。周辺物件と比べて自分の住んでいる物件の家賃が特に安い場合は、家賃値上げの正当な理由になります。一方で、金額がそれほど変わらない場合は交渉材料となります。
家賃が適正かどうかを判断するには、築年数や間取り、周辺環境の充実度、建物の構造などを確認するのが良いでしょう。また、物件が人気かどうかも重要なポイントです。すぐに入居者が集まるようであれば、万が一退去されてもあまり困らないため、強気に対応される可能性があります。反対に入居希望者が少ない物件であれば、こちらからの交渉を受け入れてもらいやすくなります。
長く住み続ける意思を伝える
大家さんや不動産会社と交渉する際は、現状の家賃であれば長く住み続ける意思があることを伝えるのも大切です。大家さんにとって、空室リスクはもっとも避けたいものであるはず。家賃を値上げしないことで、長く住み続けてくれる入居者がいるのであれば、それは良い材料となるはずです。
条件交渉をする
交渉の場では、値上げ拒否や退去以外の選択肢も示したいところ。例えば、値上げ幅を小さくしてもらったり、値上げ時期を後ろにずらしてもらったりなどの方法が考えられます。値上げを一方的に拒否、もしくは即退去のような極端な対応だけでは、無用なトラブルにつながってしまう可能性もあります。
交渉が決裂した場合はどうする?
交渉が決裂した場合も、値上げ前の家賃を支払っていれば強制的に退去させられる必要はありません。しかし、大家さんの中には「値上げ後の家賃でなければ受け取らない」というケースもあり、その状態が続くと家賃の滞納を理由に契約解除となる可能性があります。その場合は、供託制度などを利用して家賃の不払いを防ぐ方法があります。
話し合いがこじれてしまった場合は、自治体の消費生活センターに問い合わせるのがおすすめです。担当者に仲介してもらうことで、話し合いが進展しやすくなります。
まとめ
賃貸では突然家賃の値上げを求められることがあります。冷静に対処し、相手の言い分を聞いた上で判断することが大切です。賃貸物件をお探しの際は、ネクストライフまでお問い合わせください。