賃貸物件で雨漏り発生!対処法や補償、注意点とは?

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賃貸物件で雨漏り被害が発生した場合、入居者ではなく貸主や管理会社側が責任を追う必要があります。とはいえ、場合によっては入居者が修繕費を負担しなければならないケースもあるので注意が必要です。入居する賃貸物件で雨漏りが発生したとき、まずはどんな行動を取るべきなのでしょうか?本記事では、賃貸物件で雨漏りが発生した際の対処法や補償、注意点などについて解説します。

賃貸物件で雨漏りが起きたときにとるべき行動

入居する賃貸物件で雨漏りが発生した際は、まず落ち着いて以下の行動をとりましょう。

  • 雨漏りした箇所を撮影する
  • 応急処置をする
  • 管理会社や貸主へ連絡する

雨漏りした箇所を撮影する

応急処置をする前に、雨漏りしている箇所を撮影しましょう。写真に残しておけば、雨漏りによる被害を証明することができますし、誰に賠償責任があるかを検証する際に役立てることができます。

撮影の際は、1枚ではなくさまざまな角度から複数枚撮るのがポイントです。

また、雨漏りによって家電が壊れてしまったり、家具にシミができたりする場合があります。こうした家財道具の賠償請求をする際も写真が役立つので、忘れずに撮影しましょう。

応急処置をする

撮影後は、被害が広がる前に応急処置をしましょう。

たとえば天井から雨漏りがする場合は、バケツやブルーシートで雨水を止めます。また窓から雨漏りがする場合は、雑巾やテープで雨水を塞ぎます。さらに雨漏りは漏電のリスクもあるため、雨漏りしている箇所の付近に電子機器がある場合はコンセントを抜きましょう。

雨漏りを放置すると、下の階に被害が広がったり、建物自体にダメージを与えたりする場合があります。入居者の過失となれば、修理費用を請求される可能性もあるので注意しましょう。

管理会社や貸主へ連絡する

撮影や応急処置を終えたら、管理会社や貸主へ連絡します。賃貸物件を所有しているのはあくまで貸主なので、よほどの緊急事態でない限りは入居者自身で修理業者に連絡をするのではなく、大家さんに連絡をとりましょう。

管理会社や貸主に連絡が取れたら、撮影した写真を提示して雨漏りの状況を伝えます。ここで修理の日程をきちんと決めておかないと、後回しにされることがあるので注意しましょう。もしも貸主や管理会社が対応してくれない場合は本記事の「貸主や管理会社が対応してくれない!そんなときは?」も参考にしてみてください。

雨漏りの修繕は誰の責任になる?

賃貸物件の雨漏りは、貸主や管理会社側の責任で修繕することになります。なぜなら、貸主側には貸担保責任があり、所有する建物の維持管理をおこなう必要があるからです。

とはいえ、雨漏りによる被害が借主の故意・過失による場合はこの限りではありません。

たとえば壁に穴を開けたことで雨漏りが発生したり、窓を開けっ放しにしたことで雨水が入り込んだり、お風呂の蛇口を開けっ放しにして下の階が水漏れしたりした場合は、入居者の責任になります。

雨漏りによる家財の被害は補償してもらえる?

雨漏りにより家電製品が壊れてしまったり、ベッドやタンスが水浸しになったりした場合は、契約書や保険の内容に合わせて補償してもらうことができます。まずは賃貸借契約書や保険の内容をきちんと確認しましょう。

賃貸借契約書に雨漏りによる家財の被害について明確な記載がない場合は、貸主や管理会社と個別で交渉する流れになります。

また、自然災害により発生した雨漏りで家財道具が被害にあった場合は、貸主の責任にはなりません。賠償請求をするのは極めて難しいでしょう。

雨漏りによる立ち退き料は請求できる?

雨漏りを原因に賃貸物件を退去する際、貸主に対して立ち退き料を請求できるのではないか?と考える人も少なくないでしょう。しかし、必ずしも貸主に対して立ち退き料を請求できるとは限りません。

たとえば入居する賃貸物件で雨漏りが発生し、貸主が適切に処置(修繕)している場合は、貸主に対して立ち退き料を請求するのが難しいです。

しかし、雨漏りが起きていることを貸主に報告しているにもかかわらず適切に処置してもらえない場合なら、立ち退き料を請求できる可能性が高くなります。

雨漏りの発生を貸主や管理会社にすみやかに伝えることは重要なことなのです。

貸主や管理会社が対応してくれない!そんなときは?

残念ながら、雨漏りの発生を貸主や管理会社に伝えてもすぐに対応してくれないことがあります。とはいえ、勝手に修理業者を手配するとその費用を請求できなかったり、退去時に原状回復を求められて賠償請求されたりする可能性があるため、貸主や管理会社に対し「自分が修理業者を手配して、後日修理費を請求してもよいか」確認を取ると良いでしょう。

また、何度も修繕を依頼しても対応してもらえない場合は国民生活センターなどの第三者に介入してもらうのがおすすめです。

賃貸物件で雨漏りが発生した際のよくある質問

「賃貸物件で雨漏りが発生したら家賃を減額してもらえる?」

「修繕してもらえなかったら、家賃を払う必要ないのでは?」

「経年劣化による雨漏りは誰の責任になるの?」

など、賃貸物件で雨漏りが発生した際にさまざまな疑問が生まれます。ここで、よくある質問のなかから3つピックアップしてご紹介・解説します。

雨漏りで家賃を減額してもらうことはできる?

天井からの雨漏りや漏水、それにより給湯器などの設備が故障することで賃貸物件に住み続けることが困難になると、貸主に対して家賃の減額を主張することができます。

なぜなら、民法第611条第1項で「賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責に帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される」とされているからです。

とはいえ、減額される賃料は被害の程度によって異なります。くわしくは公益社団法人日本賃貸管理協会による「賃料・設備等の不具合による賃料減額ガイドライン」も参考にしてみて下さい。

雨漏りを修繕してもらえない場合は家賃を払わなくてもいい?

雨漏りの修繕を依頼しているにも関わらず貸主や管理会社が対応してくれない場合、その対抗手段として家賃を支払わなくても問題ありません。というのも、貸主は入居者に対して部屋に不便なく居住できる状態で提供しなくてはならない義務があり、その対価として入居者は家賃を払っているからです。雨漏りで生活に支障が出ている場合、貸主は自分の義務を果たしていないことになります。

賃貸借契約は、貸主・借主(入居者)それぞれの義務を果たすことで成り立つ契約です。一方が義務を果たしていないにもかかわらず片方が義務を果たしている状態は契約の均衡を欠くため「同時履行の抗弁権」という法律により、相手が義務を果たすまで自ら負う責任を免除することが認められています。

「同時履行の抗弁権」を行使すれば、家賃滞納にはあたりません。

経年劣化で水漏れが起きた場合は誰の責任になる?

経年劣化により水道が壊れた場合は、貸主や管理会社が修繕費用を負担することになります。とはいえ、水漏れがあることを知りながら連絡をせず、下の階に水漏れしたり浸水したりした場合は、報告義務違反として修繕費用の一部を入居者が負担しなくてはならないこともあるので注意しましょう。

まとめ

入居する賃貸物件で雨漏りが発生した際は、被害の様子を撮影し応急処置をしましょう。注意したいのは、自分で修理業者へ連絡するのではなく貸主や管理会社に修繕を依頼する必要がある、という点です。また雨漏りの修繕は貸主側の責任になるものの、入居者の不注意が原因で発生した雨漏り被害は入居者の責任になります。雨漏り被害の補償については賃貸借契約書に明記されていることがあるので、事前に確認しておくと良いでしょう。

元・不動産メディア営業/現・不動産系ライター
岸山 海河 10本
有名不動産メディアSの創刊に関わり、地元〜大手不動産会社の物件広告を担当。2014年より不動産系ライターとして活動しています。引っ越し経験も多く、現在は片田舎に建てたマイホームに在住。部屋探しのワクワク感は今でも大好き!これまでの経験を生かしながら、沢山の人の「暮らし」に寄り添う記事を提供します。 資格:普通自動車、日本化粧品検定1級
元・不動産メディア営業/現・不動産系ライター
岸山 海河 10本
有名不動産メディアSの創刊に関わり、地元〜大手不動産会社の物件広告を担当。2014年より不動産系ライターとして活動しています。引っ越し経験も多く、現在は片田舎に建てたマイホームに在住。部屋探しのワクワク感は今でも大好き!これまでの経験を生かしながら、沢山の人の「暮らし」に寄り添う記事を提供します。 資格:普通自動車、日本化粧品検定1級

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