アパート・マンションの築年数や耐震性をどう判断する?快適に暮らせる賃貸物件の見極め方
部屋探しする上で、建物の築年数や耐震性を重視する人は多いのではないでしょうか。築年数の浅い物件は設備面や構造、セキュリティなどにおいてメリットが多いのは事実ですが、そのぶん家賃が高く、築古物件ほどの選択肢が多くないのも現実です。果たして、築年数何年の物件を選べば快適に暮らせるのでしょうか?
築年数が浅いほど良いのは間違い?アパート・マンションにおける築年数の見極め方
築年数とは、建物の完成後に経過した年数を言います。そして不動産情報においては、完成後に未入居かつ築年数1年未満の物件を「新築」、完成後に未入居かつ築年数1年以上の物件を「未入居」、すでに他の誰かが入居した築年数1〜5年以内の物件※を「築浅」といった具合に区分しています。
※築浅・築古の呼称に明確な定義や基準はありません
築年数が浅い物件ほど、建物や設備が新しくきれいなので好まれますが、冒頭で触れたように家賃が高くなるのが一般的です。一方、築年数が古い物件でもリノベーションにより新築同然の内装に生まれ変わっているケースもあります。単純に「築年数が古いと内装がきれいじゃない」とは言い切れないのです。
築年数と建物の寿命とは?アパートとマンションにも違いが
築年数が増えれば、当然建物自体も劣化します。とはいえ、建物の寿命は構造によって変化するため、同じ築年数のアパートとマンションを並べても古さの度合いはまったく異なると言えるでしょう。
建物の寿命を知る上で参考になるのが法定耐用年数です。法定耐用年数とは、国が定めた資産ごとの耐用年数であり、法定耐用年数をもとに減価償却して法人税を計算しています。
建物ごとの法定耐用年数 | |
木造住宅 | 22年 |
軽量鉄骨造(厚み3mm以下) | 19年 |
軽量鉄骨造(厚み3〜4mm以下) | 27年 |
重量鉄骨造 | 34年 |
鉄筋コンクリート造(RC) | 47年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC) | 47年 |
木造や軽量鉄骨造のアパートに比べると、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造のマンションのほうが頑丈で寿命も長いです。もちろん、法定耐用年数は税務上で定められた数字なので実際の寿命とは異なりますが、建物の寿命を判断する一つの材料として見ておくと良いでしょう。
築年数が古いと耐震性にも影響する?
築年数だけで建物の耐震基準を見分けることはできます。建物にはそれぞれ建築基準法で定められた「耐震基準」があり、過去の大震災を経て改正されました。特に、1981年に改正された耐震基準は「新耐震基準」と呼ばれており、震度6〜7でも倒壊しないことを基準としているのが大きな特徴です。新耐震基準で建てられた家は、阪神淡路大震災などでも一定の成果を示しました。
耐震性能を重視するなら、1981年6月1日以降に建築確認を受けている物件を選ぶと良いでしょう。
☆築年数が古い物件でも、耐震工事によって建物自体の耐震性能が高くなっているケースもあります。
築年数が浅い物件のメリット・デメリット
築年数の浅い物件は、やはり内装・外観ともにきれいな点が大きなメリットです。また設備においても最新のものが揃っている物件が多く、浴室乾燥機や防犯カメラなど設備面の充実さも魅力に感じられるでしょう。特に、備え付けのエアコンは製造年月日が新しいほど消費電力が低いため、節電にもつながるでしょう。
一方、新築や築浅物件は過去に入居した人がいない、または入居期間が短い事情があることから、設備の不具合が出る可能性があるほか、周辺環境が事前にわからないというデメリットがあります。設備は使い始めてから1年ほどで不具合を起こすことが多いため、新築や築浅物件の場合は住んでいる間に調子が悪くなる可能性もあるでしょう。また、入居歴がない物件は騒音や周辺環境のトラブルを不動産会社側が把握できていないこともあります。住んでみないと実際の住み心地がわからない、という点も新築や築浅物件のデメリットです。
築年数が古い物件のメリット・デメリット
一般的に、賃貸物件は新築や築浅物件に人気が集中するため、競争率が高くない築古物件は空き物件が多いです。築年数にこだわりさえしなければ、選べる物件はたくさんあります。なかには、リフォームやリノベーションによって新築並みに内装がきれいな掘り出し物件もあるほどです。また、築古物件は平米数の規定が現在のものと異なるため、居室や収納が広い物件も多いです。なにより、築古というだけで新築や築浅物件よりも家賃が安く、お得感も得られるでしょう。
反面、築古物件は過去の入居による傷や色あせに古さを感じるところがあり、どれだけ原状回復に努めても劣化が隠しきれない箇所もあります。また、築50年など改定前の耐震基準で建てられた物件は耐震性や建物そのものの強度に不安が残ります。室内にある設備も古く、必要最低限しか用意されていないことも。設備面が不十分であることから、生活しづらく感じることがあるでしょう。
築年数が古くても大丈夫!アパート・マンションの賢い物件の選び方
内装や外観のきれいさ、充実した設備など築年数が新しい物件ほどメリットも多く感じられますが、選び方によっては築年数が古くても住み心地の良い物件に巡りあえます。では、築年数が古くても快適に暮らせるアパート・マンションの選び方について解説しましょう。
部屋のメンテナンス体制を知る
内見時は室内の見た目に目を奪われがちですが、築古物件を選ぶ上で大切なことは部屋のメンテナンスがきちんとされているかどうかという点です。室内の四隅が汚れていないか、水回りが綺麗に掃除されているか、壁やドアの傷が放置されていないかなど、細部に渡ってチェックしましょう。
仮にメンテナンスが行き届いていない物件だと、設備の不具合やクロスの剥がれ、床のゆがみやきしみがおきやすいです。メンテナンスが行き届いていれば、築古物件でも快適に暮らすことができます。
共用部の管理がきちんとできているか見る
エントランスや郵便受けなどの共用部分もチェック必須です。経年劣化していても、きちんと掃除されていれば管理が行き届いている証拠になります。築年数に関わらず、共用部分の管理が行き届いていない物件は選ばないのがベター。ポストにチラシが散乱している、またゴミが放置されている物件は管理が不十分なので注意しましょう。
旧耐震でも耐震補強が済んでいるか見る
もしも旧耐震基準の物件(築40年以上が目安)に住みたいなら、耐震補強が済んでいるかを不動産会社に確認しましょう。大地震が起きたとき、建物が倒壊してしまっては命の危険につながるからです。物件によっては1階部分しか耐震補強をしていないケースもあるので、どこからどこまで耐震補強をしたか具体的に質問できれば良いでしょう。
築年数何年が狙い目?項目別に見る物件の選び方
物件の良し悪しは築年数だけで判断できないものの、部屋探しで“何を重視するか”によって目安にすべき築年数があります。築年数何年の物件が狙い目なのか、設備・家賃・耐震性それぞれに見る物件の選び方を紹介します。
設備を重視するなら築10年未満
築年数の浅い物件は、IHコンロや宅配ボックス、モニター付きインターホンなどの設備面が整っている物件が多いです。設備が充実した物件を選ぶなら、築10年未満の物件を選ぶと良いでしょう。
家賃を重視するなら築30〜40年
一般的に、築年数が古くなるにつれ建物や設備が劣化するため、築古物件は家賃が安くなる傾向にあります。築30年以上の物件ともなると、新築の家賃相場に比べ3割以上家賃が安いケースもあります。新耐震基準であることを考えると、家賃を重視するなら築30〜40年の物件が狙い目と言えるでしょう。
耐震性を重視するなら築20年以内(木造)
耐震性を重視したいなら、木造の場合は築20年以内がおすすめです。築20年以内の物件は2000年基準を満たしている可能性が高く、地震に強い目安となります。また、鉄骨造や鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造の物件を選ぶ場合は築40年以内の物件(新耐震基準)が狙い目です。
築年数の古い物件でも狙い目物件は多い
メリットだけを考えれば築年数が新しいに越したことはありませんが、選び方によって築年数が古くても快適に暮らせる物件はあります。ただし、アパートとマンションでは法定耐用年数が異なるほか、築年数によって耐震基準に違いもあるため、建物の寿命が気になる人は築年数を目安にするのも一つの方法です。あえて築年数の古い物件を選ぶなら、耐震補強がされているかどうか、また管理が行き届いているかどうかをチェックしましょう。