物件の購入に役立つ!建ぺい率や容積率とは?
不動産投資を始めるために物件情報を確認したり、新しく建てる家の規模を考えたりしていると、「建ぺい率」や「容積率」といった言葉を耳にします。
意味を何となく理解していても、詳細まであまり知らないという方も多いでしょう。
今回は、建ぺい率や容積率の概要やその緩和について確認します。
不動産の建ぺい率や容積率とは何か
家を建てるためには、相応の土地が必要ですが、土地の広さに対して自由に建物の規模を決めて良いかというと、実はそうではありません。
施主だけでなく、周辺住民の快適性を損ねないためにも一定の規制が設けられています。その規制の代表例が「建ぺい率」と「容積率」です。
それぞれの内容について確認しましょう。
建ぺい率とは敷地面積に対する建築面積の割合を指す
建ぺい率をひと言で説明すると、「敷地面積(建物を建てる土地部分)に対する建築面積(建物を上から見た部分)の割合」のことを指します。
建ぺい率は、風通しや防災のための規制基準とされています。土地があると、なるべく無駄なスペースをつくることなく、建物を建てたいと考える方も多いでしょう。
ただ、建ぺい率が高すぎる建物は、風通しや防災の観点からあまり望ましくないとされています。
地震が発生した場合や建物内で火災が生じた場合、敷地にゆとりがないと、避難経路が確保できず、最悪の結果を招く可能性があります。
また、敷地に余裕がないと通気性が悪くなり、シロアリやダニが発生しやすくなります。
そこで、土地のスペースに余裕をもって建物を建築してもらうために、建築基準法では建ぺい率に制限がかかっています。
建ぺい率の制限については、建物の所在地の自治体により用途地域別に定められています。
用途地域とは、その土地がどのような利用を目的としているかを意味しており、住宅地域や商業地域、工業地域などをはじめとした、13の地域に分かれています。
用途地域との組み合わせによって、建ぺい率の上限は30~80%の間で定められています。
建ぺい率の具体的な計算方法は、以下の通りです。
建ぺい率(%)=建築面積÷敷地面積×100 |
たとえば、敷地面積が100平米の場所に60平米の建物を建てた場合、建ぺい率60%ということになります。
防災に関する知識については、こちらの記事もご覧ください。
容積率とは敷地面積に対する延床面積の割合
容積率をひと言で説明すると、「敷地面積に対する延床面積の割合」となります。
建ぺい率が平面的な広さを制限するものである一方、容積率は3次元的な制限を設けるものとされています。
容積率の算出方法は、以下の通りです。
容積率(%)=延床面積÷敷地面積×100 |
延床面積とは、建物の床面積の合計のことで、2階建ての建物であれば1階部分と2階部分の床面積を足したものになります。
これを踏まえると、容積率は「土地に対して何階建ての建物を建てられるか」の指針になるといえます。
防災の側面から重視される建ぺい率とは異なり、容積率は人口制限のために一定の規制が定められています。
たとえば、インフラ設備の整っていない地域に、階層の高い建物ばかりが立って人口が増加すると、処理能力が追い付かず街として立ち行かなくなってしまいます。
そこで、容積率に関する制限を設けることで、ある程度建物のスケールを管理し、人口をコントロールしているのです。
容積率も、建ぺい率と同様、用途地域ごとに指定されています。上限は、50~500%の間で定められています。
建ぺい率・容積率の緩和について
建ぺい率や容積率については、上記の通り地域ごとに上限が定められています。しかし、一定の条件を満たすことで、その上限が緩和されます。
こちらでは、建ぺい率や容積率の緩和について確認します。
建ぺい率の緩和について
建ぺい率については、耐火建築物・準耐火建築物等・角地などが緩和の対象となっています。
- 建ぺい率の上限が80%とされている地域以外で、防火地域内にある耐火建築物
- 耐火建築物・準耐火建築物、準耐火建築物と同等以上の延焼防止性能を有する建築物
- 特定行政庁が指定する角地
具体的には、上記3つのどれかに該当する場合は、建ぺい率に10%の余裕を加えることができます。
1と3もしくは2と3の2つに該当する場合は、20%を加えることができます。
より詳細な内容については、以下の国土交通省の発表をご覧ください。
国土交通省:「建築基準法の一部を改正する法律案」の概要
また、建ぺい率が80%とされている地域において、防火地域内にある耐火建築物や公園、広場、道路などの内側にある建築物で安全上・防火上・衛生上支障がない建物には、建ぺい率の制限がなくなります。
この規定については、2016年に発生し糸魚川市の大規模火災によって見直されました。今後もこういった災害があるたびに見直されることもあるでしょう。
容積率の緩和について
容積率については、地下室や車庫・駐車場などが緩和の対象となっています。
具体的には、地下室や車庫、駐車場などは延床面積に含めたうえで、一定の面積を算入しない緩和措置が取られています。マンションなどでも同様です。
車庫や駐車場の面積は、延べ床面積の5分の1までは不算入とされます。地階における住居用の部分については、建物内の住居用面積の3分の1まで容積率に入れなくても問題ありません。
マンションやアパートなどの共同住宅では、廊下やエントランス、エレベーターホールなどが容積率の制限から除外されます。
建ぺい率や容積率の注意点
ここまで建ぺい率や容積率の内容について確認してきましたが、これは不動産投資家にとってとても重要な内容です。
建築基準法で定められた建ぺい率や容積率は、それを上回ると違法建築物と評価され、金融機関から融資を受けられなくなる可能性があります。
新しく家を建てる場合も、中古物件を購入する場合も、建ぺい率や容積率に注意しましょう。
まとめ
建ぺい率や容積率は、快適なまちづくりのために欠かせない指標です。オーバーすると金融機関からの融資を受けられなくなる可能性があります。
法律内で最大限魅力的な物件を探し、何も心配することなく不動産投資を行いましょう。
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