最大9カ月分の家賃が支給される「住居確保給付金」とは?

2020年5月現在、新型コロナウイルス感染症の影響で世界中の経済に大きな影響が出ています。自宅の家賃が支払えない、毎日の生活費に困窮している方も少なくありません。

今回は、先日支給要件が緩和された「住居確保給付金」についてご紹介します。生活に困窮し家賃の支払いに頭を悩ませている方は、支給要件を満たすか一度確認してみてください。

「住居確保給付金」とは?

新型コロナウイルス感染症の影響により、家賃支払いに関する公的な支援制度である「住居確保給付金」に注目が集まっています。

この制度は、「生活困窮者自立支援法」に基づいて制定されたもので、2015年尾リーマンショックをきっかけに創設されました。

住居確保給付金制度を担う厚生労働省は、この制度の目的を下記のように説明しています。

 

離職等により経済的に困窮し、住居を失った又はそのおそれがある者に対し、住居確保給付金を支給することにより、安定した住居の確保と就労自立を図る。
 

※参照:厚生労働省「住居確保給付金について」

 

住居確保給付金をひと言で説明すると、個人の責任ではない理由で離職や経済的な困窮に陥った方を対象に、支払えなくなった家賃の補助を行う制度となるでしょう。

この制度を設けることで、就労していた方や就労の意思がある方への支援を行い、生活保護受給者となることを防ぐといった役割も期待されています。

「住居確保給付金」の給付を受けるための要件

新型コロナウイルス感染症の流行を機に、このような制度が創出されたものの、もちろん誰でも給付を受けられるわけではありません。

こちらでは、住居確保給付金の給付を受けるための要件を、「支給対象者」と「支給要件」に分けてご紹介します。

「住居確保給付金」の支給対象者

厚生労働省の定める住居確保給付金の支給対象者は、以下に当てはまる方です。

 

  • 申請日において離職後2年以内、または給与等が減少し同程度の状況にある方
  • 離職等の前に世帯の生計を主として維持していたこと
  • 国の雇用施策による給付等を受けていないこと

 

制度の制定当初は、「離職者のみを対象」としており、「65歳未満」の年齢要件や、「ハローワークでの求職活動要件」などが設けられていました。

ただ、離職者のみを対象としている点は、新型コロナウイルス感染症など個人に責任がなく給与等が減少した方を救済できないことが懸念され、改正に至りました。

具体的には、会社の休業や子どもの休校によって仕事ができず、収入が減少した方などがあてはまります。

 

また、ハローワークでの求職要件は、密閉・密集・密接のいわゆる「三密」を避けることが推奨されているなかで、ハローワークへ人が集まる事態を招きかねないと、制定当初から懸念が示されていました。

そこで、2020年4月30日、ハロワークでの求職要件が撤廃され、給付対象が大きく拡充されました。

この改正により、ハロワークに出向くことなく給付を受けることができるようになっただけでなく、本来ハロワークに行くことのないフリーランスや自営業の方も給付対象となりました。

 

また、65歳未満という年齢制限も撤廃されました。これは、高齢化社会が進む日本において、65歳を超えても働き続けている方は珍しくなく、そういった方も新型コロナウイルス感染症の影響を受けていることから改正の運びとなりました。

さらに、これまではすでに収入が下がっている方、具体的には「申請月の世帯収入の合計額が、基準額+家賃額以下であること」が対象とされていました。

ただし、4月1日にこの要件が緩和され、申請月以降であっても収入額が上記金額を下回ることを証明できれば、給付対象となることとなりました。制度制定後に休業等を決めた会社も少なくなかったための措置です。

 

最後に注意しておきたいのは、要件を満たしていても給付を受けられない可能性があるということです。それが「国の雇用施策による給付等」を受けているケースです。

具体的には、ハローワークに通う方が受ける「職業訓練受講給付金」を指しており、この給付を受けている場合は住居確保給付金の対象とはなりません。また、自治体ごとに実施している家賃の支援策制度を利用している方も同様です。

ちなみに、「給与等が減少し同程度の状況」については、家賃滞納等の事実がなくても制度の利用は可能です。

「住居確保給付金」の支給要件

次は、住居確保給付金の支給要件についてです。一部すでに触れた部分もありますが、以下でご紹介します。

 

  1. 収入要件:申請月の世帯収入合計額が、基準額(市町村民税均等割が非課税となる収入額の1/12)+家賃額以下であること。家賃額は、住宅扶助特別基準額が上限。
  2. 資産要件:申請時の世帯の預貯金合計額が、基準額×6(ただし100万円を超えない額)以下であること。
  3. 就職活動要件:ハローワークでの月2回以上の職業相談、自治体での月4回以上の面接支援等

 

基準額等細かい計算については、厚生労働省のHPなどと照らし合わせて、ご自身が給付対象者かどうか確認しましょう。一例として、東京都1級地にお住まいの場合の①②の金額についてご紹介します。

 

① 単身世帯:13.8万円、2人世帯:19.4万円、3人世帯:24.1万円

② 単身世帯:50.4万円、2人世帯:78万円、3人世帯:100万円

 

3つ目の就職活動要件については、4月1日以降緩和されています。本来の要件としては、「ハローワークでの月2回以上の職業相談、自治体での月4回以上の面接支援等」が必要でした。

ただ、前述の通り「三密」などの事態を招きかねないため緩和となりました。具体的には、各自治体が認めた場合は電話等での対応も可能となりました。また、回数の減免なども自治体の判断で行えるように定められました。

支給額と支給期間

必要な支援を必要な方に行き渡らせるためには、支給額や支給期間に関する定めが必要不可欠です。この点について、厚生労働省は以下の通り定めています。

 

  • 支給額:賃貸住宅の家賃額(上限は住宅扶助特別基準額)
  • 支給期間:原則3か月(就職活動を誠実に行っている場合は3か月延長可能(最長9か月まで))

 

支給は原則3か月間ですが、就職活動を誠実に行っていると判断された場合は、最長9か月まで延長できます。

また、支給方法は受給対象に支払われるのではなく、家賃の支払先つまり大家さんの口座に振り込まれることになります。

給付までの期間

こういった制度を設けるうえで重要となるのが、申請から給付までのスピード感です。とくに、新型コロナウイルス感染症の影響よる経済への影響は深刻なものとなっており、来月の家賃が払えないという方も大勢いるためです。

住居確保給付金の給付は、以下のようなフローで行われます。

 

  1. 申請者から全国の生活困窮者自立相談支援機関への相談・申請
  2. 当該生活困窮者自立相談支援機関から各自治体への申請書等の送付
  3. 各自治体から生活困窮者自立相談支援機関への決定通知
  4. 生活困窮者自立相談支援機関から申請者への決定通知
  5. 各自治体から賃貸人への家賃の代理納付(支給)

 

厚生労働省は、上記1~5までにかかる期間を、「おおむね2週間程度」としています。

まとめ

住居確保給付金制度自体は、以前からあったものの、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて知ったという方も多いでしょう。実際、今回改正された部分も少なくありません。

要件が多少複雑な点や、支給までにある程度の時間がかかるといった点はあるものの、現在困っている方や今後が不安な方は一度相談してみるのがよいでしょう。

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