バランス釜の使い方と注意点

新生活を始めるために物件探しをしていると、物件情報の欄に「バランス釜」記載されているお部屋を見つけることがあります。最近は数も少なくなっているため、見かけることもあまりありませんが、一度目に留まると気になるという方も多いでしょう。そこで今回は、昔ながらの設備であるバランス釜の使い方や使用上の注意点などをご紹介します。

 

バランス釜とは何か

そもそも「バランス釜」とはどんなものなのでしょうか。実際に目にしたことのある方はそれほど多くないでしょう。

バランス釜とは、ガスを使ってお湯を沸かす給湯器のことを指します。少し古めの物件に設置されていることが多く、日本のお風呂文化が銭湯から各家庭の浴槽へと変化し始めた1965年に登場しました。

仕組みは現在のお風呂と多少異なるものの、バランス釜には浴槽やシャワーヘッドがついており、私たちがイメージするお風呂と同じように使用することができます。

”バランス釜”という名前の由来

なぜ「バランス釜」という少し変わった名前なのでしょうか。

バランス釜が登場する以前は、FC釜という設備を使ってお湯を沸かしていました。FC釜は浴室内の空気を燃焼し屋外に排出するタイプで、排気が逆流するケースもあり、浴室内での一酸化炭素中毒事故が後を絶ちませんでした。反対に、バランス釜は外気を取り入れてガスを燃焼するため、一酸化炭素中毒が減ったという背景があります。

ガスを燃焼するために外気を吸い、発生した排気ガスを排出する仕組みがバランスが良いということで「バランス釜」という名前がついたのです。

 

バランス釜を使用するメリット

前述の通り、数は減少しているものの現在もバランス釜を使用しているお部屋は存在します。なぜまだバランス釜を使用し続けているのでしょうか。以下では、バランス釜を使うメリットをご紹介します。

停電時でも使用できる

バランス釜は、普段私たちが使用している浴室内に液晶があり、ボタンひとつで温度設定や給湯・追い炊きを行えるものではありません。また、バランス釜は電気ではなくアルカリ乾電池で動きます。

そのため、停電時でもバランス釜を使用することができます。近年は夏や秋に大型台風が訪れたり、ゲリラ豪雨による停電被害があったりします。緊急時でもお風呂に入れるというのは、肉体的にも精神的にも安心できる材料になるでしょう。

家賃の安い物件が多い

バランス釜を設置しているお部屋は、家賃が周辺の似た間取りの物件より安い傾向にあります。前述の通り、バランス釜は1965年に登場した設備であり、今もバランス釜が残っている物件はそれなりの築年数を重ねているものと考えられます。そのため、必然的に家賃が安くなるのです。

最近はリフォームやリノベーション後に貸し出す物件も多いようですが、一般的な給湯器ではなくバランス釜を設置しているということは、少なくとも大掛かりなリフォームはしていないと考えられるでしょう。

シャワーだけの使用も可能

「年中通してほとんどシャワーだけの生活だけど、たまにお風呂に浸かりたくなる」という方も多いのではないでしょうか。最近、都市部ではシャワールームのみがついた物件も増えていますし、ユニットバスはひとり暮らしの定番の間取りです。しかし、これらのお部屋ではなかなかお風呂に浸かることは難しいでしょう。

一方、バランス釜は課金4タイプがあります。

  • 追い炊き+給湯+シャワー+浴室外給湯
  • 追い炊き+給湯+シャワー
  • 追い炊き+給湯
  • 追い炊きのみ

シャワーと給湯機能のついたバランス釜を選択すれば、シャワーもお風呂も楽しめるようになります。「家賃を抑えつつお風呂に浸かれる物件に住みたい」という方に適しているかもしれません。

 

バランス釜を使用するデメリット

バランス釜を使用している物件は、確かにまだ存在しますが、その数は多くありません。実際、見かけたこともないという方がほとんどではないでしょうか。それは、バランス釜があまり便利とはいえないからかもしれません。以下ではバランス釜を使用するデメリットをご紹介します。

水圧が低くなりがち

バランス釜を利用する最大のデメリットは、内部に搭載されているバーナーの容量が小さく、水圧が低くなりがちになってしまう点です。水圧が低いと。シャワー搭載のものを使用してもお湯の量が少なくなってしまいます。寒い冬などは、温まるまでに時間がかかってしまうかもしれません。

水圧が低いのは、シャワーだけでなく蛇口からも同様です。そのため、蛇口から浴槽にお風呂を貯めるにも時間がかかるでしょう。「今すぐお風呂に入りたい」というのはなかなか難しいかもしれません。

設置できる浴槽が小さくなる

バランス釜は、ホースやシャワーを浴槽に伸ばさなければならないため、浴室内に設置されます。現在の給湯器がバランス釜に置き換わったと考えてください。バランス釜は、幅が25〜30センチほどあるため、浴室がその分狭くなってしまいます。浴槽と隣接させている分、浴槽の大きさも限られるでしょう。

ガス代がかかる

バランス釜は、ガスを使用してお湯を沸かすため、当然ガス代がかかります。ただし、追い焚き機能つきのものを使用すれば水道代が節約できるため、総合的な費用が高くなるかどうかは使い方次第です。

掃除がしにくい

バランス釜は、浴室の床に浴槽と給湯器を設置します。そのため、どうしても床や壁との間に隙間が生まれてしまい、そこに湿気がたまりやすいという特徴があります。重点的に掃除をしたいところですが、掃除がしにくいため、清潔な状態を保ちにくいのも欠点のひとつでしょう。

 

バランス釜の使い方

バランス釜は初めて見るという方も多いでしょう。最初は使い方が分からない可能性もあるため、ここでは基本的な使用方法をご紹介します。ただし、給湯器のメーカーによって使用方法が異なるケースがあるため、必ず事前に説明書等を確認しましょう。

  1. 浴槽に水をためる
  2. ガスの元栓を開ける
  3. つまみを回して点火する
  4. 給湯、シャワーを選択する

これで完了です。メーカーや使用年数・季節によっても異なりますが、20〜40分程度でお湯が沸きます。

 

バランス釜の注意点

バランス釜は、一般的な給湯器と使用方法が異なるため、注意点を理解しておく必要があります。

空焚き

水を張っていない状態で追い焚きを使用すると、「空焚き」という状態になり、バランス釜に大きな負担をかけ、時には故障する可能性もあります。具体的には、空焚きによって以下のような症状が出ます。

  • バランス釜内部が熱で変形する
  • 排水管が焦げる

故障した場合は取り替えや修理が必要です。交換となると10万円以上かかるケースも珍しくないため、気をつけて使用しましょう。

定期的な点検を依頼する

バランス釜の耐用年数は10〜15年ほどといわれています。この期間を越えると、正しい使い方をしていても、劣化が原因となって事故や故障する可能性が高まります。それを防ぐためには、定期的な点検を依頼しましょう。

また、まだ設置してから時間の経っていないものでも、下記のような症状が出た場合はすぐに点検を依頼してください。

  • 点火できない
  • 追い焚きの音が大きい
  • 追い焚きにかかる時間が長くなった
  • ガスの臭いがする

 

まとめ

バランス釜を設置している物件は減っていますが、家賃が安いなどの理由から依然として一定の需要があります。しかし、一般的な給湯器とは多少使用方法が異なるため、注意して使用しないと思わぬ事故に繋がる可能性があります。バランス釜つきの物件を選んだ場合は、慎重に活用してください。

 

 

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