賃貸の更新料(契約更新料)ってなに?[保証会社と家財保険の更新も強制?値下げや分割交渉はできる?支払わなかったらどうなるの?]
新年の1月~3月は引っ越しシーズンと言われ、多くの方が転居します。そして、その時期に賃貸物件を契約する方が多いということは、数年後に物件の「更新」手続きを行う方も多いということです。そこで今回は、賃貸物件の更新について、特に「更新料」の話をメインにご紹介します。
そもそも賃貸の更新とは?
賃貸物件を契約する際、貸主である大家さん(もしくは不動産管理会社)と借主であるみなさんとの間では、賃貸借契約が交わされているはずです。
そして、その賃貸借契約書には一定の期間が定められています。
更新手続きとは、一定の期間が終了した後、さらに契約期間を伸ばす手続きを指します。
例えば2年の賃貸借契約を結んだ場合、更新手続きをすることでさらに2年住むことができるようになります。
「まだここに住みたい」という借主の思いと、「まだここに住んで欲しい」という貸主の思いが更新手続きによって具体化されるということです。
契約の更新期間について、具体的な法律等はありませんが、一般的には2年に1度更新手続きが行なわれます。物件ごとの更新期間については、賃貸借契約時に受け取っている賃貸借契約書に書かれているので、ぜひご確認ください。
更新の際には「更新料」が発生することも
賃貸の更新の際は、「更新料」が発生することもあり、その相場は家賃1ヶ月分です。こちらも契約書に具体的な金額が明記されています。
更新料という言葉を聞いてすぐに納得できる方と、「なにそれ?」と思っている方がいるでしょう。
それもそのはずで、更新料は法的に定められたものではないため、地域によっては請求されないところもあるのです。風習と言い換えてもいいかもしれません。
平成19年に行われた、国土交通省による「民間賃貸住宅に係る実態調査」では、更新料の徴収率が関東で特に高いことが分かりました。
神奈川県では、実に90%以上の賃貸物件で、更新料を徴収しているようです。
一方で、東北や北海道・宮城・大阪・福岡などでは、いずれも更新料を徴収している物件の割合が30%を下回っており、地域差が如実に表れています。
更新料を支払わなかったら?
「法律上の根拠がないなら、更新料を支払わなくても住み続けられるの?」と思う方もいるかもしれません。
確かに、更新料について定めた法律はなく法的には支払い義務は発生しません。
しかし多くの場合、事前に結んでいる賃貸借契約書に更新料に関する記載があり、その契約書にサインしてしまっているでしょう。
そのため、その物件に住み続けるのであれば、更新料の支払いは免れないと考えてください。
実際に、過去の最高裁判決でも法外に高すぎるなどの特別な事情がなければ、更新料の請求は有効という判断が下されています。
更新料の分割払いはできる?
更新料の相場は家賃1ヶ月分とはいえ、物件や地域によって差がありますし、学生さんなどにとっては1ヶ月分でも大きな負担になるでしょう。
まず大前提として、更新料の負担があるかどうかは物件を契約した際の賃貸借契約書に記載されています。つまり、物件に住み始めたときから、2年後に更新料の請求をされるか否かが分かっているということです。
そのため、基本は2年後を見越して毎月コツコツ更新料を積み立てておく・貯蓄しておくことをおすすめします。
例えば、家賃6万円、2年更新、更新料は家賃1ヶ月分の物件を借りていると想定してみます。
その場合、「6万円÷24ヶ月=2,500円」となり、毎月2,500円ずつ貯めればいいことになります。
この金額であればできそうな気がしてきませんか?
しかし、更新の通知が来てから更新料が必要なことを知ったという方や、そもそも更新手続きの存在を知らなかったという方もいます。
その場合、更新料を「分割払い」にしたいと思う人もいるのではないでしょうか。
更新料の分割払いについても、特段法律に規定はありません。
そのため、分割払いを認めてもらえるかどうかは貸主である大家さん次第ということになります。
交渉する際は、一括払いは難しいこと、しかし支払いの意思があることをしっかりと伝えましょう。
1番やってはいけないのは、無断で更新料を滞納することです。
インターネット上には、「更新料を支払わない方法」などがはびこっていますが、どの方法もおすすめできません。
確かに、法律は借主に有利になるよう作られているので、いきなり退去させられるということはないかもしれませんが、ブラックリストに登録され今後物件を借りづらくなる可能性もあります。
まずは大家さんに連絡をして、今の状況を伝えましょう。
更新時に必要な費用
更新時に必要な費用は、更新料だけではありません。あらかじめ積み立てておく場合は以下の費用も考慮に入れておきましょう。
・更新料(家賃1ヶ月分程度)
・更新手数料(不動産管理会社へ支払う 0.5ヶ月分程度)
・火災保険料(1,2万円程度)
・家財保険料
・家賃保証料
これらを合わせると、家賃6万円の物件に住んでいる場合でも更新の際には10万以上必要になるかもしれません。
ただし、大家さんと直接契約している場合は更新手数料が発生しないこともありますし、家賃保証会社を利用せず、連帯保証人をつけている場合は家賃保証料は発生しません。
上記を踏まえて更新の際に届く通知を見てみてください。法外に高すぎるなど、不明点がある場合は、すぐに明細を問い合わせるなどしましょう。
保証会社や家財保険の更新も強制?
物件の更新手続きの通知と一緒に、家賃保証会社の利用更新や家財保険の更新通知が届くことも多いです。
中には、「家には住み続けたいけど、保証会社や家財保険は更新したくない」という方もいるかもしれません。
しかし、同じ物件に住み続ける場合、基本的に従前通りの契約で更新することを求められるので、保証会社や家財保険の更新も一緒に行わなければならないものと考えてください。
ただし、例えば以前は連帯保証人をつけることができず家賃保証会社を利用したが、今は連帯保証人をつけることができる場合は保証会社との更新が不要になることもあります。
同様に、家財保険についても自分で別の家財保険会社と契約し、保険証券のコピーを送付することを約束すれば、家財保険の更新を断れる場合もあります。
上記のような方法を取ることができるか、まずは不動産管理会社に連絡してみましょう。
更新内容も確認しておこう
費用の話とは少しずれますが、賃貸物件を更新する際は更新内容もしっかりと確認しておきましょう。
基本的には、従前と同じ契約を結ぶケースが多いですが、場合によっては家賃や契約内容が変わっていることもありおます。
例えば、「社会情勢の極端な変動による不動産価格の変化(リーマンショックなど)」「近隣の物件との家賃相場のずれの解消」などが挙げられます。
家賃が安くなる分には問題ないですが、知らないうちに家賃が高くなっていたなんてことがないように、更新内容も確認する癖をつけましょう。
更新せずに退去する場合
更新料を支払いたくないから、更新のタイミングで引っ越すという人も多いです。
更新せずに退去する場合は、最低でも退去の1ヵ月前に連絡しましょう。
残りの家賃については、丸々1ヵ月請求されることもありますが、日割り計算してくれる場合が多いようです。
その辺りも、退去の連絡をする際にしっかりと尋ねておきましょう。
更新手続きは抜かりなく行おう!
今住んでいる物件に住み続けるのであれば、更新手続きは必要です。
今回の記事を参考に、抜かりなく更新手続きを行いましょう。