賃貸物件で楽器を練習する際の注意点
みなさんは、自宅でのストレス発散や趣味でどんなことをしますか?新型コロナウイルスの影響で、出勤停止や休校になってしまい、時間を持て余している方も多いでしょう。そんなときは、自宅で楽器を練習する方もいるのではないでしょうか。しかし、賃貸物件に住んでいると、本当に演奏して大丈夫なのか心配になるものです。今回は、賃貸物件で楽器を練習する際の注意点をご紹介します。
賃貸物件での楽器演奏の基本ルール
まず、現在賃貸物件に住んでいる方や、今後持ち家から賃貸物件に引っ越す学生さんなどは、賃貸物件での楽器演奏の基本ルールを理解しておきましょう。近隣住民との無用なトラブルを防ぐためには、必要な知識です。
賃貸物件には、楽器演奏に関するさまざまなルールが定められており、すべての部屋で自由に楽器の演奏ができるわけではありません。基本的に楽器の演奏をしても良いとされているのは、物件情報や規約に「楽器可」「楽器相談可」などの記載がある物件のみです。「楽器不可」と表示されている物件や、何も記載のない物件では、楽器の演奏はできないと考えておくのが無難です。
ヘッドホンをつければ良いわけではない
楽器不可の物件であっても、ヘッドホンをつければ問題ないと感じる方もいるでしょう。実際、電子ピアノやエレキギターなどは、ヘッドホンによって外部に音が漏れるのを防ぐことができます。
しかし、楽器演奏以外の音がトラブルを招く可能性があるため、一般的にはヘッドホンをつけた状態での演奏も禁止されています。たとえば、電子ピアノであれば鍵盤を叩く音やペダルを踏む音などが騒音トラブルの原因になります。演奏者はヘッドホンをしているため、これらの音になかなか気づきません。
無断での楽器演奏はさまざまなトラブルを招く
賃貸物件に住んでいる方のなかには、許可されていない物件でも、無断で楽器演奏をしている方が多いのも実情です。しかし、楽器演奏が許可されていない物件でこのような状態を続けていると、他の住人や大家さん、管理会社から注意を受ける可能性があります。楽器の演奏音は一般的な生活音と比べて大きな音になるケースが多く、騒音トラブルの原因となりやすい傾向にあります。
何度も注意を受け、改善の兆しが見られないようであれば、契約違反を理由として退去を求められる可能性が高まります。また、楽器の演奏によって壁や床が傷ついてしまった場合、退去時に原状回復費用として修繕費を請求されます。楽器演奏による傷や汚れは、通常生活で生じたものとはみなされないため、費用は高額になるでしょう。
賃貸物件でできる防音対策
ここまで説明した通り、賃貸物件での楽器の使用は、楽器演奏が許可されている物件のみで行いましょう。ただ、楽器演奏が許可されているからといって、すべての物件が高い防音性を誇っているわけではありません。想定上の騒音がトラブルの原因となる可能性も否定できません。
ここでは、楽器演奏可の物件で自分でも行える騒音対策をご紹介します。
防音材や吸音材を使用する
もっとも簡単な方法が、市販の防音材や吸音材を使用して騒音対策をする方法です。インターネットやホームセンターなどで購入でき、業者を入れるような大きな工事をする必要がないのも魅力のひとつでしょう。
緩衝材や段ボールを防音材の代わりに使用している方もいますが、断熱効果はあっても、防音効果はそれほど期待できません。
防音材や吸音材を設置する際のポイントは、すき間を作らないように壁一面に設置することです。すき間があると、その分音が外に漏れやすくなってしまうため、あらかじめ壁の大きさを測るなどして、必要な防音材の量を計算しておきましょう。予算があまり準備できない方にもおすすめの方法です。
消音器を使用する
次におすすめするのが、消音器を使用する方法です。消音器とは、発生した音を提言する効果のある装置を指します。自動車では「マフラー」が同様の役割を果たしています。楽器には、それぞれ専用の消音器があるため、それらを利用することでかなり音を低減できます。楽器演奏可の物件であれば、音が外に漏れなくなる可能性も十分考えられます。
ただ、抵抗をつけて消音効果を生み出すため、演奏時に違和感を覚える可能性もあります。抵抗が強いものほど効果が高いと考えてください。
音楽機材の専門店などで販売されていますが、自宅の近くにない場合はインターネット通販を利用すると良いでしょう。
防音室を設置する
もっとも高い効果が見込める方法は、部屋の中に防音室を設けることです。工事を行って新たな部屋をつくるのではなく、外部で組み立てた防音室を居室内にレンタルするため、工事は必要ありません。ただ、賃貸物件に住んでいる以上、大家さんや管理会社への相談は必要です。
また、最大のデメリットは価格面です。上記2つの方法と比較しても費用が高額になるうえ、部屋の大きさごとの価格差も少なくありません。小さな管楽器程度であれば1畳用で足りるかもしれませんが、ギターやピアノなどを練習するにはある程度のスペースが必要です。演奏しようとしている楽器の種類に応じて検討しましょう。
また、楽器によってレンタル期間や搬入費用などが別途必要になる可能性もあります。契約前に入念な確認を行いましょう。
楽器演奏可の物件を探す方法
そもそも「楽器演奏可」の物件があることを知らないため、何も考えず物件を探している方もいるかもしれません。賃貸物件で楽器を演奏したいと考えているなら、物件を探す段階から「楽器演奏可の物件を探している」旨を不動産会社へ伝えましょう。
また、前述の通り、楽器の演奏が許されている物件であっても、防音対策が完璧とは限りません。そのため、可能であれば「楽器相談可」ではなく「楽器可」の物件を探したほうが、防音対策が整っている可能性が高いです。
内見時の注意点
楽器演奏可の物件をいくつか見繕ったら、実際に内見を行う必要があります。自分が使用する楽器が搬入できるか、どの部屋で演奏するかなどのチェックをする必要があるためです。ここでは、楽器演奏可の物件を内見する際の注意点をご紹介します。
楽器の種類
楽器演奏可の物件であっても、演奏して良い楽器を限定している場合があります。たとえば、ドラムやエレキギターなどは音が響きやすく、禁止されているケースもあります。自分が練習するつもりの楽器が含まれているか、契約前に確認しましょう。
演奏しても良い時間帯
楽器演奏可の物件であっても、24時間演奏して良いとしている物件は少ないのが現状です。時間を守らないと契約違反にあたるため、演奏しても良い時間帯についてあらかじめ尋ねましょう。
フローリングの防音性
窓や壁の防音性について気にする方は多いものの、フローリングの防音性を意識していない方は少なくありません。フローリングに柔らかさを感じたら、クッションフロアが採用されており、一般的なフローリングより高い防音性を誇ります。
音の反響
部屋の中央に立って手を何度が叩いてみましょう。音がはね返ってくるようであれば、壁が音をはね返しているため防音性が高いといえます。一方、音の反響が少ない場合は、壁の向こうへ音が抜けている可能性があるため注意しましょう。
まとめ
賃貸物件の楽器演奏は、一歩間違えると近隣住民の迷惑となり、最悪の場合は契約違反として退去させられるかもしれません。そのため、楽器を演奏したいと考えている方は、楽器演奏可の物件を探すのはもちろんのこと、演奏時間や使用する機材にも気を配る必要があります。周りに迷惑をかけることなく音楽を楽しみましょう。