楽器可&楽器相談可の賃貸物件とは?探し方と注意点解説

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 楽器を演奏したい人、またライブ配信などをしたい人にとって、楽器可または相談可の賃貸物件は魅力的です。とはいえ、賃貸市場でも楽器可または相談可の物件は多くありません。そもそも、楽器可物件とはどんな特徴があり、どんな楽器がOKとなるのでしょうか?今回は、楽器可または楽器相談可の賃貸物件の特徴や探し方のコツ、注意点について解説します。

楽器可&相談可の賃貸物件とは

 一般的な賃貸物件は、楽器による大きな音に耐えうる防音性を持っていません。一方、楽器可の賃貸物件は防音性が高く室内でも演奏を楽しめるように建築(またはリフォーム、再募集)された物件です。優れた防音性から、近隣住民とのトラブルが起きにくいとされています。

 とはいえ、楽器可物件でも演奏時に条件がついてるケースは多いです。たとえば、電子楽器の場合はヘッドフォンを装着して周囲への騒音に配慮する、消音器を付けて演奏するといった条件や、演奏できる時間帯が指定されていることも珍しくありません。いくら楽器可物件といっても、すべての住民が楽器を演奏するとは限らないからです。

★楽器可物件だと思って入居したら結局条件に縛られて演奏できない、という後悔の声も耳にするので申込時には条件をよく確認しましょう。

楽器可&相談可の賃貸物件はどんな楽器がOKなのか?

 楽器といってもさまざまな種類があり、音の響きや大きさは楽器ごとに異なります。また、楽器のサイズによって物件内に搬入できないこともあるでしょう。実際、楽器可物件でもピアノやドラムが演奏できる物件を探すのは困難です。

 ピアノの場合、サイズが大きくペダル操作による階下への騒音が懸念されます。ドラムにおいても、バスドラムのペダル操作による騒音や床へのダメージが懸念されます。仮にこれらの問題が解消できたとしても、重量があると建物本来の耐久性を維持できないこともあるでしょう。

★騒音対策として電子ピアノや電子ドラムであれば入居できる場合もあります。またギターならサイレントピックの使用、トランペットやサックスのような管楽器ならミュートを使うなど、音を小さくする工夫も必要でしょう。くわしくは不動産会社へご確認ください。

楽器可と楽器相談可の違いとは?

 楽器可物件のなかには、楽器相談可物件と呼ばれるものもあります。大きな違いは建物の防音性能です。

楽器可物件の特徴

 楽器可物件は、楽器の演奏を想定して建てられた物件なので、部屋はもちろん建物自体が防音性に優れた構造をしています。この防音性によって楽器可物件は「防音物件」と「遮音物件」に区分されているのも大きな特徴です。

【防音物件】

  • 完全防音の設備が備わっているなど、楽器演奏を前提に建築されている
  • 時間問わず演奏できる物件が多い
  • 特殊な設備のため家賃が高め

【遮音物件】

  • 防音性が高く外に音がもれにくい設備が整っている
  • とはいえ防音性能は完全防音には劣る
  • 演奏できる時間や楽器の種類に制限がある物件もある

楽器相談可物件の特徴

 楽器相談可物件は、一般的な賃貸物件とほぼ変わらない構造となっていることが多く、防音壁になっていないなど防音性に欠けています。というのも、その多くは楽器演奏を想定せず建築したものの、大家さんの好意で楽器演奏が許可されているからです。

 前述の「遮音物件」のように、楽器演奏の際には条件や制限が設けられているケースもあります。

楽器可&楽器相談可の賃貸物件の探し方

 冒頭でも触れたように、楽器可物件や楽器相談可物件は全賃貸物件のなかでもごくわずかです。希望エリアでは見つからない可能性がある、ということを念頭に置いて部屋探しすることをおすすめします。

 そのうえで、楽器可または楽器相談可の賃貸物件を探すポイントをいくつかご紹介しましょう。

音楽大学の近くで部屋探しをする

 音大生が集まるエリアには楽器可物件や楽器相談可物件が多いです。なにより、エリア一帯が音楽を受け入れている傾向もあることから、理想の楽器可物件が見つかる可能性があります。

ライブハウスやスタジオの近くで部屋探しをする

 音楽活動が盛んなエリアは、地域全体が音楽を受け入れてくれる傾向にあります。実際にライブハウスやスタジオ、生演奏ができるバーなどが多い地域は楽器可物件や楽器相談可物件も多いです。

不動産会社に相談する

 ポータルサイトで誰でも簡単に部屋探しをすることができますが、ポータルサイト上では必要な情報が不足していたり、ポータルサイトに掲載されていない物件が存在していたりするのも事実です。個人で部屋探しをするよりも、不動産会社に相談した上で部屋探しをするほうがよほど効率が良いでしょう。どの楽器を持ち込むか、何時に演奏するかなどの事前情報を提示しておくと物件紹介もスムーズです。

物件の建築構造に注目する

 賃貸物件の多くは、木造・鉄骨造(軽量鉄骨造)・鉄筋コンクリート造・鉄筋鉄骨コンクリート造です。実は、構造によって建物そのものの防音性に大きな差があります。

 なかでも木造や鉄骨造は音が外部へ伝わりやすく、防音性能に不安があります。その反面、鉄筋コンクリート造や鉄筋鉄骨コンクリート造の物件は防音性能が高いです。楽器可物件のなかでも特に音がもれにくい物件を選ぶなら建築構造が「RC造(鉄筋コンクリート造)」や「SRC造(鉄筋鉄骨コンクリート造)」と表記されている物件に注目しましょう。

楽器可&相談可の賃貸物件を内見するポイント

 物件情報に「楽器可」「楽器相談可」と記載があっても、いざ生活すると想定外のトラブルも起きやすいものです。必ずしも防音性が高いというわけではないため、内見の際には次の項目をチェックした上で入居を検討すると良いでしょう。

1.音の反響

 演奏したいと考えている部屋の真ん中で手を叩き、大きな音を出すことで部屋全体の防音性を知ることができます。手を叩いた音が返ってくる場合は防音性が高いですが、返ってこない場合は壁の向こうに音が抜けている可能性が高く、注意しなければなりません。

2.壁の防音性能

 演奏したいと考えている部屋の壁を軽く叩くことで、壁の防音性を知ることができます。叩いた感触が軽く、高い音がすれば防音性の低い石膏ボードの可能性が高いです。

★入居後でも防音性に不安を感じたら、遮音シートや吸音シートなどでDIYすることもできます。詳しくは不動産会社に確認しましょう。

3.窓の防音性能

 窓は壁よりも厚みがなく、楽器の音がもれやすいです。窓の防音性能を確認するためにも、部屋の窓を閉めた状態で外から聞こえる音をチェックしましょう。

知っておきたい!楽器可&相談可賃貸物件の注意点・デメリット

 楽器可物件や楽器相談可物件を探す上で、想定外のトラブルに見舞われることも少なくありません。最後に、楽器可・相談可物件を探す上での注意点や住む上でのデメリットについてご紹介します。

楽器可&相談可の賃貸物件は多くない

 すべての賃貸物件に比べると、やはり楽器可・相談可物件の数は多くありません。Yahoo!不動産では、東京23区内の賃貸物件283,746件に対し「楽器相談」の物件は13,263件しか掲載されていません※ また、楽器相談可物件よりも楽器可物件は少ないです。希望条件が多い人にとっては部屋探しも難航するでしょう。

※2023年9月現在

家賃が相場より高い

 楽器可物件や楽器相談可物件は、一般的な賃貸物件に比べて家賃相場がやや高い傾向にあります。特に、24時間演奏できるような賃貸物件だと防音のための建築コストもかかるため、賃料も高くなりがちです。楽器可物件を探す際は、家賃が高くても必要経費だと割り切る覚悟は必要でしょう。 

苦情がゼロとは言い切れない

 いくら楽器可・相談可物件であっても、音がもれてしまえば苦情につながるケースがあります。完全防音でない限り、24時間いつでも好きなときに弾けると思わないほうが無難です。また、万全を期すためにも音が響きやすいフローリングに音を吸収するカーペットを敷いたり、壁が薄い部屋なら防音ボードを取り付けたり、家具の配置を工夫したりすると良いでしょう。

楽器可の賃貸物件を探すなら条件を忘れずにチェック

 ひとくちに楽器可物件といっても、建物の構造やそれぞれに設けられている条件が異なります。入居後のトラブルを未然に防ぐためにも、内見時の防音チェックや各種条件のチェックを忘れないようにしましょう。

元・不動産メディア営業/現・不動産系ライター
岸山 海河 10本
有名不動産メディアSの創刊に関わり、地元〜大手不動産会社の物件広告を担当。2014年より不動産系ライターとして活動しています。引っ越し経験も多く、現在は片田舎に建てたマイホームに在住。部屋探しのワクワク感は今でも大好き!これまでの経験を生かしながら、沢山の人の「暮らし」に寄り添う記事を提供します。 資格:普通自動車、日本化粧品検定1級
元・不動産メディア営業/現・不動産系ライター
岸山 海河 10本
有名不動産メディアSの創刊に関わり、地元〜大手不動産会社の物件広告を担当。2014年より不動産系ライターとして活動しています。引っ越し経験も多く、現在は片田舎に建てたマイホームに在住。部屋探しのワクワク感は今でも大好き!これまでの経験を生かしながら、沢山の人の「暮らし」に寄り添う記事を提供します。 資格:普通自動車、日本化粧品検定1級

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