不動産賃貸のオンライン契約の流れは?来店不要で部屋探しするメリット・デメリット
部屋探しから内見、契約までネットで完結する不動産会社が増えています。来店不要で契約できる点においては大きな魅力も感じますが、具体的な流れを知りたい人や、メリット・デメリットを把握した上で利用したい人も多いはずです。今回は、不動産賃貸のオンライン契約に関する流れや特徴、注意点などをまとめました。
不動産賃貸のオンライン契約とは?解禁の背景と契約までの流れ
不動産賃貸のオンライン契約とは、IT重説(ITを活用した重要事項説明)に加え、電子書面交付によって契約を結ぶことです。また、賃貸契約だけではなく、売買契約においてもオンライン契約ができます。
不動産賃貸のオンライン契約が拡大している背景
かつて賃貸契約を結ぶには、不動産会社に足を運んで物件を紹介してもらい、内見等を経て契約に至るのが一般的でした。ところが近年、部屋探しのスタンダードはポータルサイトが中心となり、誰でもオンラインで物件情報を収集できるようになっています。
さらに、現代はメール・LINEなど連絡ツールも多様化し、スマホなどを利用してオンライン内見できる時代になりました。このような背景を踏まえ、2021年9月にデジタル改革関連法が施行。原則対面としていた重要事項説明の見直しや契約書面のオンライン化が進み、不動産会社もオンライン契約に対応できるようIT化されています。
一方で、すべての不動産会社がオンライン契約に対応しているわけではありません。それ以前に、オンライン契約に馴染みがない人が圧倒的に多いでしょう。そこで次に、オンライン契約の流れについて解説します。
流れ1.オンラインで相談
まずはオンライン接客に対応している不動産会社へコンタクトを取り、ZoomやLINEなどを通してやりとりをします。希望物件が予め決まっている人は、内見可能かを確認。ゼロから部屋探しをする人は、希望条件を伝えて物件をピックアップしてもらいましょう。
流れ2.ビデオチャット等でオンライン内見
オンライン内見では、不動産会社のスタッフが物件に足を運び、実際の部屋の様子をリアルタイムで映してくれます。部屋の広さや雰囲気だけでなく、収納や水回り、部屋以外の共用部など気になる箇所があれば映してもらいましょう。
流れ3.入居申し込み〜審査
オンライン内見で気に入った物件があれば、入居申し込みをします。申し込みや審査もオンライン上でできるため、収入証明書などの必要書類を用意しておきましょう。
流れ4.IT重説を受ける
入居審査をクリアしたら、オンライン上で重要事項説明(IT重説)を受けます。IT重説では、郵送もしくは電子ファイルで送付される資料をもとに宅地建設取引士が対応してくれます。
流れ5.オンライン契約を結ぶ
IT重説を終えたら、賃貸借契約を締結します。オンライン契約に対応した不動産会社なら、IT重説と賃貸借契約を一緒におこなうことが多いため、不動産会社に指定された書類等を準備して契約を進めましょう。
不動産賃貸オンライン契約のメリット・デメリット
今後も増えていく不動産賃貸のオンライン契約。本当に信頼できるのか?トラブルがないのか?など不安に感じている人も多いでしょう。ここで、オンライン契約のメリットやデメリットを口コミとともにご紹介します。
【メリット1】来店不要なので日程調整しやすくコストを抑えられる
不動産会社に足を運ばなくて良いので、忙しくて来店するのが難しい人や、県外から部屋探しをする人、スキマ時間を使って効率よく部屋探ししたい人に大きなメリットがあります。さらに、来店するための交通費も抑えられるのでコストを抑えながら部屋探しが可能です。
【メリット2】契約書を作成する時間や手間を削減できる
店頭で賃貸契約を結ぶには、いくつもの書類にサインや捺印が必要です。一方、オンライン契約なら手書きでサインすることもなく、万が一不備が生じた際もオンライン上で訂正することもできます。不動産会社にとっても入居者にとっても、契約書を作成する時間や手間を大きく省けるのは魅力的なポイントです。
【メリット3】重要書類も管理しやすくなる
賃貸契約の際は、重要事項説明書や賃貸借契約書などの重要書類を受け取ります。入退去の規約など重要な内容が記載されているため、紛失したり破損したりすると大変です。一方、オンライン契約なら電子ファイルで保管できる書類も多く、保管しやすくなります。内容を確認したいときも簡単に閲覧できて便利です。
【デメリット1】通信環境を整えなくてはいけない
部屋探しから契約までオンラインでやり取りする以上、安定した通信環境を整えなくてはいけません。当日になって通信速度が落ちたり、音声が聞き取れなかったりと思わぬトラブルが起こる場合もあります。Wi-Fiを契約していない場合、膨大な通信量で通信費がかさむこともあるでしょう。
また、PCやタブレットがなくてもスマホ一つでオンライン契約は可能ですが、電子書籍が見づらくなるほか、最悪の場合保存容量不足や故障でデータ消失する可能性もあります。
【デメリット2】物件のデメリットが把握しづらい
オンライン内見では、実際に足を運ばなければわからないデメリットに気づきにくいです。たとえば、大きな道路に面している部屋や線路が近くにある部屋は、室内に入り込む騒音が把握しづらいです。
このほかにも、部屋全体のにおいや物件の周辺環境もオンライン内見で把握しづらい項目です。オンライン内見の際は、具体的な質問内容を用意しておくと安心です。
【デメリット3】すべての不動産会社で実施しているわけではない
オンライン内見やIT重説に対応した不動産会社は増えているものの、すべての不動産会社でオンライン契約を実施しているわけではありません。最終的に来店してから契約を結ばなければならないケースもあるため、遠方に住む人や来店する時間が取れない人は“契約までオンライン対応しているか”を必ず確認しましょう。
無店舗型の不動産会社でオンライン契約を結ぶ際の注意点
ここまでは、実店舗を持つ不動産会社によるオンライン契約について解説しましたが、最近では実店舗を持たない不動産会社も増えています。もちろん、部屋探しから契約までオンライン上でやりとりができ、仲介手数料も最大無料になるなどコスト面のメリットも大きいです。
ただし、実店舗を持つ不動産会社にはない無店舗型ならではのデメリットもいくつかあります。無店舗型の不動産会社でオンライン契約を結ぶ際、何に注意すれば良いのでしょうか。
物件は自分で探さなくてはならない
無店舗型の不動産会社の多くは、自社で管理している物件がなく、スーモやアットホームなどのポータルサイトから希望物件をリクエストしてもらう形を取っています。わかりやすく言えば、物件情報を入居者自ら仕入れる形です。基本的に、不動産会社側から物件を提案してもらうこともできません。
物件自体にくわしくない
自社物件を持たない無店舗型の不動産会社は、入居者が希望する物件を“仲介”することができても、物件そのものにくわしいわけではありません。物件のメリット・デメリットすら把握できないまま契約すると、入居後に思わぬトラブルが発覚することもあるでしょう。
内見なしでオンライン契約になるケースも
無店舗型の不動産会社は、人件費を極力削ってオンラインで集客・対応しています。それだけにオンライン内見に対応していない会社も多く、内見なしで契約を結ばなければならないケースもあります。また、内見をしている場合でも現地集合・現地解散での案内になるので、住所を調べる手間がかかったり、交通アクセス、駐車場探しに苦戦したりする場合もあるでしょう。
オンラインで賃貸契約できる不動産会社の選び方
オンラインだけのやりとりだからこそ、信頼できる不動産会社を選びたいものです。そこで、賃貸物件のオンライン契約に適した不動産会社を選ぶポイントについてご紹介します。
周辺の環境や物件事情にくわしい
物件や周辺環境、治安、エリア全体の内情にくわしい不動産会社なら、新生活もイメージしやすく安心です。希望エリアがあるなら、そのエリアで営業している“地域密着型”の不動産会社を選ぶと良いでしょう。
メリットだけでなくデメリットも説明してくれる
部屋選び全体に言えることですが、物件のメリットとデメリットをきちんと伝えてくれる不動産会社が安心です。特に、賃貸物件のオンライン契約は入居するまで部屋に入れるわけではありません。オンライン上で、メリットばかり伝えて契約を促す不動産会社はトラブルの元になるため、避けたほうが無難でしょう。
利用者の口コミ
信頼できる不動産会社かどうかを知るなら、利用者のリアルな口コミも参考になります。特に、Googleの口コミは良い口コミも悪い口コミもそのまま掲載されているので、信頼できる不動産か判断するには十分でしょう。
オンラインで賃貸契約をする際に必要なもの
- 安定した通信環境(Wi-Fi推奨)
- PC(カメラ・マイクがついていること)やタブレットなどのデバイス
- オンライン会議用アプリや内見専用アプリなど
オンラインで賃貸契約がスムーズに!非対面で部屋探しを始めよう
部屋探し、内見、契約までの一連の流れがオンライン1本でできれば、時間もコストも節約できます。今後オンライン契約に対応した不動産会社も増えることが予想されますが、入居後のトラブルを避けるためにもメリット・デメリットの両面で利用を検討しましょう。