賃貸退去の流れと注意点を徹底解説!敷金返還を最大限に受け取るには?
賃貸物件からの退去は、引っ越しと同じようにさまざまな手続きが必要になります。本記事では、退去通知から退去立ち合い、役所への手続きなど賃貸物件の退去の流れを一つずつ解説します。また、敷金の返還は、退去時の清掃状況や原状回復の程度によって金額が大きく変わります。敷金返還を最大限受け取りたいという方も、ぜひ本記事を参考にしてください。
賃貸物件を退去する流れ

賃貸物件を退去する際、一般的には以下の流れで手続きが進みます。
- 退去通知
- 賃貸物件の解約通知の送付
- 退去立会い日の相談
- ライフラインや火災保険等の解約
- 郵便物の転送手続き
- 役所へ転出届を提出
- 清掃・不用品の処分
- 引っ越し
- 退去立合い
- 敷金清算
これほどの項目を見ると煩わしさを感じるかもしれませんが、手続きのし忘れで困ることがないよう、一つずつ確認していきましょう。
①退去通知
まずは、賃貸借契約書に記載されている期日までに、管理会社または貸主(大家さん)に退去の意思を通知します。通常は1ヶ月前までに通知する必要がありますが、契約内容によって異なるため、契約書をよく確認しましょう。通知方法は、電話、郵送、または管理会社のウェブサイトなど、指定された方法で行います。
注意しておきたいのは、退去通知日が電話連絡をした日なのか、解約通知書(後述)が到着した日なのかの違いです。退去通知は、遅くとも解約予告期間を過ぎないようにする必要があるので、引っ越しが決まったらすぐに退去連絡をするようにしましょう。
また、退去通知の際に次の項目を確認しておくと安心です。
- 退去月の家賃は全額、もしくは日割りのどちらなのか
- 必要な書類や手続きはあるか
- 敷金精算の流れ
- 返却するカギの種類や本数
退去通知をしたら、退去立ち合い日や退去日から逆算し引っ越しのスケジュールを立てましょう。
②賃貸物件の解約通知を送付
退去を通知した後は、解約通知書を提出します。解約通知書は、管理会社から受け取るケースもあれば、自分で作成するケースもあるので、退去通知の際に確認しておくと良いでしょう。入居する際に受け取る書類に入っていることが多いです。
解約通知書には、退去日、氏名、連絡先などを記入します。返送期限に間に合わせるよう、早めに対応しましょう。
③退去立会い日の相談
退去日までに、管理会社または大家さんと退去立会いの日程を調整します。特に、遠方へ引っ越した後に旧居へ戻るのは大変です。退去立会い日を決める際は、引っ越し当日の荷物がすべて運び出された後がおすすめ。管理会社や貸主のスケジュールによっては、希望日に退去立会いができない可能性もあるので、遅くとも希望日の2週間前には連絡しましょう。
ちなみに、退去立会いは、物件の状態を確認し、原状回復費用を算出するために行われます。
④ライフラインや火災保険等の解約
電気、ガス、水道、インターネットなどのライフラインや、火災保険、駐車場や駐輪場の解約手続きを進めます。各会社に連絡し、解約日を伝えましょう。
火災保険は、保険の解約日と賃貸契約の解約日を揃えることがおすすめです。というのも、賃貸契約の解約日より前(引っ越し日など)に保険を解約すると、万が一引っ越し日から賃貸契約の解約日の間に火災などがあった際、保険が下りないからです。
もしも、月半ばで解約する場合は、解約返戻金が戻るのか、また日割り計算なのかもチェックしておくと良いでしょう。
⑤郵便物の転送手続き
郵便局で転送手続きを行い、退去後に届く郵便物を新居に転送してもらう手続きをします。インターネットで手続き可能なので、遅くとも退去の7営業日前には済ませておきましょう。
郵便物の転送手続きをすれば、旧居に自分宛で届く郵便物が、1年間新居に転送されます。
⑥役所へ転出届を提出
引っ越し先の市区町村役場に転出届を提出します。転出届を提出すると、転出証明書が発行されます。転出届は、新居の住所で転入届を提出する際に必要となるものです。
転出届、転入届ともに引っ越し日前後の2週間以内に提出する必要があるので、忘れずに手続きを行いましょう。
⑦清掃・不用品の処分
退去前に、物件の清掃と不用品の処分を行います。清掃は、次の入居者が気持ちよく住めるように、丁寧に行いましょう。不用品は、粗大ゴミとして処分するか、リサイクルショップに売却すると良いでしょう。
入居者の過失ではない設備の劣化や汚れについては費用を請求されることはありませんが、もしも掃除や手入れ不足でカビ汚れやシミができている場合は、入居者の過失として費用を請求される可能性があります。これらは敷金から引かれるケースが多いですが、思わぬ出費にならないよう、日ごろから丁寧に掃除をしておきましょう。
⑧引っ越し
引っ越しは、業者に依頼するか、自分で行います。引っ越し業者に依頼する場合は、複数の業者から見積もりを取り、料金やサービス内容を比較検討すると良いでしょう。
退去立ち合いでは、家具や荷物をすべて搬出し、部屋を空っぽにした状態で行います。
⑨退去立合い
退去立会いでは、管理会社または大家さんと一緒に物件の状態を確認します。壁や床の傷、設備の故障などをチェックし、原状回復が必要な箇所を確認した後、原状回復費用についての説明を受けることになるでしょう。原状回復費の負担割合は、退去立合いの際に行われます。
退去立合いの際は鍵を返却するので、物件に入ることができなくなります。荷物の搬出はもちろん、退去前までにライフラインの解約や郵便物の転送届をきちんと終わらせましょう。
⑩敷金精算
退去立会い後、敷金精算が行われます。敷金から原状回復費用を差し引いた金額が返金されます。これは賃貸解約日から1か月程度が多いです。
ただし、原状回復にかかった費用が敷金よりも高かった場合には、追加請求される可能性があります。あまりに高額な請求が来たり、請求内容に納得がいかなかったりする場合は、管理会社や貸主に説明を求めましょう。それでも解消しない場合、消費者センターや弁護士など外部に頼るのも方法の一つです。
敷金返還を最大限受け取るには?

敷金は原状回復費用が差し引かれた後、入居者へ返還されます。もしも敷金を最大限に変換してもらいたいなら、次の点に注意しましょう。
- 入居時の状態を記録する
- 日ごろから丁寧な使用を心掛ける
- 退去時の清掃は徹底して行う
- 退去立合いには必ず参加する
- 原状回復費用の見積もりを確認する
入居日当日から準備しておくものが、物件の状態を記録した写真や動画です。もしも入居時からあった傷や汚れがあっても、責任を問われないようにしなくてはなりません。
原状回復費用は、基本的には国土交通省のガイドラインや、都道府県が定める条例に基づいて清算されます。原状回復費用の見積もりに目を通し、妥当な金額かどうかを判断しましょう。
二重家賃の支払いに注意

引っ越し時期によっては、旧居と新居の家賃を二重に支払う必要が出てくる場合があります。二重家賃の支払いを避けるためには、以下の点に注意しましょう。
- 退去日と入居日を調整する
- 新居にはフリーレント物件を選ぶ
退去日と入居日をできるだけ近づけることで、二重家賃の支払いを最小限に抑えることができます。また、一定期間の家賃が無料になるフリーレント物件を選べば、二重家賃の支払いを避けることが可能です。
原状回復の内容を把握しよう

原状回復とは、賃貸物件を退去する際に、入居時の状態に戻すことです。ただし、経年劣化による損耗は、原状回復の対象外となります。
退去トラブルに多いのが、原状回復の負担割合についてです。原状回復は、よく聞くトラブルが心配だという人は、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に目を通し、原状回復の内容を把握しましょう。
壁紙の変色について、修理代は必要?
経年劣化とは、時間の経過とともに自然に発生する損耗のことです。たとえば、壁紙の変色は、経年劣化による損耗とみなされます。経年劣化による損耗は、原状回復の対象外となるため、入居者側が修理代を支払う必要はありません。
ただし、クロスの張り替えが必要になった場合には、材料費の負担はなくても、業者の人件費を負担しなければならないケースがあります。
まとめ
賃貸物件の退去は、さまざまな手続きが必要となりますが、事前にしっかりと準備をしておくことで、スムーズに進めることができます。特に、敷金の返還は、退去時の清掃状況や原状回復の程度によって金額が大きく変わるため、注意が必要です。この記事で紹介した内容を、新生活への準備に役立ててください。