分譲賃貸ってなに?分譲賃貸マンションのメリット・デメリットは?
近年、物件探しをしていると「分譲賃貸マンション」という言葉を耳にすることがあります。日常生活ではあまり聞かない言葉ですし、意味を知らない人も多いでしょう。そこで今回は、分譲賃貸マンションとは何なのか、そしてそのメリットやデメリットについて詳しく解説します。
分譲賃貸ってなに?
そもそも、分譲賃貸とは一体何なのでしょうか。
まず、マンションには「分譲マンション」というものがあります。分譲とは、「分割譲渡」の略で、1棟のマンションを1戸(1部屋)ごとに分けて販売しているものを分譲マンションと呼びます。
よほどの理由(投資目的など)がない限り、マンション1棟を丸々購入することはないでしょう。つまり、ほとんどの方が住んでいるマンションは、分譲マンションということになります。
そんな分譲マンションですが、何らかの理由でオーナー(所有者)がそこに住めなくなってしまう又は住まないことがあります。
もちろん、住めない又は住まない物件は売りに出してもいいのですが、せっかく買った物件なので、それを誰かに貸し出して家賃収入を得ようと考える人もいます。そうして賃貸に出された分譲マンションのことを「分譲賃貸マンション」と呼びます。
より端的に説明すれば、「分譲マンションを賃貸に出したもの」が「分譲賃貸マンション」です。
オーナーが貸し出す理由
オーナーが、購入した分譲マンションを賃貸に出す理由は、大きく分けて2つあります。
転勤など、一定期間そこに住めない理由ができた
こちらは先ほど例として挙げた理由ですが、オーナーの転勤などにより、そのマンションに一定期間住めなくなってしまった場合に貸し出すというケースが多いです。
数か月であればそのままにしておくという選択肢もありますが、1年以上家を空けるとなると、賃貸に出して少しでも収益を上げようと考える人が増えます。このような物件を「リロケーション物件(転勤者物件)」と呼ぶこともあります。
また、後述するようにこの「一定期間」というのが分譲賃貸マンションを借りる上で、デメリットになることがあります。
投資目的で購入していた
分譲マンションは、マンション1棟を購入するよりも元手が少なくて済むうえ、都心部ではデベロッパー(開発業者)が毎年沢山の物件を建設しているので、手軽に投資しやすいことで人気があります。そして、その購入された分譲マンションが賃貸にでているのです。
1つ目の理由と大きく違うのは、オーナーである投資家の方がそのマンションに住むつもりがない、ということです。この点が借りる側のメリット・デメリットに大きく影響します。
分譲賃貸マンションが人気の理由・メリット

現在、分譲賃貸マンションはとても人気があります。そこで次は、分譲賃貸マンションが人気の理由や、そのメリットについてご説明します。
マンションとしてのグレードが高い
分譲賃貸マンションが人気である理由を一言で説明すると、「とにかくグレードが高い!」これに尽きます。
「生活の基本は衣食住である」という言葉がありますが、すべてにかかわってくるのが「家」です。なるべくいい家に住みたいと思っている人は多いはずです。
その点、分譲賃貸マンションは元々「そこに一生住む」ことを想定して作られており、一般的な賃貸マンションよりさまざまな面でグレードが高い傾向にあります。
分譲賃貸マンションは、「いい家に住みたいけど、まだ一戸建てや分譲マンションは手が出ない」という人に、少しグレードの高い住宅を提供してくれるものなのです。
防犯性に優れたマンションが多い
賃貸マンションを探す際は、モニター付きインターホンやオートロックなどの条件を提示することが多いですが、分譲賃貸マンションの場合はそれらが当たり前のようについており、防犯性の高さも人気の理由です。
これも「一生住む」ことを想定して作られた分譲賃貸マンションならではのメリットでしょう。
耐震性・防音性が高い
分譲賃貸マンションは、一般的な賃貸マンションと比べて耐震性・防音性も優れています。
賃貸マンションは、あくまで「借りる」ことを想定して作られており、入居希望者も「問題なく住むことができればいい」と考えています。そのため、耐震性や防音性も最低限(もちろん法律の範囲内)です。
しかし分譲賃貸マンションは、先ほどから説明しているように「一生住む」ことを想定しており、購入者の希望も高くなります。
それに応えるために、耐震性や防音性にこだわった構造・素材を使っており、賃貸マンションとの差別化を図っています。
住民トラブルが起きにくい
分譲賃貸マンションは、賃貸マンションと比べて住民トラブルが起きにくいと言われています。そこで一生暮らすことを想定している以上、ご近所づきあいも考えていかなければなりません。
お互いを気遣って生活しているのです。もちろん、入居者にも一定のマナーが求められます。
内装のバリエーションが多い
内装のバリエーションの多さも分譲賃貸マンションの魅力です。
一般的な賃貸マンションであれば、1棟のマンションの1戸ずつは、ほぼ同じ作りをしています。その方が作る際にも効率がいいですし、利益追求になるからです。逆にいえば、どの部屋を選んでもそれほど大きな差がないといえます。
一方分譲賃貸マンションでは、それぞれの部屋がまったく違う作りをしていることも珍しくありません。それは、オーナーの好みが反映されているからであり、メーカーもそれに応えようとしているからです。また、購入後にリフォームする場合もあります。
このように、内装のバリエーションが多い、つまり自分好みの部屋を探しやすいというのも分譲賃貸マンションの大きな特徴です。
分譲賃貸マンションのデメリット
ここまでは分譲賃貸マンションのいい点を紹介してきました。しかし、分譲賃貸マンションを購入する際は、気をつけて欲しい点もいくつか存在します。次はそんなデメリットを解説しましょう。
家賃が高い
まず、分譲賃貸マンションは同じ間取り・立地の賃貸マンションと比べて、家賃が高い傾向にあります。少しでも住環境を良くするために、防犯や防音・内装にもこだわっているため、必然的に価格が上がってしまいます。
「グレードの高いマンション」と考えれば、当然かもしれませんね。
数が少ない
何度も説明しているように、分譲マンションは住むことを目的として作られ、購入されています。それを賃貸に出す分譲賃貸マンションは、デベロッパー(開発業者)が数多くの物件を建設しているといっても、その総数は圧倒的に少ないです。
また、ワンルーム・1Kタイプの分譲マンションが投資目的で購入されるのに比べ、 ファミリータイプの分譲マンションは 自分たちが生活する家として購入している人の方が多い傾向にあります。ファミリータイプの分譲マンションは総数がより少ないと言えます。
短期間で退去しなければならない場合も…
大家さんが分譲マンションを貸し出す理由として、転勤などを例に挙げました。転勤は期間が決まっている場合もあれば、突然終わりを迎えてオーナーが帰ってくることもあります。
転勤が理由で貸し出すオーナーの多くは、定期借家契約で家を貸し出します。定期借家契約とは予め決められた期間で契約を区切ることができる契約方式です。
※定期借家契約についての詳しい説明はこちら
そうなると、入居者であるみなさんは契約満了時に再契約(契約更新)を断れれば、退去しなければなりません。事前にしっかり契約期間と契約更新について確認しましょう。
また、定期借家契約であってもオーナーが投資家の方である場合、そもそも住むことを想定していないので、こういったトラブルは起きにくいです。分譲賃貸マンションを借りる場合は、オーナーがどんな人かというのも大切かもしれません。
住みやすい分譲賃貸マンションを探すために
分譲賃貸マンションは魅力的な物件も多いですが、デメリットもあります。住み始めてからトラブルに巻き込まれないために、以下の点に気をつけてください。
まず、オーナーがなぜその物件を賃貸に出したのか、その理由は必ず聞いておきましょう。専業で大家さんをしているなら特に問題はないですが、そうではない場合、管理会社等がしっかりと入っているのか確認することをおすすめします。
また、分譲賃貸マンションは定期借家など短期間しか住めないケースも多いです。事前に契約期間がどうなっているのか確認し、いざという時困らないようにしましょう。