6月7月の引っ越しは穴場?メリット・デメリット徹底比較
新生活のスタートは、引っ越しから始まります。しかし、引っ越しには何かとお金がかかるもの。できるだけ費用を抑えたい、スムーズに済ませたいと考える方は多いでしょう。
引っ越し業界には、一年を通して「繁忙期」と「閑散期」が存在し、時期によって料金や手配のしやすさが大きく変わってきます。一般的に、春先の3月~4月は最も混み合う繁忙期として知られていますが、実は6月や7月も引っ越しには「穴場」の時期だと言われています。
この記事では、そんな6月・7月の引っ越しに焦点を当て、そのメリットとデメリットを徹底的比較。それぞれの時期の特徴を深く理解することで、引っ越し計画をより賢く、そしてスムーズに進めるためのヒントをお届けします。
引っ越し業界の「繁忙期」と「閑散期」とは
まずは、引っ越し業界の基本的な年間サイクルを把握しておきましょう。6月・7月がなぜ「穴場」とされるのかを理解する上で非常に重要です。
繁忙期とは
引っ越しが最も集中し、料金が高騰し、予約が取りにくくなる時期を「繁忙期」と呼びます。おもに以下の時期が該当します。
- 3月~4月: 進学、就職、転勤など、ライフイベントが集中する最も大規模な繁忙期です。新生活の始まりに向けて、全国的に引っ越し需要が爆発的に高まります。
- 9月~10月: 企業の人事異動に伴う引っ越しが増える時期です。春ほどではないものの、やはり需要は高まります。
- 12月下旬: 「年末年始は新しい家で過ごしたい」というニーズから、この時期も引っ越しが集中します。
繁忙期は、引っ越し業者の人手や車両がひっ迫するため、見積もり料金が高くなる傾向があり、希望の日程や時間帯での予約が非常に困難になることがほとんどです。
閑散期とは
一方、「閑散期」は引っ越し需要が落ち着き、比較的ゆったりと引っ越しを進められる時期を指します。一般的には、以下の時期が閑散期とされています。
- 1月: 年末年始の喧騒が明け、一時的に需要が落ち着きます。
- 6月: 3~4月の繁忙期が終わり、夏休み前の落ち着いた時期です。
- 11月: 9~10月の異動シーズンが終わり、年末に向けて一旦落ち着きます。
閑散期は、引っ越し業者に余裕があるため、料金が安くなる傾向があり、希望の予約も取りやすいというメリットがあります。
6月・7月が閑散期(穴場)と言われる理由

6月・7月が閑散期、あるいは「穴場」と言われるのには、いくつかの理由があります。
まず、3月~4月の超繁忙期が終わり、引っ越し件数が大幅に落ち着くことが挙げられます。多くの人が集中して引っ越しを終えるため、その反動で需要が減少するのです。
さらに、多くの人が避けたいと感じる梅雨の時期(=6月)や、夏の本格的な暑さが始まる時期(=7月)という季節的な要因も影響しています。特に、雨の中や炎天下での引っ越し作業は大変だと感じる人が多いため、あえてこの時期を避ける傾向にあります。
しかし、この「避けられる」時期だからこそ、実は賢く引っ越しを進めるためのチャンスが隠されているのです。
6月・7月に引っ越すメリット
6月・7月の引っ越しには、繁忙期にはない大きなメリットがいくつかあります。
メリット①引っ越し費用が大幅に安くなる可能性が高い
繁忙期には、業者が人手や車両を確保するのに苦労するため、料金が跳ね上がりがちです。しかし、閑散期である6月・7月は、業者側に余裕があるため、見積もり料金が大幅に安くなる傾向にあります。場合によっては、繁忙期の半額近くで引っ越しができるケースも珍しくありません。
また、料金が安いだけでなく、業者との価格交渉もしやすくなります。複数の業者から見積もりを取ることで、より条件の良いプランを引き出せる可能性が高まります。さらに、閑散期には引っ越し業者が独自の割引キャンペーンやサービスを展開していることもあるため、これらの情報をチェックすることも重要です。
メリット②希望の日程が取りやすい
繁忙期には、「この日に引っ越したい!」と思っても、なかなか希望通りにいかないことが多々あります。週末や大安吉日などは特に予約が殺到し、数週間前から埋まってしまうこともあるほどです。
しかし、6月・7月は業者側のスケジュールに余裕があるため、希望の日程や時間帯を選びやすくなります。平日はもちろん、比較的混みやすい週末でも、繁忙期に比べて希望が通りやすいでしょう。急な引っ越しが必要になった場合でも、対応してもらいやすいのが大きな利点です。
メリット③物件探しに時間をかけられる
引っ越しは、物件探しから始まります。繁忙期は、良い物件が出るとすぐに決まってしまうため、じっくり検討する時間がありません。焦って決めてしまい、後で後悔するケースも少なくないでしょう。
6月・7月は、不動産会社も比較的落ち着いているため、担当者とじっくり相談しながら物件探しを進められます。内見の予約も取りやすく、複数の物件を比較検討する時間的余裕が生まれやすいです。
また、この時期は物件の競争率も低いため、繁忙期にはすぐに埋まってしまうような掘り出し物が見つかる可能性もあります。閑散期は大家さん側も空室を早く埋めたいという思いがあるため、家賃交渉がしやすくなる可能性も秘めています。
こまかなメリットもたくさん
7月以降はエアコンの需要が増え、クリーニング業者も混み合います。引っ越しに合わせてこの時期に依頼すれば、比較的スムーズに手配できるかもしれません。
また、引っ越しに伴う住民票の移動など、役所での手続きも繁忙期に比べて混雑が少ない傾向にあります。
6月・7月に引っ越すデメリット
費用面で大きなメリットがある6月・7月の引っ越しですが、当然ながらデメリットも存在します。これらの点をしっかり把握し、対策を講じることが重要です。
デメリット①梅雨時期の「雨」対策が必須
6月の引っ越しで最も懸念されるのが、梅雨による雨や湿気です。
たとえば、荷物の濡れや汚れのリスク。ダンボールや家具などが雨で濡れてしまうと、中身が傷んだり、カビが発生したりする可能性があります。また、雨の中での作業は、滑りやすかったり視界が悪くなったりするため、通常よりも時間がかかることがあります。さらに、湿度が高いとカビが発生しやすので、運搬中の荷物だけでなく、新居で荷解きしている際に影響を及ぼすケースもあるでしょう。
対策としては、引っ越し業者に防水対策(家具や家電へのビニールカバーなど)をしっかり行ってもらうこと、養生を徹底してもらうことが重要です。自分でも、濡れて困るものはビニール袋に入れるなどの対策をしておきましょう。新居では、入居後すぐに換気や除湿剤の設置を行うと安心です。
デメリット②夏の暑さとの戦い
7月の引っ越しは、本格的な夏の暑さとの戦いになります。
特に心配されるのが、熱中症のリスクです。特に日中の屋外作業は、引っ越し作業員だけでなく、立ち会う依頼主自身も熱中症になるリスクがあります。また、冷蔵庫の搬入から使用開始までには時間を置く必要があり、エアコンの設置も繁忙期ではないとはいえ、猛暑の中での作業は大変です。
引っ越し当日は、水分補給と塩分補給をこまめに行い、無理せず休憩を取るようにしましょう。可能であれば、扇風機やエアコンを事前に設置できるか確認したり、冷たい飲み物を準備したりするなど、業者への配慮も大切です。食品など傷みやすいものは、クール便の利用も検討しましょう。
デメリット③祝日が少なく土日に申し込みが殺到しがち
6月は祝日がなく、7月も「海の日」以外は祝日が少ない月です。このため、会社勤めの方など、平日に休みを取りにくい人は、土日祝に引っ越しが集中しやすくなります。
土日祝は、閑散期とはいえ平日より料金が高くなる傾向があります。費用を抑えたいのであれば、可能であれば有給休暇などを活用し、平日の引っ越しを検討しましょう。
デメリット④新規物件が出にくい時期でもある
繁忙期は転居者が多いため、それに伴って新しい物件も多く市場に出回ります。しかし、6月・7月は引っ越し件数が落ち着くため、新規の賃貸物件が比較的少ない時期でもあるのです。
特に、人気エリアや特定の条件(ペット可、駅近など)に絞って物件を探している場合は、希望通りの物件が見つかりにくい可能性もあります。
時間に余裕を持って物件探しを始め、不動産会社には希望条件を細かく伝え、新しい物件が出たらすぐに連絡をもらえるよう依頼しておきましょう。
6月・7月の引っ越しを成功させるための対策と注意点

6月・7月の引っ越しはメリットが大きい一方で、デメリットをいかに解消するかが成功の鍵を握ります。ここでは、具体的な対策と注意点をご紹介します。
早めの見積もり依頼と複数業者比較
閑散期だからといって油断は禁物です。やはり、早めに複数社から見積もりを取ることが、費用を抑える上で最も重要です。
【例①】相見積もりで料金交渉を有利に
複数の業者の見積もりを比較することで、より安い料金を提示してもらえたり、サービス内容の交渉もしやすくなったります。「他社は〇〇円だった」と伝えることで、さらに値引きを引き出せることもあるでしょう。
【例②】サービス内容の比較も忘れずに
料金だけでなく、保険内容、資材の提供、不用品回収、エアコンの脱着など、各社のサービス内容もしっかり比較しましょう。
天候対策の徹底
6月の雨や7月の暑さに備え、万全の対策をしておきましょう。
【例①】雨対策グッズの準備
ダンボールの防水対策として、ガムテープでしっかり封をする、ビニール袋や防水シートで包むなどの対策をしておきましょう。濡れては困る貴重品や電化製品は、特に厳重な保護が必要です。
【例②】暑さ対策グッズの準備
冷たい飲み物、塩分補給タブレット、汗拭きシート、小型扇風機などを用意しておくと、作業中の熱中症予防に役立ちます。
【例③】天候による日程変更の可能性も考慮
万が一、台風などで作業が困難になった場合の日程変更やキャンセルポリシーについても、事前に業者に確認しておくと安心です。
引っ越し日時の工夫
費用をさらに抑えたいのであれば、日程選びにも工夫を凝らしましょう。
【例①】平日、特に入居者の少ない中旬を狙う
一般的に、月の上旬や下旬は引っ越しが集中しやすいため、中旬を狙うと料金が安くなる傾向があります。
【例②】仏滅などの「縁起の悪い日」を選ぶ
気にしない方であれば、大安吉日を避けて仏滅などの日を選ぶと、予約が取りやすく料金も安くなることがあります。
【例③】時間指定なしの「フリー便」の活用
「午前便」や「午後便」のように時間を指定するよりも、業者の都合に合わせて作業を行う「フリー便」を選ぶと、料金が安くなることが多いです。ただし、作業開始時間が直前まで分からないため、時間に余裕がある方向けです。
不要品の処分を計画的に
引っ越しは、不用品を処分する絶好の機会です。荷物が少なくなれば、その分トラックのサイズを小さくでき、引っ越し費用を抑えることにも繋がります。
引っ越しが決まったら、すぐに不要品の選別を始め、リサイクルショップへの売却、フリマアプリでの出品、粗大ごみとしての処分などを計画的に進めましょう。
新居のエアコン設置・クリーニングを事前に
新居で快適に過ごすためには、エアコンの準備が必須です。新居にエアコンが設置されていない場合は、入居後すぐに使えるように引っ越し前にエアコンの設置工事やクリーニングを手配しておくことをおすすめします。繁忙期を避けているため、比較的スムーズに予約が取れるでしょう。
まとめ
6月・7月の引っ越しは、繁忙期に比べて費用を抑えやすく、希望の日程も取りやすいという大きな魅力があります。一方で、梅雨の雨や夏の暑さといった、この時期ならではのデメリットも存在します。しかし、これらのデメリットも、事前の計画と適切な対策を講じることで、十分に乗り越えることが可能です。