未成年のひとり暮らしの注意点

ひとり暮らしを始めるタイミングは人それぞれです。大学生になってからひとり暮らしを始める方もいれば、高校生のうちにひとり暮らしを経験する方もいるかもしれません。事情があって中学生からひとり暮らしの方もいます。そこで今回は、そもそも未成年者にひとり暮らしは可能なのか、ひとり暮らしをする場合はどんなことに気をつけるべきなのかについてご紹介します。

 

未成年のひとり暮らしは可能か

大前提として、成人を迎えていない未成年者は、単独で賃貸借契約を結ぶことができないため、ひとり暮らしもできません。何かの手違いで契約が成立してしまった場合でも、後から未成年者であることが発覚すれば、契約は無効となります。

ただし、これは未成年者がひとり暮らしできないという意味ではありません。未成年者が住む場所を決められるのは、親権者であるため、親権者が賃貸借契約を結んだ物件にすむことは可能です。つまり、親権者が不動産屋でお部屋を借り、その部屋に未成年者が住むという流れです。

また、これにも例外があります。それは未成年者が結婚している場合です。結婚した未成年者は成人とみなされる(民法753条)ため、結婚している未成年者は親権者の同意を得なくても賃貸借契約を結ぶことができます。結婚できる年齢は、男性が18歳、女性が16歳です。

 

未成年者に収入がある場合

未成年者であっても定職についており、しっかりと収入がある方も多いでしょう。しかし、そんな場合でも親権者や後見人の承認が必要になります。

一般的に未成年者は家賃滞納等のリスクが高いと考えられており、万が一のことを想定して不動産会社の事前審査も厳しくなるのです。身元がしっかりとしていて、親権者や後見人による保証が見込める場合のみひとり暮らしは可能といえそうです。

 

親が同意した場合でも審査に落ちる可能性がある

前述の通り、未成年者がひとり暮らしをするには、親の同意が必要です。しかし、これは親の同意があれば未成年でも必ずひとり暮らしができるというわけではありません。

賃貸借契約を結ぶ場合、大家さんや不動産会社、家賃保証会社による審査が行われます。そして、未成年者がひとり暮らしをする場合、親の同意があっても審査に落ちる可能性があるのです。

大家さんは、家賃の滞納をもっとも懸念しています。未成年の場合、成人と比べても収入が不安定になりやすく、親の同意があっても家賃を回収できない可能性があるため、審査基準が厳しくなってしまいます。その結果、審査落ちの可能性も高まるのです。

また、大家さんによっては未成年者からの入居申し込みを受け付けていない物件もあるようです。気になる物件を見つけたら、未成年でも入居できるか確認しましょう。

 

実際に未成年者がひとり暮らしをするまでの流れ

それでは、実際に未成年の方がひとり暮らしをするまでの流れを確認します。重要なのは、なるべく親権者や後見人が付き添うという点です。

内見

不動産ポータルサイトなど、賃貸物件を探す際にインターネットを活用することが一般的になりつつありますが、それでも多くの方が実際に契約する前に物件の下見(内見)に訪れるはずです。未成年者がひとり暮らしをする場合、内見の重要度はさらに高まります。未成年の方が安心して暮らせるかどうかは、インターネットではわからないためです。できれば親権者や後見人の方に付き添いをお願いしたいところです。

また、未成年の方が内見する際に見るポイントは、物件以外にもあります。それは周辺施設や周辺環境がどうなっているかです。未成年の場合、事件や事故に巻き込まれたとしても自分では解決できず、親権者や後見人に連絡がいきます。万が一のことを考えて、治安の良い街や夜でもそれなりに人通りのある道沿いの物件などを選ぶのがおすすめです。

物件そのものも、オートロックやインターホンなど、セキュリティ対策が整っている物件が良いでしょう。

契約

内見で気に入った物件を見つけたら、次は実際に契約に移ります。賃貸借契約を結ぶ場合、宅地建物取引士による重要事項説明が行われるため、親権者や後見人の同席が望ましいでしょう。親権者の名義で物件を借りる場合は、当然親権者の同席が必須です。

重要事項説明の内容に納得し、前家賃などの事前費用を支払ったら、晴れて契約完了となります。

 

未成年者がひとり暮らしをする際の注意点

大学生や社会人になった未成年者がひとり暮らしをするのは、それほど珍しいことではありませんが、未成年だからこそ気をつけなければならない点も少なくありません。ここでは、未成年者がひとり暮らしをする際の注意点をご紹介します。

活動の中心地に通いやすい地域の物件を探す

未成年の場合、自宅とは別に活動の中心地があるはずです。学生なら学校、社会人であれば職場などが代表例です。慣れないひとり暮らしを始めると、学校や職場に通うだけでも精神的・肉体的な負担になりかねません。なかには、人間関係や仕事内容に不満はないにもかかわらず、通うことが億劫になってしまい、学校や会社を辞めてしまう方もいるようです。

そこで、未成年の方が初めてひとり暮らしをする際は、上記のような活動の中心地に通いやすい地域の物件を選ぶことをおすすめします。できれば駅から近い、自転車や車で通いやすい物件が良いでしょう。

多少家賃が高くなってしまうかもしれませんが、通うことに慣れてから少し離れた物件を選ぶことで、初めてのひとり暮らしもスムーズにこなせるはずです。

セキュリティ対策の整った物件を選ぶ

前述の通り、未成年の方がひとり暮らしをする場合はセキュリティ対策が十分に整った物件を選びましょう。社会に出たことがなく、人生経験もまだ未熟な未成年者は、いつどんな形でトラブルに巻きこまれるかわかりません。そういった際、自宅を安息の場所として利用するためには、オートロックやホームセキュリティなどに加入している、セキュリティ対策の整った物件である必要があります。

物件によっては、後から自分でホームセキュリティに加入できるものもあるため、入居後でも検討する価値は十分にあります。

戸締りやお金の管理をしっかりとする

トラブルに巻きこまれないためには、外部のサービスにばかり頼るのではなく、自分でも対応していく必要があります。とくに、戸締りやお金の管理といった基本的なことは未成年のうちから始めておくと後々楽になります。

お金の管理については、家計簿をおすすめします。家計簿と聞くと面倒なイメージが強いかもしれませんが、今はスマートフォンで簡単につけられるアプリがいくつもあります。なかにはレシートの写真を撮るだけで家計簿がつけられ、クレジットカードや銀行口座と連携すると、ひと月の使用料金や口座残高にもアクセスできるものもあります、導入を検討してみてください。

周辺施設の充実度を確認する

最後は周辺施設の充実度についてです。未成年者がひとり暮らしをする場合、炊事洗濯など、すべての家事をひとりで完璧にこなせる方はそれほど多くないでしょう。食事は外食、洗濯はコインランドリーといったケースも珍しくありません。

物件を選ぶ際は、周辺にこういった施設があるかどうか必ず確認しましょう。とくに確認せずに物件を選ぶと、洗濯物が溜まってしまって着る服がない、なんてことになりかねません。

 

まとめ

未成年であってもひとり暮らしをしたいと考えている方は多いはずです。しかし、未成年の場合契約が難しいケースも多く、無事契約できた場合でも気をつける点がいくつもあります。事前にすべて理解したうえで物件探しをするようにしましょう。

 

 

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