人気の集まる賃貸物件「コンセプト型賃貸住宅」とは?

日本の総人口は2008年をピークに年々減少傾向にあり、賃貸物件を貸し出すオーナーにとって厳しい状況が続くと予想されています。

また、相続税の節税などを目的とした賃貸物件の建築が増加し、需要と供給のバランスが崩れている点も同様の懸念を助長しています。

今回は、空室対策として期待されている「コンセプト型賃貸住宅」の特徴についてご紹介します。

コンセプト型賃貸住宅とは

冒頭の理由もあり、近年は不動産オーナーにとって厳しい状況が続いています。運用していれば利益が出るといった状況ではありません。

そこで人気を集めているのが、明確なコンセプトをもとに設計・建築された賃貸住宅「コンセプト型賃貸住宅」です。

コンセプト型賃貸住宅は、一般的な賃貸住宅と異なり特定の層をターゲットにしています。

賃貸物件のなかには、今までもファミリー向けや単身者向け、女性専用、ペット飼育可など大まかなターゲットを設定しているものもありました。

しかし、コンセプト型賃貸住宅はより明確に、特定の趣味や嗜好を持つ方に向けて造られている点で一般的な賃貸物件とは異なります。

コンセプト型賃貸住宅は、狭い市場を獲得するために設計されています。ただ、特定の趣味や嗜好を持つ方には高い満足度を得られる物件となっていて、長く住み続けてもらえる可能性が高まります。

コンセプト型賃貸住宅の種類

コンセプト型賃貸住宅にはさまざまなものが登場しています。こちらでは、コンセプト型賃貸住宅の具体例をご紹介します。

デザイナーズマンション

デザイナーズマンションとは、建築家がデザインや設計を行ったマンションを指します。建物の外観だけでなく、間取りや素材、設備のレイアウトなどにもこだわっているため、個性的な造りを実現できます。

一例を挙げると、コンクリート打ちっぱなしのスタイルや木の質感を活かしたデザイン、ガラス張りで実現した開放的な間取り、部屋の中央に螺旋階段を配置した空間などがあります。

価格は上がるものの、デザイン性を売りにしたい場合はデザイナーズマンションを探してみるのもひとつの方法です。

ガレージインマンション

一階部分にガレージを設け、直接住宅部分に入ることのできる物件をガレージインマンションと呼びます。

自動車やバイクを趣味にしている方をターゲットとした物件です。

一般的なマンションでは、「愛車を傷つけられるのが怖い」ということもあり、駐車場には停めていない方も少なくありません。ガレージインマンションであれば、入居者が専用のガレージを持つことができるため、安心して愛車を管理できます。

ペット共生型マンション

一般的なペット可物件ではなく、飼い主とペットが快適に暮らすことができるよう配慮されたマンションを「ペット共生型マンション」と呼びます。

単に一緒に住むことができるだけでなく、ペット専用の足洗い場や出入口、室内に設けられたキャットタワー、ドッグランなどの設備が整っています。

音楽対応防音住宅

とくに遮音性が高く、ピアノやギターなどの楽器演奏が24時間可能な物件を「音楽対応防音住宅」と呼びます。

各住戸に反響板や吸音材が使用された防音ルームが設置されています。なかには、音楽スタジオやライブハウスを併設している物件もあるようです。

また、防音効果が高いため、楽器の演奏だけでなく夜中に出入りすることの多い方にも人気があります。都内の住宅密集地域や駅チカ地域、音楽大学周辺でとくにニーズが高い傾向にあります。

ワイン好き向けマンション

ターゲットをワイン好きに絞って造られた「ワイン好き向けマンション」も人気です。マンション内にソムリエがいたり、住人が共有で使用できるワインカーブ(貯蔵庫)が設置されていたりします。

なかには、試飲サービスのついているマンションやワインパーティーを実施している物件もあるため、富裕層に人気があります。

外国人向け高級住宅

大使館や外資系企業に勤めている方をターゲットとしているのが、「外国人向け高級住宅」です。

都心の一部地域、麻布や赤坂・青山など限定的な地域でしか需要が見込めませんが、一定層には確実に需要のあるマンションです。

近くにアメリカンスクールなどがあると、より選ばれる確率が高まります。

DIY可能マンション

賃貸物件は基本的に自分で手を加えることができず、装飾を行った場合は退去時に原状回復義務が発生します。

原状回復義務については、こちらの記事をご覧ください。

一定の造作については原状回復義務をなくし、入居者がある程度自由に装飾したり改修したりできる物件を「DIY可能マンション」と呼びます。

DIY専用の作業スペースが併設されている物件も登場しています。

女性専用住宅

女性のみ入居できるとしている物件を「女性専用住宅」と呼びます。一室のみこの規定を設けてもあまり意味がないため、アパートなど一棟すべてが女性専用住宅となるケースがほとんどです。

防犯面やセキュリティ面、内装のラグジュアリーさなどを好む女性用に仕上げているのが特徴的です。対面キッチンや大きめの収納などを備えているケースが多く見られます。

学生専用住宅

学生のみをターゲットとしている物件が「学生専用住宅」です。入居対象が学生のみということもあり、建築もシンプルかつコストを最小限に抑えられます。

募集も学生に絞って行うので、比較的ラクに感じられるかもしれません。

ただ、少子高齢化が進んでいるため、今後は需要が減少する可能性があります。

食事付単身者用住宅

家賃+定額で食事も提供する物件を「食事付住宅」と呼びます。以前の「寮」のイメージで、主に単身者をターゲットとしています。

はじめてのひとり暮らしで食生活の管理に悩んでいる方や、単に食事を作るのが面倒だという方から人気です。

環境対応型住宅

オール電化やシックハウス対策など、環境対策に配慮した住宅を「環境対応型住宅」と呼びます。

とくに、子育て世代には需要が高く、自然素材を取り入れた物件が人気を集めています。

コンセプト型賃貸住宅の需要が高まっている理由

コンセプト型賃貸住宅需要が高まっているもっとも大きな要因は、「他の物件と差別化を図ることができる」点にあります。

少子高齢化の進行により日本の人口は減少傾向にあります。一方、賃貸住宅の建設は相続税の節税などを目的として増えており、需要と供給のバランスが崩れつつあります。

入居者を獲得するために競争が激化している昨今、入居者にとって魅力的な物件にするには、「他の物件との差別化」が重要です。

この点コンセプト型賃貸住宅は、明確なターゲットを持っていて、狙っている市場は小さいものの、一定の層には確実に魅力的に映るよう造られています。

そのため、ターゲットのニーズを見誤らない限り、今後もコンセプト型賃貸住宅の高い需要は続くと考えられます。

まとめ

コンセプト型賃貸住宅は、一般的な物件と異なり、専門性の高い賃貸物件です。入居者のニーズを掴む必要はありますが、供給過剰となっている昨今の賃貸市場のひとつの光ともいえます。

物件探しでお悩みであれば、ひとつの選択肢として検討してみてください。

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